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法 水 道~The Road to NORIMIZU

映画・演劇についての戯言。ブログ引っ越しの際、一部文字化けや画像の不具合が出ております旨、ご了解ください。

『たとえば檸檬』

2013-01-05 23:31:00 | 映画道
『たとえば檸檬』
Lemon, for example

2012年日本映画 138分
監督:片嶋一貴
脚本:吉川次郎  撮影:釘宮慎治
照明:井上真吾  録音・整音:臼井勝  音響効果:浦畑将
美術:佐々木記貴  装飾:杉山あづみ  衣裳:小松沙和
音楽:ken sato  編集:福田浩平  助監督:茶谷和行
エンディングテーマ:"Silent night" by keke
出演:韓英恵(カオリ)、有森也実(原香織)、綾野剛(石山)、伊原剛志(刑事・河内弘)、内田春菊(女医)、古田新太(愛を叫ぶ青年実業家)、室井滋(香織の母)、佐藤寛子(石山の恋人・佐藤ミナ)、白石隼也(若い巡査)、渡邉紘平(吉野浩二)、松本若菜(吉野の恋人・ヨーコ)、町田啓太(ホスト(母の恋人)・HIRO)、信太昌之(総合商社専務・神津)、室積光(セラピー患者・柿本)、澤純子(同・橋田)、日野陽仁(同・山木)、元気屋エイジ(同・携帯オタク)、阿井莉沙(同・腺病質な女)、吉田ウーロン太(パブの店長)、林剛史(母の若い恋人)、佐々木卓馬(生活安全課の警官)、岡村洋一(総合商社役員)、谷隆次(モブスメンバー)、chihiro(同)、吉田正樹(同)、田中裕士(同)、松浦崇文(同)、仁也(同)、鈴木里奈(幼少の香織)、佐藤陽子(ニュースキャスター)、著[輔(質屋の店員)、滝沢充子(中年のミナ)、高川裕也(寿司屋の客)、永松夏奈子(同)、ジュエドルまりスティーヌ。(専門学校事務員)、相橋愛子(総合商社社員)、土田香織(同)、だいすけ(ボディーガード)、中村倫子(記者)、安井真理子(同)、加藤マサキ(ホストクラブ店員の声)、牛丸亮(チンピラ)、吉村美穂(婦警)、高瀬直紀(コンビニ店長)、琴乃美(道行く人の声)、森川和歌子(クリニック事務員の声)、木村心静(折り紙を折る少女)、山本かおり(踊る女)、碓井英司(携帯電話の声)、井上淳一(ぽん引き)、岡林裕二(プロレスラー)、河上隆一(同)、池須ゆたか(レフェリー)、小原たかき(クラブ店長)、水川敦元(母をなだめる警官)


   

20歳のカオリは、彫金の学校に通いアクセサリーデザイナーとしての夢を持ちながらも、母親の家庭内暴力や過干渉に悩み、生きることが苦しかった。そんなある日、愛に飢え野心を持つ石山という男に出会ったことから、カオリは母親の支配から抜け出そうと決意する……。40歳の香織は大手企業の役員秘書。しかし、彼女は万引き常習者で、不倫や行きずりの情事を繰り返すSEX依存症、さらに家に帰れば引きこもりの娘の世話をする孤独な母親でもあった。そんな時、香織は刑事の河内と出会い、万引き常習者は“境界性パーソナリティ障害”の疑いがあることを知る……。カオリと香織は、母娘間の愛情に苦しみながらも、救いを求め、やがて二人の運命が交錯し始める……。【「KINENOTE」より】

『アジアの純真』の片嶋一貴監督が再び韓英恵さんを主演に迎えた作品(ちなみに韓英恵さんは片嶋監督が社長を務めるDOGSUGARに所属する唯一の女優)。

【ネタバレ注意】
カオリと香織が同一人物であるというのは、割と最初の方で気づいた。というのも、学校の授業料の請求書の名前が「原香織」となっていたため。その後、ジュリアナ東京らしきクラブが出てきたり、「時代はバブル」という台詞があったりして、両者の間に20年間の隔たりがあることを確信した(その当時の人が「バブル」なんて言うはずはないんだけど、仕鰍ッを分かりやすくするための台詞だろう)。
ついでに石山が20年経ったら、疑惑の渦中にある福祉関連グループの会長になっていたら面白いのにと思ったら本当にそうだった。しかし綾野剛さんが古田新太さんになるって一体何があったんだ(笑)。ちなみに最後に石山は中年女性に刺されてしまうが、それは20年前にボコボコにして捨てたミナ。
また、香織に親身になる刑事・河内は、カオリに「私に構わないで」と言われてしまった若き巡査。彼は警官になってからも幼馴染の吉野に脅される日々で、遂には公園で刺し殺してしまう。その死体を発見したのがカオリなのだが、後に彼がアルコール依存になったのもカオリに見られたのではという苦しみから逃れるためもあったのだろう。

檸檬というのは、香織にとっては母親とのよき日々の思い出の象徴。
だが今では、冷蔵庫にある檸檬は腐ってしまっている。
引きこもっていた娘・愛が実は自分の妄想であると知り(カウンセリングの際、女医の「現実と妄想の区別がついていない」という質問に「ノー」と答えていたのがうまい布石)、やがては自殺した母親と同じように教会で首をくくろうとする香織だったが、柱に檸檬の絵が彫られていることに気づいて思いとどまる。
最後の最後に救いがあって、ちょっとほっとした。

この日は監督および主演の2人による舞台挨拶あり。
アフタートークの後でサインをもらう際、監督に聞いたところでは師匠の若松孝二監督はこの作品をご覧にはなってないとか。ご覧になっていたら、あれこれ文句は言いつつも喜んだんじゃないかな。


★★★1/2


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