のり屋のバーサン日記

落語に親しみ、犬猫と和む…
何でもないけど、めでたい毎日

途轍もない存在

2018-10-05 00:02:50 | ねころびテレビ


不死身に思えた人たちが、
サラッと逝ってしまう今年。
樹木希林の他界にも衝撃を受けた。

10代の頃だったか、
休日の昼間にテレビをつけたら、
民放の番組でオークションが始まった。

悠木千帆時代の樹木希林が
ふら〜っとステージに現れ、
当時すでに有名すぎるくらい有名だった
「悠木千帆」という芸名を
あっさり売ってしまった。
たしか2万円くらいで。
終始エヘヘと笑いながら。

珍種の売名行為
面白すぎるよ
あの数分間、忘れられない。

先日のNHK特番、
この1年の樹木希林に密着した、
『“樹木希林”を生きる』も
録画を削除できず2度見て、
まだ保存している。

番組のテーマを見出せないまま、
樹木希林の話をただ拝聴するだけの
頼りないディレクターに、
自身の全身に転移した、
がんの散布図(PET画像)を見せながら淡々と提案する。

「これを番組のキモにするといいよ」

テレビ界・映画界…いや、芸能界は
途轍もなく大きな、
かけがえのない存在を失ってしまった。
としか言いようがない。

昨夏放送の日曜美術館、
樹木希林が北大路魯山人を語った回も、
あまりの面白さに保存してある。
(トップ画像)

テロップは魯山人語録の中で、
樹木希林がいちばん好きな言葉。


もし魯山人に会えたら?
という司会者からの質問にも、
ユーモアたっぷりに答えている。

「(魯山人と)結婚したら、
離婚はしないで別居して、
生涯付かず離れずいたいです」

もうすぐ公開される、
『日日是好日』の予告映像では、
黒木華とのやりとりが、
古典落語の『あくび指南』みたい。
ほんの数秒なのに、
何度も見たくなる可笑しさだ。

大昔、
樹木希林と松田聖子が共演したドラマを見ていて、
ハッと気づいたことがある。

本当に面白い役者って、
たとえ相手が素人でも大根でも、
共演者まで面白い人に見せてしまうのだ。


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