けさちょっと早起きした。マンション街の暁闇の中、「ガァガァ」とカラスがもうないていた。声がでかい。近辺その鳴き声で眼を覚ました人も少なくないはずだ。「カァカァ」ではないからハシボソだろう。いくらかしこいといっても「アホウアホウ」とはないていないので「やかましいわい」くらいですんだかもしれない。しかしこれから、カラスと人のトラブルシーズンに入る。カラスの巣づくり、子育ての季節になる。俳句の世界では「カラスの巣」は春、「カラスの子」は夏の季語と決まっている。「ひごろにくき烏も雪の朝(あした)哉」芭蕉の句である。ぼくも概ね芭蕉と同じスタンスでカラスに対しているつもりだ。
ところが、現在の国や自治体のカラスへの対応を見るとその基本のところががまんならない。近年大都市とその周辺に塒をもつハシブト、ハシボソカラスが農作物や園芸への被害をもたらし、環境省も有害鳥類と判定しているにもかかわらず、「カラスと仲良くしよう」という態度をとりつづけていることである。農家や園芸愛好家が実害を被っているのに見てみぬふりするお役所の姿勢はいかがなものか。東京都の対応を批判するだけでは不公正なので大阪府の対策についても調べてみた。しかし同じことだった。
大阪府の場合は、東京のようにカラスの生息推定数も把握していない。ただ、日本野鳥の会大阪支部に委託した22箇所の実態調査(H17年度)など貴重なデータがある。その調査からカラスが、生ゴミ、残飯、魚・野菜屑をはじめ牛・豚用の飼料、柿、蜜柑、玉葱,里芋、白菜、二番穂、木の実など人の廃棄物や畜産の飼料、農業作物など人間生活にかなり餌を依存していることが明らかになっている。なのに大阪府の「野生の鳥や獣でお困りの方へ」というガイダンスでは《カラスは功労者》などと持ち上げ、害鳥として駆除する姿勢は全然ない。「迷惑だからといってかってに捕らえたり傷つけたりしてはいけません。捕獲するには許可が必要です」と住民に注意している。困った時の対策として、ゴミ集積所にテグスのニセワナを仕掛けるといいとか、クレゾール石鹸の希釈液をコップ半分ほどいれるといいとか、塒に投光器をあてるといいとか、竹やぶに爆竹をならすといいとかいろいろ「机上の空論」めいた対策を説明している。府が何か駆除対策をするわけでもない。野放しの姿勢だ。大阪もやはりカラス天国のようだがそれでいいのか。
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