岡田 八十次（おかだ やそじ）（1568年（永禄11年）－1650年（慶安3年）は、老舗の近江八幡商人。通称は弥三右衛門。屋号は恵比須屋（蝦夷地）、松前屋（近江）。
「八十次」は歴代当主が襲名した名称（なお、第6代まで「弥三右衛門」を当主名として用いた。）
岡田八十次は、近江の野洲郡加茂村の武士から帰農農家に生まれ、年齢14-15歳の時に親元を辞し、天正4年（1576年）、織田信長の居城安土城築城に伴い安土に居住とするも天正10年（1582年）、本能寺の変で織田信長は滅び衰微となった。
天正14年（1586年）、豊臣秀次が近江八幡に築城に伴い近江八幡の偽心町元に居を構え商業を営んだ。
しかし、天正18年（1590年）、再び豊臣秀次も没落したため、慶長年間（1596～1614年）には奥州南部河内港（現盛岡）、八戸（青森県）に呉服太物の行商をし、その際、そこを拠点呉に呉服太物の品物を松前城下（北海道）にも品物を回送販売した。
松前藩士工藤平右衛門宅に寄宿開業し、その後、松前城下の大松前町に宅を構え支店とした。
蝦夷地(北海道)の松前に支店を置き、海産物類を北陸、京坂に輸送・販売して巨万の富を築いた。
慶安3年（1650年）5月25日死去。83歳。
岡田家初めは呉服太物、荒物商を営んでいたが、享保年間（1716-1735年）位から「場所請負」も行うようになった。
「場所請負」とは
江戸時代，松前藩・幕府が行った蝦夷地経営の方式。 近世初頭，松前藩は直轄とした和人地（渡島(おしま)半島南部）以外の海岸部をアイヌの各部族の漁業権域に対応した〈場所〉という区域に分け、この場所におけるアイヌとの交易権を知行として家臣に与えた（商場）。18世紀前期に成立し、明治初年に廃止された。
岡田八十次家
歴代当主
岡田藤左衛門- 岡田家高祖とされ、安土城下に生まれる。
岡田弥三右衛門 (初代)玄悦：（永禄11年（1568年）-承応3年（1654年））慶長年間（1596年-1615年）八戸に進出し、後蝦夷地松前に出店。
岡田弥三右衛門 (3代)秀慶：（生年不詳-元禄6年（1693年））3代秀慶の頃から享保年間（1736年）に『場所請負人』となったとされる。
岡田弥三右衛門 (4代)玄正：（生年不詳-宝永7年（1710年））3代秀慶嫡子。
岡田弥三右衛門 (5代)秀悦（正広）：（生年不詳-明和2年（1765年））4代玄正次男、通称清八。弟玄慶をもって小八郎家を立てる。
岡田弥三右衛門 (6代)礁意（正利又は広孝）：（生年不詳-天明元年（1781年））5代次男、幼名弥二郎。
岡田八十次 (7代)秀遠：（生年不詳-安永9年（1780年））6代広孝長男、幼名治郎。10代までは弥三治とも記される。
岡田八十次 (8代)秀山（常広）：（生年不詳-天保12年（1841年））6代広孝次男、通称清八。
岡田八十次 (9代)誠定（広房）：（生年不詳-文化12年（1815年））8代常広嫡子、幼名清次。
岡田八十次 (10代)松住：（生年不詳-文政4年（1821年））今須三和の三男、8代娘婿、幼名弥三郎。23箇所の場所請負人となる、岡田家最盛期。
岡田八十次 (11代)広猷（正期）：（生年不詳-明治40年（1907年））10代の娘婿、愛知郡柳川村大橋仁右衛門次男。慶應元年（1865年）小樽内場所の請負を失う。
岡田八十次 (12代)眞哲：（生年不詳-大正2年（1913年））11代正期の娘婿、蒲生郡森尻村大梁氏。幼名弥一郎。
岡田八十次 (13代)：（生年不詳-昭和15年（1940年））12代長男。明治16年（1883年）家督を継ぐが、明治34年（1901年）岡田家は事実上倒産。
岡田小八郎家
歴代当主
岡田小八郎 (初代)玄慶（治與）：（元禄11年（1698年）頃-宝暦13年9月（1763年10月））5代岡田弥三右衛門の弟。
岡田小八郎 (2代)恵雲：（享保4年（1719年）頃-寛政元年（1789年））栗太郡下物村（現草津市下物町）の郷士久松恵雲の子閑斉を娘そよ入婿。
岡田小八郎 (3代)政渉：（宝暦11年（1761年）頃-享和元年2月（1801年3月））質素倹約に務め小八郎家中興の祖と言われる。
岡田小八郎 (4代)政直：（天明6年（1786年）頃-文政10年10月（1827年11月））八幡朽木陣屋より勝手御用達となる。
岡田小八郎 (5代)政徳：（天保12年（1841年）頃-明治21年（1888年））幼名與吉・通称元太郎。岡田家最盛期に家督を継ぐ。
岡田小八郎 (6代)政祺：（嘉永元年（1848年）頃-明治34年（1901年）12月）明治維新に伴う変化に対し奮闘。
