野沢スポーツのブログ

野沢スポーツでの日々の出来事をつづります。

溢れる思い

2019年08月04日 | スポーツ
風がやんでいた




最後のバッターが

空を切った



主審が

両手あげている


僕は

誰かに

肩を叩かれ

ホームベースへむかった


頭をさげ


横をすれ違っていく顔から

喜びが溢れていた




道具をまとめ

ベンチをあとにした


キャプテンが手をあげ

こちらに来るよう手招きをしている



監督の前に整列した



『お疲れさん。よく頑張ったな。』




僕は急に


胸が熱くて、苦しくて

息が出来なかった

体の中から

何かが沸き上がって

胸を締め付けていた


『うわー!!!』


目の前が滲んでなにも見えなかった





そうだ!

負けたんだ!!



目から流れ出てくる涙を

体から飛び出てくる汗を

止めることはできなかった


『うわーーーーーーーーーーーーー』



それはちょうど一年前

僕が中学1年生の時

中学3年生が引退して

2年生の先輩1人



僕たち10人で

スタートした野球部



まだ、小学生に毛が生えただけの

生意気で

訳もわからず

先輩と意識も持てなかった


先生に怒られ

一緒に連帯責任だ!と

悪くもないのに

隣で怒られ

涙を流していた先輩


移動の車で

みんなで大声を出して笑って


お弁当もよく隣で食べていたっけ


なんだかんだ隣にいて



自分には

なくてはならない存在だった



だからこそ

先輩が

最後の大会で


ひとつでも

一緒にできるように


すこしでも

そばにいれるように


勝ちたかった

どうしても

勝ちたかった

初めて

人のために勝ちたいと

勝ちが

こんなにも

焦がれるものだと

思わなかった


ぼくは

今まで

試合に負けて

泣くなんてなかった


泣いたらダメだと



だけど


こんなに涙が

止まらないなんて


思いもしなかった


苦しくて

苦しくて




嗚咽をあげて泣いた




その時

先輩が

顔をあげていた



真っ赤な顔をしていたが

涙は止まっていた



その時

風が横を通った


まるで

先輩の背中を押すように


もう

先輩の顔は

前を見ていた


遥か先まで




そうだ

この先輩についてきたんだ


この先輩のために


何ができるか?


そうすると

涙が止まった


まだ

胸の奥は痛い


だけど


顔をあげなくちゃ


先輩のために

先輩の残してくれた思いもすべて

受け入れるために



僕は

一歩を踏み出した

































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