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仏語、英語学習者。アイザック・アシモフのファン。ノース・ホワイトヘッド思想信奉。縄文志向、仏陀志向。

ミーターの大冒険 第二部 イルミナ 第5話 「我らは銀河の子」

2022-05-05 19:59:19 | ミーターの大冒険
ミーターの大冒険 第二部 イルミナ 第5話 「我らは銀河の子」

あらすじ 


 ミーターの体は4年間で完全に復旧し、無事に同じく修理されたファー・スター2世号に戻された。
 イルミナは当然無事だった。彼女の本体は、ターミナスの帝国辞書編纂図書館の地下からのコントロールなので、受動機さえあれば、どこにでも移送されるからだ。
 イルミナはミーターが時々白昼夢を見、独り言を喋り出す癖を発見する。ミーターの体の全体がまるでアルカディアの思い出で満たされているように。イルミナはミーターの白昼夢の内容を知っているにもかかわらず敢えて尋ねるのであった。
 思い出の一つは、その時が必ず来る事を50年も待っていたアルカディアのある晩のことであった。
 アルカディアとペレアス・アンソーアの再会の出来事であった。

 場面は、ミーターを乗せたファー・スター2世号のなか。シンナ星に軌道上にいて、時にミーターは地表探索を重ねる。再度の銀河横断に対しての並々ならぬ決意が滲み出ている。
 シンナ星から見上げる眩(まばゆ)い極光になにかしらの兆(きざ)しを感じるミーターだった。
 ただ時たまイルミナのちょっかいが耳障りだが、それでも面白いと感じる。
 イルミナのアンソーアについての感想が際立つ。
 ミーターは、それでも「音痴」という言葉から何かに気がつく。


97

 
イルミナ ミーターさん、音痴ってこの世の中には実在するのね。アンソーアさんの歌は聴けたもんじゃないわねぇ!ミーターさん、あなた、また思い出しているのね。そういうの「追憶の鍵」を開けているっていうの、知ってた。

ミーター イルミナ、控えろ!アルカディアは、目を瞑って、聞いているじゃないか。
 それにしてもイルミナ、君は僕の頭の中も読めるのか?いや聴けるのか?恐れ入った能力じゃないか!あれから何年過ぎたんだろう。アンソーアさんがアルカディアの館に再訪した夜から。

イルミナ さっき言ったでしょう。私は「心理スキャン備え付け最新鋭イルミネーショナー」って。あなたのいまの白昼夢とやらも、お茶の子サイサイなんですよ。
 それにしても、アンソーアさんは音痴だわ!

 強いて誉めろと言えば、う~そうね、ここシンナの地表から私たち二人が見上げる天空かしら!シンナの星空って、銀河一かも知れませんね!オーロラと横たわる銀河が交差しているの。ずっと観ていたいわ。

 イルミナ、僕の追憶はターミナスのアルカディアの館のあの夜のことで、ここシンナのことじゃない。
 で、その音痴な歌っていうものの歌詞は分かるのか?スキャン・アップしてくれないか?

 分かったわ。今出すね!

(ターミナスのプライマリーで歌われる『我らは銀河の子』)
「冷たい銀河の風に打たれても
僕らは怯まない
なぜって 
僕らは高邁な理想に燃えているから
セルダン先生のあとを追いかけて
たとえボロなスペースワゴンだって
へいちゃらさ

優しい銀河の風に打たれて
僕らは涙する
だって僕らは銀河の子 
我らの命 愛 夢 勇気は銀河の塵でできている
ドーニック先生から教わった織姫と彦星
貿易商人は三年に一度も
恋人に会えなかった

熱い銀河の風に打たれて僕らは戦う
なぜって銀河はそれを望んでいる
ファウンデーションはきっと大銀河を復興し
希望が愛に変わる
宇宙の果てまで紫(モーブ)に染まる

美しい銀河の風に打たれて女たちは踊る
オルフェウスの琴の音に心が溶かされた
ニンフのエリディケのように
たとえドースが R であってもセルダンを助けてアンドロメダまで行っちゃうよね」

ミーター 「音痴」、「交差」か?

https://youtu.be/3U39Gymkcxw

yatcha john s.


ミーターの大冒険 第二部 イルミナ 第4話 「アルカディア 追憶の鍵を開けて①」

2022-05-05 15:34:43 | ミーターの大冒険

あらすじ


 ミーターの体は4年間で完全に復旧し、無事に同じく修理されたファー・スター2世号に戻された。
 イルミナは当然無事だった。彼女の本体は、ターミナスの帝国辞書編纂図書館の地下からのコントロールなので、受動機さえあれば、どこにでも移送されるからだ。
 イルミナはミーターが時々白昼夢を見、独り言を喋り出す癖を発見する。ミーターの体の全体がまるでアルカディアの思い出で満たされているように。イルミナはミーターの白昼夢の内容を知っているにもかかわらず敢えて尋ねるのであった。
 思い出の一つは、その時が必ず来る事を50年も待っていたアルカディアのある晩のことであった。
 アルカディアとペレアス・アンソーアの再会の出来事であった。


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イルミナ ミーター、教えてくれない。たまにあなた、ニヤニヤして、思い出しているようで、そうやってボオッとしてることが多いわね。ちゃんとその理由はわかってますけどね。取りあえず、聞いてみようとして。
 わたし、こう見えても心理スキャン備え付け最新鋭イルミネショナーですから、あなた、顔がなくても、ちゃんとわかるんですからね。

ミーター 何が最新鋭だって? 4年前のあの事件じゃ、こっちはもう停止寸前だったんたぜ。お陰で熱いお湯に浸かったり、こんな時間の無駄になってるんだ!

イルミナ あれは、しょうがなかったのよ。あれは宇宙潮流のデータがターミナスのデータではもう古くなっていたのよ。今ではシウェナや、カルガンの航宙技術の方が進んでいるんですから。あっ、いけない。またカルガンって口走ってしまったわ。ミーター!ミーター!また思い出しているのね。やっぱりアルカディアのことねぇ!

(ここから長いミーターの記憶中の白昼夢が入ります。)
「ミーター、今日のちょうど50年前の夜から初まったのよね! ちょうど今日よね! 行くわね! 『追憶の鍵を開けて』の続編やっと書けるわ。何しろ今まで公務で必死だったんですから。ベイタおばあちゃんのカルガンの話から100年目ですよね!

 トントントン。

 なによ、ミーター、聞いているの?」

 「ミーター アルカディアお嬢様、ちゃんと聞いてますよ。
 お嬢様、窓に何か当たったみたいですよ。
どうしたんですか?お嬢様、突然階段から降りて行って。危ないですよ、もう歳なんですから。」

 アルカディア「アンソーアさん。そうだと思った。ちゃんと一階の玄関の鍵を開けたわ。ようこそ我が家へ。今はこの家、ミーターと二人だけですけど。お入りになって。アンソーア。二階の窓に木枝を当てたのがあなただってすぐわかったわ。あなたも大事な公務を終えたのですね。
 お入りになる前に、あなたがターミナスの人間かどうか、確かめられたら、どうぞお入りになって。」

 アンソーア 「アルカディア、久しぶり! 
 歌えるよ。あれから毎日、『我らは銀河の子』の練習は、欠かさなかったからね。
 ニュートンから歩いて来たんだ。途中、夕方からずっと以前のお宅のラベンダー畑にいたんだ。あの薫りで、もう一度昔の僕に戻れたような気分だよ。
 今回はちゃんと一階の玄関からお邪魔しましたよ。玄関の鍵を開けてくれてありがとう、アルカディア!」(白昼夢中断)

イルミナ ねぇ、ミーター! 寝ているような、泣いてるような!

ミーター イルミナ、もし僕が人間だったら「泣いている」と思うよ。
 ところで、あの奇跡のベイタさんの思い出のカルガンまで、どこくらいだい。
アルカディアの遺言の一つなんだからね。
 


yatcha john s.

ミーターの大冒険 第二部 イルミナ 第3話 「甦りのミーター 甦りのファー・スター2世号」

2022-05-05 01:26:16 | ミーターの大冒険




あらすじ

 アルカディアが81歳で亡くなった。
 
 ハニスの直感とミーターの柔軟性のある論理思考が冴え渡る。「微細心理歴史学」、「極素輻射体」、「ロボット第零法則」の真実理解までも到達した。後は、オリンサス・ダムの図書館改造とファー・スター号の改造を待つだけ。
 
 ハニスは、いよいよ銀河復興への第一歩が胎動して来たとの予感を感じるのであった。それはドースの盟主の思惑なのであろうか、ハニスに戦慄がはしる。彼は今や、通常人間の世界には許されてない限界点を超えようとしている。
 ハニスは、イオス星でドース・ヴェナビリに会い、続いて、かつて天の川銀河の中央、中心都市、トランターに降り立った。果たして、彼ら(第2ファウンデーション)の感応能力によって、ハニスへの干渉のボーダーラインは、どの地点に設定されたのであろうか?ハニスの記憶はどこまで、どのように保持されるのであろうか?ハニスはアルカディアに続いて、単独人としてのボーダーラインに立っている。
 
 ついにハニスは、第2ファウンデーションの第一発言者に会った。壮大な宇宙史が解き明かされて圧倒される。そこでハニスの探索は終わる。暗示されていた「反ミュール」には遭遇能わず。しかしハニスはこの成功をミーターへの土産としてターミナスに凱旋した。
 ジスカルド・レベントルフ、ダニール・オリヴォー、そしてミーター・マロウ(ダレル)。第零の法則を遵守するロボットたちの活躍を思って、ハニスは、自分の命を、ミーターに捧げる決意をする。それは、第零の法則を信奉する人間を造り出す道に進むことだと悟ったのである。人間が、新しい銀河をつくらねばならないからである。ミーターは、そのハニスの志しを心からありたがるのであった。
 ハニスは第2ファウンデーションが「反ミュール」との共鳴を受容しつつ、銀河の再興の時を予見しているのを確認して来た。あとの課題は、第一ファウンデーション(ターミナス)の方向性だけだ。
 ハニスは政治家を目指す。しかし、これが熾烈な難問になる。政府当局が彼ら3人組に気がつきはじめて来たからだ。
 ハニスが主導する「銀河再生党」はハーラ・ブラノ率いる「ターミナス第一」に惨敗した。ミーターとアルカディアを模したチクタク(単純型ロボット)を駆使して、アルカディアの人気を裏手に使った。
 そこでハニスはミーターからの進言で、イフニアへの遷都案を決意するが、...
 一方、オリンサス・ダムは、持病の心臓病が悪化する。3人組の運命や如何に?
 ハニスは、例のコンパーを図書館の執務室に訪ねた。コンパーが、第2ファウンデーションのスパイであったことに驚愕する。

 コンパーが、アルカディアの館のミーターを訪ねる。コンパーは、ファー・スター2世号を完成させて、ミーターの地球探索の出発を薦める。ミーターは承諾するのであったが、コンパーの態度に一抹の不安を感じるのであった。大枠では、承知するものの、他に何かあるような気配を感じるのであったが、ハニスのことばで、ミーターは旅立ちを決意する。
 ハニスは、彼の主導する「銀河再生党」が非合法化され、イフニアで地下組織として活動を継続することになったことを告げる。
 いよいよミーターは完成されたファー・スター2世号に乗り込むのだったが...
 ハニスはミーターの旅立ちを見送る。彼自らは、ブラノ、コデルたちに対抗する新た策の実行に移る。「無謬の直感力」の青年と「証古学」を極めているという青年、二人を探し出すことにまず専念する。
 ミーターはファー・スター2世を一気に加速させ、ジャンプを繰り返し、目指す地球(アタカナ)に到達しようとしていた。
 ターミナスから発進したファー・スター2世号にはヴァーチャル・リアリティーの若い女の子が投影され、ミーターに親しく語りかけてきた。ターミナス帝国辞書編纂図書館そのものと自己紹介してきた。彼女は、その図書館のイルミネーショナーと自ら言う。
 が、突然の事故が勃発した。



93
ミーター 君って、「帝国辞書編纂図書館」っていう名前じゃ呼びづらいけど、もっと簡単な名前にできないのか?

イルミナ そうですね。ミーターさん。もうこの銀河に帝国なんて存在してないのに、自分でもおかしいと思っていたところなんですね。自分自身はターミナスの地下にいるのに、バーチャルコントロールで可愛い女の子の姿で男の子Rの前に映っているんですから。じゃあ、うんとねえ、わたしのこと、「イルミナ」って呼んでね。わたしね、この銀河空間深く、しかもターミナスから離れて自由に翔ぶのが夢だったの。

ミーター イルミナ。君もこの改造スペース・ワゴンの操縦、上手いもんだね。これじゃ、アルカディアの遺言、簡単にクリアできるってもんだね。楽勝!

イルミナ ミーター。そもそもまだ「わたしたち」の目的、目的地、聞いてないんだけど?

ミーター イルミナ。今なんて言った?「わたしたち」?

イルミナ いけない? あなたも一人っていうのも変じゃない?一台っていうのが正しいんじゃないの?
それに、あなたって、Rの癖に元のボスのアルカディアがいなくて寂しがっているんですからね。

ミーター そうかも。それじゃ、とりあえず、そういうことにしようぜ。目的地は、君のデータからは「アタカナ」星。シリウス星域の「カビレ」の第三惑星。ホントの名前は別にあるらしいんだがね。目的はその星の「再生」を探ること。できるだけやってみたいんだ。なんたってアルカディアの悲願だったからね。

ミーター イルミナ、聞いてるのか?

イルミナ ミーターさん、大変!カビレから624.5光年の元のオリオン座という星域のベテルギウスが超新星爆発している。その真っ只中に入ってしまったらしいわ!この船、ガンマ線バーストの直撃で破壊されそうなの!

ミーター さっきの発言、撤回。
おまえって最低!

yatcha john s.