ドキュメンタリー映画『世界で一番美しい少年』観てきました。
1970年代前半、ルキノ・ビスコンティ監督作品『ベニスに死す』の「完璧な美少年」タジオ役で一世を風靡したビョルン・アンドレセンの当時から今を、そして複雑な生い立ちをも辿った作品。
美しすぎたがゆえに天国と地獄を味わい、美しすぎる自分を肯定できなかった男の、痛々しく、やるせない人生。衝撃作でした。
楽しげな写真も映像も残っているのに、寂しかった子供時代。母親の謎の死。父親は誰だったのか? 隣りに眠っていながら死なせてしまった幼い息子。そんな波乱に満ちた不安定な父親を持ったがために、自身も寂しい少女時代を過ごしながらも、アンドレセンをあたたかく理解する実の娘の存在にホッとした。
それにしても現在の老けこみようときたら。のり屋の中学時代、チョコレートのCMに出ていたアンドレセンと同一人物とはとても思えない。が、細くポキポキした体型は当時を彷彿とさせ、容貌は激変しても、内気で繊細な美少年がそのままお爺さんになったような不思議な印象も受ける。
特に日本で爆発したアンドレセン人気。『ベニスに死す』以後、来日して馬車馬のように働かされたようだが、日本の印象は良かったらしい。このドキュメンタリー撮影のために日本を再訪できて嬉しそうな様子に安堵。
自分を含む大半の人間には想像すらできないことだが、あまりに美しすぎるって難儀なんでしょうね。。。