きのう撮った「あさがおに釣瓶」句碑のすぐとなりに「吹田くわい」の栽培田がある(写真上)。その右に万葉集巻の十1839番「君がため山田の澤にゑぐ採むと雪消の水に裳の裾ぬれぬ」の歌碑が立っている。山田は吹田市北東部にある地名。いまは住宅地。「ゑぐ」は黒くわいの古名。いま栽培されているのは中国から伝えられたくわい。吹田くわいは、「オモダカ」という植物が進化してできた半栽培植物。味がほっくりとして濃く、独特のほろ苦さの中にうまみがあるという。「一度食べたら忘れられない味わいがある」とか。昔、浪速の伝統野菜の一つに数えられたそうな。漢学者の頼山陽が母親に吹田くわいを食べさせたとか。いろいろ逸話がある。植物分類学の世界的な権威・牧野富太郎博士が吹田くわいの学名を「スイテンシス」と命名したという。さいきんは「くわい」といっても正月のおせちに出るくらいではないか。ときには伝統の味を味わってみたいものだ。初夏に白い花を咲かせ観賞用にもいいそうだ。葉っぱはアサガオの形に似ている。「吹田くわい保存会」がある。
朝顔の横に祀らる慈姑の葉 愚句