goo blog サービス終了のお知らせ 

oceansidecompany

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

ミーターの大冒険 第九部 エピローグ 第17話 新たな人物像たち

2023-02-11 01:19:31 | エピローグ
199第17話新たな人物群像
ミーターの大冒険 
第九部
エピローグ 
第17話

新たな人物群像たち


あらすじ

 ファウンデーション暦493年、ミーター、イルミナ(?)、ペイリーはターミナスに着いた。ジスカルド・ハニスとは地球への音信以来連絡が途絶え、ターミナス全土を探したが、見つけられなかった。

 アルカディア農園は無事だった。ハニスとコンパーが上手に政府の力から手練手管で守っていたからである。

 代理人としてジム・ヘンダーという50代の男が農園を維持していた。

 ミーターは、ジムの履歴正体をつまびらかにする。

 後日、二人はターミナスのアルカディア記念博物館に隣接しているサルヴァー・ハーディン博物館にムン・リー・コンパーを変装して訪ねた。ヘルダーを通して申し合わせしていたからである。

 3人(?)は、コンパーからハニスの消息を聞かされる。スミルノに近いダリバウという過疎化が進む弱小惑星にいるらしい。

 彼らは一旦、アルカディア邸に戻って、ダリバウの旅程をヘンダーと打ち合わせる。

 ヘンダーはダリバウに行ったら、レオナルド・アンセルム・オー・ロドリックに逢うように勧める。

 アンセルムは彼らを歓迎した。アンセルムは密かにファウンデーション連合(ターミナスの単独政党ターミナス第一)を苦々しく思っていた。
 そして第2ファウンデーション及び反ミュールとの連繋を模索していたのであった。

 アンセルムは、コンパーの正体を明かす。彼はコンパーが二重、三重のスパイだという。

 そしてアンセルムは、実は廃坑でないここアバンドネには今後の人類の宇宙開拓にとって重要な鉱物があることを教える。

199

ミーター ロドリックさん、話しをムン・リ・コンパーのことに戻してよろしいですか?

アンセルム そうですね。あなたにとってはコンパーもあなた方のグループの大切な一員ですからね。驚くことは無理もありませんね。あの亡きオリンサスのご遺志を継いだとはいえ、あなたが宇宙に翔び立ち、地球探訪を成功裏に導くきっかけをつくったのも彼でしたからね!

ミーター そうなんですけど、彼に最初にあった時から彼には妙な感じを抱いていたのも確かです。
 それにしても彼が三重スパイとは気がつきませんでした。

 実をいうと、私は、今回の遠征の際、彼の先祖の星、コンポレロンを訪ねる機会がありました。その時、少しだけそんな気配を感じたことがありました。
 今ではロドリックさんも存じてはおられると思われますが、ターミナスの友星コンポレロンはセッツラー初の定住惑星で、そこから、銀河全域にセッツラーが進出して行ったのです。その最後の定着地がターミナスを中心としてここダリバウも含むアナクレオン星域ですね。
 そして銀河帝国が確立するまでそのコンポレロンが銀河の中心的役割の位置にあったのです。
 そしてよくご存知のように、第1ファウンデーション(ターミナス)が第2ファウンデーションを敵対視して排除しようとした時期がありました。いわば「確執の間柄」になっていた時代、第2ファウンデーションは、その本拠地を一時期コンポレロンに移したのです。第2ファウンデーション側としてはむやみな対立は避けたというべきでした。

アンセルム その事実は存じておりますが、そのこととコンパーとのことはどういう繋がりがあるとおっしゃるのですか?

ミーター さらにご存知のように、あのミュールが当時の第2ファウンデーションの第1発言者によって完全に敗北者になったロッセム星には、すでに反ミュールが潜伏していて、その第1発言者を背後から援護したのです。
 いわばガイアの責任として。その時に反ミュールが活動しはじめました。ずっと陰の存在に過ぎなかったガイアが表舞台に踊り出たのです。

 少しくどいような話ですが、第2ファウンデーションのエージェントとして重要な役回りを託されたベイル・チャニスは、ミュールによって廃人寸前にされたのですが、あの不死の従僕ダニール・オリヴォーは彼をコンポレロンに連れて行って生涯の終わりまで面倒を診ました。

 それを皮切りに反ミュール(ガイア)は、第1ファウンデーションと第2ファウンデーションの確執の除去をしてまいりました。

アンセルム う~む。コンポレロン星の不思議ですか?
 ということは、第2ファウンデーションがその脅威から逃れるのに、コンポレロン星を選んだ、というのですね。

ミーター 正式にいうならば、ダニール・オリヴォーが陰ながらそう誘導したのです。

アンセルム そしてそのコンポレロン星が、現今のこの銀河復興の最終場面で、もう一回、重要な動きを展開している、というのですね!

ミーター そうです。ですから、スパイというと悪いイメージでしょうけど、コンパーに関しては、ある程度恣意的、ちょっとだけ悪評すれば、利己的に映っても、大筋では、その2つの確執の溶解に彼は役に立っていると思うのです。
 ですから、最終的には、多少のズレが生じても、うまく収まる、と踏んでます。

ペイリー ミーターさんたら、そこまでコンパーの立場を擁護されるのですね。
 だいたいはわかったような気がしますが、まだすっかり腑に落ちたわけではありませんけどね!

アンセルム それには、実は、第2ファウンデーションの内実に関係がありそうですね!

ペイリー と申されますと?

アンセルム 先ほど言いました、ジェンディバルという人物です。コンパーはそのストー・ジェンディバルとある提携をしていて、互いに情報を提供しあっているのですが、その内実はまた、コンポレロン星との繋がりで、ガイア(反ミュール)のコントロールも窺われる節(ふし)もあるのです。
 もっと複雑にしているのは、第2ファウンデーションの発言者会議のメンバーの一人で、そのジョンディバルのライバル、デローラ・デラーミ女史との関連もあるのです。

ミーター 本当に複雑だ!

アンセルム それに忘れてはならないのはあの賢明なジスカルド・ハニスを通してあのコンパーは、ターミナスの直感人間のゴラン・トレヴァイズと最近友好関係を築いて、ターミナス議会に二人で進出するように画策しています。
 ついでにいうなら、トレヴァイズの不足的弱点を補う能力の持ち主のジャノヴ・ペロラットたる人物に目星をつけて、おたくが達成してくださった地球探索をさらに強固にする画策を立てはじめているのです。

ミーター ロドリックさん、新たな展開の時期ですね!
 そのコンパーを陰ながら応援、正確にいうとプッシュしておられるのが、あなた、アンセルム・ロドリック卿ということですね!

アンセルム なんと、まあ、驚きです。あなたこそ、直感推理力のロボット、創造的飛躍の貴公子!!

ミーター ロドリックさん、詳しくご説明下さり、感謝いたします。そこまでわかれば、今後の銀河復興の最終側面での対処の方策がみえてきた気がしてきました。

ペイリー ミーターさん、もう少し今後の展望についてロドリックさんにお訊きしましょうよ!

ミーター ごもっともです。


ミーターの大冒険 第九部 エピローグ 第16話 クロミニウムとヴァナジウム

2023-02-09 21:46:04 | エピローグ
198第16話クロミニウムとヴァナジウム
ミーターの大冒険 
第九部
エピローグ 
第16話 

クロミニウムとヴァナジウム

あらすじ

 ファウンデーション暦493年、ミーター、イルミナ(?)、ペイリーはターミナスに着いた。ジスカルド・ハニスとは地球への音信以来連絡が途絶え、ターミナス全土を探したが、見つけられなかった。

 アルカディア農園は無事だった。ハニスとコンパーが上手に政府の力から手練手管で守っていたからである。

 代理人としてジム・ヘンダーという50代の男が農園を維持していた。

 ミーターは、ジムの履歴正体をつまびらかにする。

 後日、二人はターミナスのアルカディア記念博物館に隣接しているサルヴァー・ハーディン博物館にムン・リー・コンパーを変装して訪ねた。ヘルダーを通して申し合わせしていたからである。

 3人(?)は、コンパーからハニスの消息を聞かされる。スミルノに近いダリバウという過疎化が進む弱小惑星にいるらしい。

 彼らは一旦、アルカディア邸に戻って、ダリバウの旅程をヘンダーと打ち合わせる。

 ヘンダーはダリバウに行ったら、レオナルド・アンセルム・オー・ロドリックに逢うように勧める。

 アンセルムは彼らを歓迎した。アンセルムは密かにファウンデーション連合(ターミナスの単独政党ターミナス第一)を苦々しく思っていた。
 そして第2ファウンデーション及び反ミュールとの連繋を模索していたのであった。

 アンセルムは、コンパーの正体を明かす。彼はコンパーが二重、三重のスパイだという。

198

ミーター アンセルムさん、ところであなたはここダリバウの廃坑の側に住んでおられるのですが、なぜ廃坑の側に?

アンセルム この廃坑は今では私の所有です。現地の政府から買い取りました。
 実は、この廃坑は今でもこの銀河には珍しい二種類の鉱物が採れるのです。

ミーター その二種類の鉱物とは?

アンセルム クロミニウムとヴァナジウムです。私の入手した極秘情報では、かつて放浪のシンナックス人がここダリバウでこの二種類の鉱物を掘り出したのです。

ミーター それらの鉱物はどんなものなのでしょう?

アンセルム クロミニウムは、あなたと深い関係があります。

ミーター 私と?

アンセルム あなたは4年間、イオス星でラヴェンダーの温泉に浸かったと聞いております。
ポニェッツ仕様のラヴェンダーです。

 昔、リマー・ポニェッツが過(あやま)ってブラックホールに吸い込まれる寸前に不死の従僕にあわやのところで救出されました。その時に荷のラヴェンダーが変容したのですが、そのラヴェンダーの変容に、そのクロミニウムが関係しておりました。

 そのクロミニウムは本来、宇宙構成要素の物質と暗黒エネルギーと宇宙エネルギーとの関係を繋ぐ物質だというのです。

ミーター そうだったんですね!

アンセルム そしてこの宇宙の謎を解くクロミニウムはまた、銀河脱出に必要なものだったのです。

ミーター う~む、それではヴァナジウムとは?

アンセルム 不老長寿の妙薬元素です。地層深い玄武岩層に染み込んだ水に溶け込んだ元素で、これは、人間の体内の老廃物を分解させ、代謝を促進させる効果が認められています。とくに人間が長い時間、宇宙旅行をする際に効果を現します。
 
 このヴァナジウムを効果的に放射能汚染から身を防御したアルファ人の源流となったニフ人が日常用いてたのです。

 地球のニフの最高峰のフジから発見されたと聞いております。「フジ」とは不老長寿という意味もあったというのです。

ミーター たしか、ガイアのドム長老も同じことを言ってました。
 なるほど、それであなたは、銀河復興の最終目標に、あの漂流のシンナックス人を追うということをお考えで、この廃坑に着目されたのですね!

アンセルム よく推理されました、ミーター殿!その通りです。ハニスも申してました。今や推理力ではミーター君は俺より優っている、とね!
 
 ご覧なさい、ここ銀河の最終点では、天の川銀河はレンズの外れにあります。かつて偉大なる小説家は次のように表現していました。

「銀河は中天にかかり、その霞んだレンズの形が地平線から地平線まで、物憂げに伸びていた。」(The galaxy was high in the sky and its misty lens shape stretched lazily from horizon to horizon.
)

ミーター とても詩的ですね!


ミーターの大冒険 第九部 エピローグ 第15話 傍受されていたウルトラウェーブ通信

2023-02-08 17:39:05 | エピローグ
197第15話傍受されていたウルトラウェーブ通信
ミーターの大冒険 
第九部
エピローグ 
第197話 

傍受されていたウルトラウェーブ通信

あらすじ

 ファウンデーション暦493年、ミーター、イルミナ(?)、ペイリーはターミナスに着いた。ジスカルド・ハニスとは地球への音信以来連絡が途絶え、ターミナス全土を探したが、見つけられなかった。

 アルカディア農園は無事だった。ハニスとコンパーが上手に政府の力から手練手管で守っていたからである。

 代理人としてジム・ヘンダーという50代の男が農園を維持していた。

 ミーターは、ジムの履歴正体をつまびらかにする。

 後日、二人はターミナスのアルカディア記念博物館に隣接しているサルヴァー・ハーディン博物館にムン・リー・コンパーを変装して訪ねた。ヘルダーを通して申し合わせしていたからである。

 3人(?)は、コンパーからハニスの消息を聞かされる。スミルノに近いダリバウという過疎化が進む弱小惑星にいるらしい。

 彼らは一旦、アルカディア邸に戻って、ダリバウの旅程をヘンダーと打ち合わせる。

 ヘンダーはダリバウに行ったら、レオナルド・アンセルム・オー・ロドリックに逢うように勧める。

 アンセルムは彼らを歓迎した。アンセルムは密かにファウンデーション連合(ターミナスの単独政党ターミナス第一)を苦々しく思っていた。
 そして第2ファウンデーション及び反ミュールとの連繋を模索していたのであった。

197

ミーター 二重、三重スパイ?

アンセルム 「ミイラ取りがミイラに」という言い回しをご存知でしょう。人を探していたものが、やがて探される立場になってしまうという、あれですよ。それが権謀術数が渦巻くターミナスの政治の現状なのです。ハニス君はまさに以前、スパイ学に精通している立場が反体制側の情報を完全にブラノ側に筒抜けされて、彼が行く行き先々に先回りされて完全に裏をとられて、結局窮地に嵌まってしまいました。
 それをいち早く察知してハニスに進言したのが私です。それをハニスに教えました。それからは彼は自分から外部へ通信することをやめることにしたのです。
 政権側は恐怖の情報管理を徹底しています。反体制の人間は察知されると同時にヴェガ星に流刑になっております。そこから一生出られないのです。
 
ミーター ハニスさんの言行を政府のやつらはずっと以前からつぶさにわかっていたというのですね。それでハニスさんはご自身の情報をウルトラウェーブ通信で私に伝えなかったのですね!

アンセルム そうです。それというのは、二重スパイがほかにいるからなのですよ!

ミーター 誰ですか?アンセルムさんはご存知なのですね!

アンセルム それについてはいわく言いがたし、なのですよ、ミーターさん。

ミーター もしや、参ったなあ、コンパー!

アンセルム 私からは申し上げにくいが、お察しの通りです。彼は勿論、第2ファウンデーションのエージェントですが、ターミナス政府の情報を本国に伝えるためにコデルやブラノに接近しました。やつらはコンパーから第2ファウンデーションの情報を得る代わりにコンパーを政府の要員として採用したのです。
 ですから、コデルらは第2ファウンデーションがなにを考えているか、おおよそは掴んでいます。

ミーター そんなことがあり得るのですか?
 第2ファウンデーションはそれを承知でコンパーをターミナスに送り込んでいるのですか?

アンセルム それについては多少、説明が必要です。
 コンパーはコンパーで、ある程度の野心から、第2ファウンデーションの第1発言者からの指令よりも若き次期第1発言者になろうであろうジョンディバルという人物の下で働いているようです。
 そしてまた彼の行動は、そのジェンディバルという人物からも離れてそのほかとの連繋もありそうなのです。

ミーター ムッ!三重というのですね!

アンセルム そうです。もうひとつというのが、反ミュールなのです!

ミーター なんとわあ。複雑過ぎる。
 あのコンパーさんは一体全体なにを考えているんだ?

ペイリー ヤッパリね!怪しいと思ってた通りですよ。イルミナさんが聞いたら悲しがるわね!

ミーター そうでしょうけど。コンパーさんにもなにかこれといった理由があるかもしれない。そう、犯罪者呼ばわりするのは、もう少し待ってもいいんじゃないでしょうか。

ペイリー そうかしら。アンセルムさんのいう通りだとするともう議論の余地なんかないに決まっています!


ミーターの大冒険 第九部 エピローグ 第14話 ダリバウの廃坑

2023-02-08 00:59:39 | エピローグ
196第14話ダリバウの廃坑
ミーターの大冒険 
第九部
エピローグ 
第14話 

ダリバウの廃坑

あらすじ

 ファウンデーション暦493年、ミーター、イルミナ(?)、ペイリーはターミナスに着いた。ジスカルド・ハニスとは地球への音信以来連絡が途絶え、ターミナス全土を探したが、見つけられなかった。

 アルカディア農園は無事だった。ハニスとコンパーが上手に政府の力から手練手管で守っていたからである。

 代理人としてジム・ヘンダーという50代の男が農園を維持していた。

 ミーターは、ジムの履歴正体をつまびらかにする。

 後日、二人はターミナスのアルカディア記念博物館に隣接しているサルヴァー・ハーディン博物館にムン・リー・コンパーを変装して訪ねた。ヘルダーを通して申し合わせしていたからである。

 3人(?)は、コンパーからハニスの消息を聞かされる。スミルノに近いダリバウという過疎化が進む弱小惑星にいるらしい。

 彼らは一旦、アルカディア邸に戻って、ダリバウの旅程をヘンダーと打ち合わせる。

 ヘンダーはダリバウに行ったら、レオナルド・アンセルム・オー・ロドリックに逢うように勧める。

196

ミーター あなたが、ヘンダーさんから紹介されたプルーマ星のレオナルド・アンセルム・オー・ロドリックさんですね!私は以前、ヘンダーさんが今管理されているアルカディア農園の従僕をしておりましたミーター・マロウと申します。この度、丁重にここに訪問のお許しを頂き、誠にありがたいことです。

アンセルム ヘンダーから聞いておりました。ようこそ我が別荘に。ミーターさんですね。どう見てもロボットには見えない。一ターミナスの青年に見えます。アルカディア様については我が星プルーマばかりでなく、スミルノやアナクレオンでもよく知られています。
 まあ、ミーターさん、そんなに硬くならずに「きみ」程度の言葉で頼みますよ。アナクレオンの高官だったのは遥か500年前の先祖の時代でしたからねぇ。
 お隣のお若いスレンダーなご婦人がペイリーさんですね。例の500年前のトランターの大宰相の今を生きるご令嬢様ですね!

ペイリー まあ、ご令嬢?
 私は、そんなものではありませんよ。たかだか地球の衛星で育った田舎娘ですから。
 それに、月はこんな空気も緑色も水もある環境は皆無ですから。

ミーター ロドリックさん、ところで、ここダリバウにはスミルノ、アナクレオン、ターミナス星区の金持ちや政府の高官の別荘が数多く存在しているみたいですが、それって、高官たちの政治の駆け引きや密談が密かに行われているって聞いておりますが。
 私の身内のジスカルド・ハニスさんがこちらに潜伏していると聞いて、あなたのところに来させていただいたのですが。

アンセルム それはそれは、残念です。つい3日前に、イフニアに我がスペース・ワゴンでお送りしたところです。

ミーター それは残念です。
 ところで、ハニスさんはここダリバウでどういうことをされましたか?
 そしてその結末は?
 
 ここダリバウは、いわばターミナス政府の意向に沿って、ターミナス政府・行政以上に重要な政治の方向性を決定を左右させる惑星だと聞いております。中には水面下で、ターミナスに批判的敵対勢力のエージェントもいるのですね。

アンセルム さようです。表だっては、ターミナスのハーラ・ブラノに恭順を装ってはいるものの、その内実は、その逆です。ほぼ大半の惑星はあの鉄面女史にこころよくは思っておりません。ターミナスがなにか政略的失敗や破壊的出来事が起これば、そこの連合から離脱したり、あわよくば、ターミナスにとって代わろうと目論でいます。
 それほど今は危機的不安定な時代に成って来ました。
 
 とくに、まだ全銀河の各勢力には、あなたがなし得た「銀河歴史消滅からの回復」という一大エポックを過ぎても、その情報と変化は伝わっていないのが現実です。

 私には特別に情報察知のネットワークがありましたので、いち早く入手し得ておりますが。

ミーター ということは、当然、ブラノのターミナス政権は、その歴史復活の事実を既に手に入れているというのですね?

アンセルム 左様。そう考えて差し支えないでしょう。

ミーター そうですね。それでは彼らの情報源は何処からでしょうね?
 ヘンダーさんからは、あなたは反ターミナスと聞いております。そう、安心して信頼できると。

アンセルム それについてはどうでしょう。
 はっきり言えることは、あなたとペイリーさんが私をお尋ねにここに来られると、知っておりました。

ミーター なんですって!

アンセルム そうなんです。私はこれでも、ベイタ・ダレルの一ファンと自負しております。
 それに、今の時代は新しい動きと旧態依然のものが渾然一体ですからね。

ミーター と申されますと?

アンセルム 二つのことが言えます。旧態依然とは、今でもミュール時代の変更者の影響も残っている、ということ。そして第2ファウンデーションのエージェントの多くはターミナスにはほぼいないが、ターミナス周辺のここには大勢潜伏しています。加えて第3のグループのエージェントもじわじわとその影響を与えはじめている、ということです。
 かくいう私の祖父もミュールの犠牲者で、ミュール後に変更者から元に戻りました。そんな祖父の影響を父は側にいてその代わり具合を覚えていたそうで、私に詳しく教えてくれました。それで、この150年あまりの変化は目を見張るものがありました。

ミーター なるほど。
 そして もうひとつというのは?

アンセルム そうですね、いわばスパイ!それも二重、三重のスパイ!

ペイリー えっと、どんな人たち?


ミーターの大冒険 第九部 エピローグ 第13話 ダリバウへ

2023-02-07 03:46:00 | エピローグ
195第13話ダリバウへ
ミーターの大冒険 
第九部
エピローグ 
第13話 

ダリバウへ

あらすじ

 ファウンデーション暦493年、ミーター、イルミナ(?)、ペイリーはターミナスに着いた。ジスカルド・ハニスとは地球への音信以来連絡が途絶え、ターミナス全土を探したが、見つけられなかった。

 アルカディア農園は無事だった。ハニスとコンパーが上手に政府の力から手練手管で守っていたからである。

 代理人としてジム・ヘンダーという50代の男が農園を維持していた。

 ミーターは、ジムの履歴正体をつまびらかにする。

 後日、二人はターミナスのアルカディア記念博物館に隣接しているサルヴァー・ハーディン博物館にムン・リー・コンパーを変装して訪ねた。ヘルダーを通して申し合わせしていたからである。

 3人(?)は、コンパーからハニスの消息を聞かされる。スミルノに近いダリバウという過疎化が進む弱小惑星にいるらしい。

 彼らは一旦、アルカディア邸に戻って、ダリバウの旅程をヘンダーと打ち合わせる。

195

ミーター ヘンダーさん、ダリバウにハニスさんは潜伏しているらしいことはわかった。ダリバウについて何かご存じですか?ハニスさんを探し出す方策について何かいいアイデアがありますか?

ヘンダー ダリバウは、スミルノ星系にあって極めて弱小惑星です。とくに目立った産物もありません。言えるとしたら、二つあります。ひとつ目は、海の綺麗さですね。それでスミルノやターミナス、旧アナクレオン区域のなかで最近にわかに別荘地域として人気が出て来てます。
 もうひとつは、謎めいた伝説があります。首都のケリアにある古ケリア神殿遺跡の地下に「涙の黒い太陽」の像が埋蔵されていた、というのです。

ミーター それは今でもみられるのですか?

ヘンダー いいえ、ある報告がずっと昔にあっただけです。今はそれは消えてしまったという噂です。

ミーター 「涙の黒い太陽」って、あのベリスが目撃した、彷徨えるシンナックス人たちの伝説のですね。
 ヘンダーさん、その「涙の黒い太陽」というのは、いつ頃の話ですか?

ヘンダー 確か、1000年前にスミルノ及びターミナスが最初に発見された前後というだけはわかっていますが。

ミーター ということはターミナス建設の500年前か。とすると、ベリスに現れた「涙の黒い太陽」はターミナス入植以前500年前ということになる。

ペイリー ミーターさん、私の感なんですけど、シンナックス人のガール・ドーニックはここターミナスに来る前、トランターでハリ・セルダンに会ってますよね。

ミーター もちろんだとも、ベイタ・ダレルの本の通りだとするとね。

ペイリー そしてターミナスでベリスに会いますよね。そして彼らは結婚して、一人娘のドースが生まれる。
 それって、もしかして、「シンナックス・コインシデンス」というんですね。
 
ミーター そう言うんですか?
 俺は知らなかった。
 ペイリーさん、それについてあなたは前からご存じでしたか?

ペイリー パパから教わりました。
 そしてこの前のシンナックスで、シンナックス中央図書館で、あのガール・ドーニックが隠されてあった神殿の所在を調べてから、現地に行って見ました。

ミーター えっ!ずっと浜辺にいたのかと思っていました。図書館へ?

ペイリー その神殿は、すでに朽ち果ていましたが、グレディアさんらの遺体の埋葬あともおおよそ探り当てられました。
 それから、そこダリバウも不思議なところです。シンナックス人のおおよそは地球のニフ人ですが、もともとは地球の海洋民族だと学びました。
 ですから、ターミナスはもとより、カルガン、セーシェル、シンナックスも、そしてダリバウも海の綺麗なところから、何か共通項があるみたいですね。

ミーター そうなんですね!海で共通!
 1000年前にこの銀河の海のある星々を旅して回った。
 ペイリーさんは案外隅に置けないな!あなたはシンナックスの浜辺でただリラックスしていただけだと思っていました。

ペイリー それにです。私の育った月は、とても寂しいところでした。
 私の一番近くにいて、育ててくれたのは、ロボットのオーロラ・ルナセントですが、その他には遊び相手は、数台のロボットとチクタクしかいませんでした。言うなれば、孤独でした。

ミーター その孤独が何かダリバウと関係があるのですね。

ペイリー そうですね。孤独な星。見捨てられた遺跡。それから、ご自身の星から見捨てられたジスカルド・ハニスさん。
 とても他人ごととは思えませんよね!

ミーター そうだったんですね!
 ペイリーさんに比べたら、俺なんて、いい仲間に囲まれていたんですね。
 アルカディアや彼女の知り合い。オリンサスさん。トランターの農園の方々。そしてイルミナ。

ペイリー ダリバウの首都の名前をご存じですか?「ケリア」っていうんですよ。その銀河聖語の意味は「ヤマブキ」って言うんですよ。