えん日記

NPO法人暮らしネット・えんのつぶやき

土本亜理子著『在宅ケア 小規模多機能』のこと

2010-09-08 09:13:19 | Weblog
昨年7月、1ヶ月間まどかに通い続けて取材された土本亜理子さんの著書が、岩波書店から出されました。『認知症、ひとり暮らしを支える 在宅ケア 小規模多機能』です。わが「多機能ホームまどか」が主な舞台だからという贔屓目抜きで!力作です。何より、小規模多機能型介護という新しい形の在宅支援を丁寧に現場取材した最初の作品です。
町でだれかれつかまえてインタビューしても「ショウキボタキノウって何?」といわれるに違いないマイナーな介護サービス。なかなか増えません。なんてたって、他の在宅介護にはできないきめ細かな対応が可能なのに、介護職員の人数や事業所がもらえる対価=介護報酬が低く、まるで合わないサービスだからです。でも「多機能ホームまどか」を含め、この本に描かれた事業所はどこもこの支援のかたちが「認知症、ひとり暮らし、老々介護」の在宅に最適だと確信して、日々じみちな努力を重ねています。この本では、そこに通う人々と家族、介護スタッフの日常を丁寧に描き込むことで、その結果、超高齢社会の断面を切り取っています。モデルになったところがベタホメするのもなんですから、この程度にとどめますが、読んでいただければウソじゃないことがわかります。
この作品が本になるまでの時間をご一緒できたことを誇りにおもっています。
↓出版元岩波書店の作品紹介です。
http://www.iwanami.co.jp:80/.BOOKS/02/0/0230360.html
 
大きな本屋さんには売っています。インターネットでも取り寄せられます。暮らしネット・えんの近所の方は事務所にもあります。

お泊まりデイサービス

2010-09-01 11:29:46 | Weblog
最近、あちこちに民家を利用して小さなデイサービスを開設、そこへ低額で泊まれるところがビックリするほど増えています。一泊1000円足らず、食費も200円、300円とほんとうに低額。介護度が低い場合、一人暮らしや家族との同居が困難になっても特養ホームには入れず、ショートステイは数ヶ月先でなければ取れない、さりとて有料老人ホームやグループホームは高額という人の引受先になっています。
介護保険外なので基準も指導もなく、雑魚寝だ、食事が悪い、といった話しも聞こえてきて、火事でも起きたらタイヘン、とは思っていました。
そんな矢先に、なんと「お泊まりデイサービス」が新しい介護保険サービスに登場するというのです。只今審議中の介護保険部会の議題になることもなく、来年度予算に上げられているのだからビックリ。
たしかに、ショートステイ不足の解消は必要。けれども虚弱で体調の変化が激しい要介護者の泊まりは慎重に基準を作る必要があります。それに、泊まり、通い、訪問がパッケージになった小規模多機能型介護は課題だらけで思ったように増えていない、このサービスの改善に手を付ける前にどうして「お泊まりデイ」の制度化なの?
老舗温泉旅館のように無計画な建て増しはやめていただきたい、と強く思います。