OBSニュース

小樽商科大学ビジネススクール(専門職大学院)に関する情報を定期的にお知らせいたします。

OBSブックレビュー『京様式経営』

2009-04-24 09:10:32 | 書籍紹介
「マネジメントと戦略」、「ビジネスワークショップI・II」の授業を担当する李濟民教授にお薦めの本を紹介していただきました。

末松千尋著
『京様式経営 ―モジュール化戦略 「ネットワーク外部性」活用の革新モデル― 』(日本経済新聞社、2002年)
                                 
90年代に入ってバブル経済が崩壊して以来、全般的に日本企業の業績が振るわない中で、売上成長率、利益額、利益率など、あらゆる側面で驚異的な違いを見せているのが京都の優良企業群、即ち「京様式企業」である。

オムロン、村田製作所、京セラ、ローム、任天堂、堀場製作所、日本電産など革新的な技術を持つ企業群がもっとも伝統的な町の京都に数多く集積している点は興味深い事実である。

著者はその背景にはけっして偶然ではなく、共通的な経営上の特徴が存在するとし、「京様式経営の特色」を次のように指摘している。

(1) 世界の市場で、あらゆる企業とオープンな取引関係を築き、高いシェアを握っている。
(2) 系列を否定し、自主独立路線を敷き、自己資本率が高い。
(3) 最終製品にこだわらずに、一つの技術に特化している。
(4) 独自の哲学を持つ個性的な創業者がおリ、それも技術係が多い。
(5) 京様式企業の商品は当初は日本市場で受け入れられず、米国で成功し、その実績とブランドを逆輸入したという歴史がある。
(6) キャッシュフロー会計、実力主義の徹底など「合理的な経営」を実践
(7) 独立独歩、「自分は自分」という独創性を持ち、日本的な他人同調指向がない。

本質を尊重し、環境変化を先回りし、小さな変革をし続けるという「アントレプレナーシップ」の基本姿勢を貫こうとしている「京様式経営」から学ぶ点は実に多い。

最新の画像もっと見る