えん日記

NPO法人暮らしネット・えんのつぶやき

保育士も、介護士も

2016-03-14 18:10:37 | Weblog
「保育園落ちた!」のツィッターがネット、メディアをにぎわしています。
言葉は乱暴ですが、痛いほど思いが伝わってきます。
多くの共感を得て、国会前に「保育園落ちたのは私だ!」と多くのお母さんが集まったとか。
政治の鈍感さに怒りが頂点に達したのでしょう。
それにしても、「保育園の建物は造れるが、保育士が集まらない」って、保育園に『介護施設』、保育士に『介護士』を当てはめても同じことではありませんか。
よくよく考えてみると、「介護離職ゼロ」と言いながら実効性のある施策はまるで出てこない。
「女性の活躍」を謳いながら保育園増設はしない。
この国は、親の介護は子どもが、子育ては母親がすべきだという信念(本音)のもとに政治が行われているのではないか。
そして、女性が多い職業の典型である介護職、保育士なんて「女なら誰でもできる」と未だに思っているのではないか。
少し前、女性の社会進出度が世界43位と報じられていました。前年が38位で順位をまた下げています。
そして、男性の賃金に対する推定割合は46%。
40年以上も前、私の子どもも「保育園、落ちた!」のでした。
実は、えんにとっても「保育所」は検討課題です。
子育て世代が安心して働くために事業所内保育所が欲しいとずっと考えています。
仕事に報いられる賃金が支払える施策でさえあれば、カンタンなことなのですが…。



認知症踏み切り事故判決とグループホーム

2016-03-03 14:50:58 | Weblog
昨日、JR東海の踏み切りで亡くなった認知症高齢者の家族の責任を巡る判断が最高裁で下されました。
判決は、家族の監督責任も賠償責任も認めない画期的なものになりました。長い介護生活の上に不慮の事故での死去、その上に監督責任や賠償を求められるのはあんまり酷です。
ほんとうに良かった!
この件で、私のコメントが昨日の朝日新聞社会面に載っています。
以下に抜書きします。

 認知症の人のグループホームを運営するNPO法人(埼玉県)代表理事の小島美里さんは「画期的な判決。認知症の本人、家族の介護の苦労を身近に見ている者としてうれしい」と喜んだ。一方で「専門職でも事故をゼロにすることはできない。社会全体でリスクを負う方策を考えることが大切だ」と話した。

極々短いものですが、一審、二審の判決を読み、法律家や研究者に意見を求め、準備に時間をかけました。
最高裁の判断は、このケースについては責任は問わないものの、全てのケースに適用されることにはなるとは言っていません。
介護事業を運営する立場からなので、もし同様の事故をグループホーム入居者が起こしたら事業所の責任はどうなのだろうか、という前提が横たわっているからです。
えんは、開設以来基本的に「鍵をかけないケア」をしています。
おまけに、グループホームも小規模多機能型も開放的なつくりで、玄関だけでなくどこからでも出られる構造。ですから、玄関の人感センサーが鳴ったときは事務局も気をつける、一人で外出仕様とする人を見かけたら部署を問わずあとからついていく、近所の商店などにも協力して見守ってもらう、などソフト面でのガードを厚くしています。
それでも、早朝や休日で人手が少ない時間帯に出かけて、見つかるまでに半日ぐらいかかったことは何度かあります。。
一番遠くで見つかったのは、西国分寺駅。およそ15km離れていますが、どうやってたどりついたのかもわかりません。
正直言って、事故にあったらどうしたらよいのだろうか、しんそこ不安になります。
けれども、厳重に施錠している高齢者施設で、トイレの天窓、掃き出し口と、驚くようなところから「脱出」を遂げる方の話も聞きます。
人は閉じ込められたくないのです。外出したいのです。
施錠閉じ込めは「管理する側」の理屈。ご本人にすればいいオトナが外出して何が悪い、と思うでしょう。
悪いことをしたわけではありません。誰かに危害を加えたり損害をあたえることはめったにありません。
それに「徘徊」という言葉もよくないですね。
一からげに「徘徊」といっても、ざっと分けると7つぐらいに分かれるほど、原因、理由もさまざま。
(これについては、後日項をあらためて書いてみましょう)
対応の方法もそれぞれ異なります。
介護職員であっても、かなり経験を積まないと対応が難しいことが多いのです。
まして、この介護職員不足。
ともあれ、認知症の人は社会全体見守るほかないと思います。
被害が発生したときのためには、基金や掛け金がごく小額の共済保険などで対応できないでしょうか。
さまざまに考えさせられる事件でした。