第106回全国高校野球選手権大会の開幕ゲームで有田工(佐賀県)を破り、夏の甲子園初勝利を挙げた「滋賀学園」(東近江市)。躍進の土台には、ストイックに野球に向き合う選手たちの姿があった。
「滋賀学園」の部員は71人いるが、滋賀県内出身者は少ない。滋賀県外では、沖縄、兵庫、大阪、奈良、和歌山、岐阜、三重、愛知、石川、東京、千葉の11都府県と広範囲にわたる。
「滋賀学園」は滋賀県東近江市にあるが、交通の便が悪いことが背景にあるという。「全国から学生が集まる大学みたいなもの。選手たちは甲子園に出るという夢を持って、腹をくくって親元を離れて来ている」と山口達也監督。
部員たちが暮らすのが、学校やグラウンドの近くにある「黎明(れいめい)寮」。 1999年の創部に合わせて造られ、15年前に夏の甲子園に初出場したあとに増築。今は部員71人のうち70人が入っている。
部屋には2段ベッドが置かれ、各部屋3~5人が生活。部屋にテレビはなく、食堂に置かれているだけ。ただ、寮母の西沢和枝さんは「テレビを見るのは数人。見ながらわちゃわちゃ言う子もいない」。
帯電話の使用は禁止されている。野球に集中して貰うためで、携帯は自宅に置いてある。春からWiFiは使えるようになり、親や地元の友だちとの連絡は、学習用のタブレット端末に入ったグーグルの「Gmail(ジーメール)」や寮にある公衆電話などを使っている。
「40年前の寮みたいですよね。子どもはみんなストイック」と西沢さんは話す。寮の外で素振りなどの自主練習に励むほかにも、寮の掃除もしっかりやっているという。
部員たちは、この寮、学校、グラウンドを自転車で行き来する日々を送る。色々な制限があることを知ったうえで入部しており、「野球に集中できている」と口をそろえる。
寮では、夜にミーティングも開く。滋賀学園は、夏の滋賀大会で例年優勝候補に挙がり、昨年は準優勝。昨秋からは、寮の掃除を週2回に増やすなどした。「新チームでは私生活からしっかりしていこうと部員たちで決めた」と寮長の荒井浩志さん(3年)。
結果として、今春の滋賀県大会決勝ではライバル・「近江」を破って初優勝。夏の滋賀大会も危なげなく勝ち上がり、15年ぶり2回目の夏の甲子園出場を決め、初戦も突破した。
「日々の生活で詰めていって成長できた。チームとしていい環境だった」。門田侑也主将(3年)は力強くうなずく。
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選手たちは、8月7日の開幕試合の翌日は休み、8月9日(金)から学校のグラウンドで練習を再開した。
開幕試合で、五回に貴重な同点打を放ち、三塁打も2本打った仲田隆玖選手(3年)は「初戦のよかった打撃は、引っ張らず、一打一打タイミングを合わせたライナー性の打球を意識したい」と話した。
<記事・写真: 朝日新聞より>
尚、滋賀学園では近江トラベルと共同して、8月13日の2回戦、対「花巻東」に「甲子園応援ツアー」を計画している。WEB予約は8月12日(月)17時まで受け付けているので是非応援に参加して欲しい。
WEB応援申込サイト https://www.shigagakuen.ed.jp/news/2024/08/id_3154