9月14日(土)午前、池田町の「弥勒寺」を訪れた。この寺には山門もなく、寺名の表示はない。本堂に続くクリらしきものはまるで農家風である。
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弥勒寺
所在地 東近江市池田町672(旧八日市市)
■宗派 天台宗
■開基 不明
■由来 寺伝等寺史を伝える資料はないが、神崎郡史稿によれば、「往古は大寺であったが、戦国時代の兵火に焼かれた」と記してある。
中世以前の荘園は「柿御園」という大安寺領であったが、中世になると延暦寺領が大きな勢力を持ち、ここに多くの天台寺院が創建された。当寺もその一つで、隆盛を極めたといわれる。戦国の動乱で天台寺院は衰退し後にその多くが復興されたが、、殆ど他宗派の寺院として再出発した中で、地域の人々に護られて、細々ながら今日に至っている。
戦後の農地改革で、資糧は無禄となって益々困窮している。
本尊は開基された寺号の如く、「弥勒菩薩」である。
木坐像の堂々とした姿で、76㎝の躯長である。寺伝では聖徳太子の作となっているが定かではない。
弥勒菩薩は未来仏として、大乗小乗を問わず、多くの経典に説かれており、地域の信仰を集めたと思われるが、天台宗でお祀りする仏像の中では、全国で8体しかない数少ない本尊である。
珍しいものに、本尊に因み、弥勒菩薩が兜率から下生して如来となり、民衆を救済することを説いた「弥勒来時経」が残されている。
また、九曜星像や役行者神変菩薩像など、密教系尊像が護摩檀配置と合わせて、創建当時の寺運の様子が伺える。
■本尊 木造弥勒座像(10世紀の作)
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