のり屋のバーサン日記

落語に親しみ、犬猫と和む…
何でもないけど、めでたい毎日

遺品は語る

2015-12-04 21:56:09 | 見てきたよ


映画『氷の花火』を観てきました。

'70~80年代に一世を風靡し、
2007年に急逝した
ファッションモデル・山口小夜子の
ドキュメンタリー映画。

自分世代には、
まだ洋服の製図が載ってた頃の
ファッション誌や、
資生堂のCMで活躍していた彼女が
おなじみかも。

個人的に、
はじめて山口小夜子を認識したのは、
中3のときに買った、
今は亡き月刊誌『服装』。
(かわいくて大好きでした。
のちに、やはり今は亡き
インテリア誌『私の部屋』に)

忘れもしない、表紙は秋川リサ。
巻頭のマリンルック特集に、
結城アンナあたりと並んでいた記憶が。

ハーフモデル全盛の時代、
日本の雑誌でありながら、
山口小夜子の黒髪オカッパは
逆に異質に見えた。

が、もやもやとソフトフォーカスした
白いデッキに、
セーラーカラーのパンタロンスーツを着た
市松人形が立っているようで、
いまだに目に焼きついている。

この映画では、
仕事で親交のあった人たちが、
それぞれが知る山口小夜子を
語っている。

華やかだけど控えめで、
自分の意見をはっきり言う
強さもありつつ、慎み深く…

そして、
切れ長の眼差しは仕事用(?)で、
本当の目は丸かったと

とはいえ、
山口小夜子の本質をもっとも雄弁に
物語っていたのは、
物言わぬ遺品のように見えた。

大量の衣服にアクセサリー、
書籍、ビデオ、
10代の頃から作っていた
ファッション誌の切り抜きスクラップ。

幼い頃からたいせつにしていた
人形たちがズラリと並んだシーンでは、
不意に胸が痛くなり、
なぜか涙が出て困った。

お人形遊び大好きだった、
内気なひとりっ子が、
やがて自分の表現を武器に世に出て、
世界とも自分とも
闘いつづけたんだなぁ…と。

めくるめく美しさにワクワクしつつ、
どこか哀しいドキュメンタリー。

「美しいことは、苦しいこと」

という彼女自身の言葉が
そのまま映像化されたような、
素晴らしい作品でした。

エンドロールの最後、
松本貴子監督の前に、
この映画にはミスマッチ(失礼!)な
「春風亭昇太」のクレジット。

松本監督とは
大学時代からの友人であることが、
以前からメディアで
紹介されていましたが。

もしかして、
この映画のために多額の出資…
(勝手に推察)

だとしたら、
それじゃダメじゃん…どころか、
それってヤルじゃん、春風亭昇太
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