シャンパンブレイク

30年以上JAL国際線客室乗務員としてフライトし現在癌の治療中。お酒大好き旅が大好き趣味はランニング~

回想・・・南回り

2011年03月30日 | おしゃべりフライト
このところ連日の雨。

プーケットでは信じられないくらい雨が降り続いています。

さすがに雨の中を泳ぐ気にもならず・・・・・暇なのでブログを毎日書き続けています。

そんな今ふと思い出したこと・・・・・・南回り


小学生の時にたまたま偶然に見た、ドラマ・・・・・アテンションプリーズに憧れて、もう本当に憧れて・・・・・めちゃくちゃあこがれて・・・・・主人公のスチュワーデスになりたくて。
でも現実は新潟の田舎育ちで、飛行機に乗ったことも見たこともなかった・・・・・そんな私は・・・・・いつの間にか、スチュワーデスになるなんて無理に決まってると自分に思いこませていました。

高校の時、やはり夢を捨てることができないと思い、突然大学の志望校を理数系から文科系に変更しました。

でも準備が間に合わず・・・・・ことごとく・・・・・・受験に失敗し、親戚の叔母の家に居候し・・・・・東京で予備校生活を送ることになりました。

そこで知り合った友人が五月の連休明けにスチュワーデスの採用試験があると教えてくれて、採用条件は短大卒と同等の学歴があればいいので、高卒でも受験できるから受けてみない?
私スチュワーデスにあこがれているんだ!
私もそうなの!私も!わたしも!
と、話が弾み、友人達数名で受けることにしました。

絶対無理と思っていたのに一次試験にパスし・・・・・二次試験の英語と日本語の面接にバス・・・・・、三次試験の身体検査と体力測定にバスしちゃいました。
自信があったのは体力測定だけだったのですが~

何故?合格できたのか・・・・・不思議でした。


もの凄い喜びの後に・・・・・・不安がこみ上げてきて・・・・・この後の訓練が不安で・・・・・・・震えたことを覚えています。

あれからなんと30数年の歳月が流れ、昨年の大みそかに整理解雇されました。

かなりの衝撃を受けましたが・・・・・・私なりに・・・・・・私らしいやめ方なのかもしれないと思っています。



当時は飛行機はビジネスの方中心で、団体ツアーや観光の方はあまりいませんでした。

直行便はロサンゼルスが一番遠い路線で、ヨーロッパ各都市とニューヨークはアンカレッジ経由の北回り。

またはバンコク・中近東経由でアブダビやカラチ、バーレーン、クェートなどを経由しアテネやローマやロンドンへ行く南回り。

それからモスクワ経由のヨーロッパ。

ロサンゼルス経由リオデジャネイロ行きの南米線など長いパターンばかり。

そして一番長いパターンは南回りの21日間でした。


チェックアウトして二年目くらいの頃でした。

チェックアウトとは入社した日ではなく訓練が終了してフライトできるようになった日のことです。これはクルー用語の一つです。

スタンバイの前日にスケジューラーから電話で
「明日のスタンバイにフライトが入りました。メモをお願いします。バンコク・カラチ・アテネ・カラチ・バンコク・成田の19日間で機種はDC10です。」
と事務的な口調で一気に言われました。

スケジューラーも突然こんなフライトが入って気の毒に思ったから、感情のこもらない言い方をしたのだと思います。

逆に私たちが喜びそうなフライト、例えばホノルルチャーター便で行きも帰りも同じ旅客、ホノルルに5泊する、なんていうゴールデンパターンを告げる時は、スケジューラーもラッキーだねって感じの口調でしだから。

電話を切った後・・・・・あまりに突然の長いフライトに茫然自失。
南回りは一、二年に一度位の割合でアサインされますが、スタンバイで入るなんて聞いたこともなく・・・・・・全く心の準備ができないまま、とにかくサムソナイトに荷物を詰め、食料品やお菓子の買い出しに出かけ、友人や家族と連絡をとり、なんだかんだでほとんど一睡もせずに、不安なまま会社に、ショウアップしたことを昨日のように思い出します。

ところが行ってみると、何人かが私と同じスタンバイ呼び出しで、初顔合わせの人ばかり。
かえって和気あいあいで仕事をすることが出来、楽しい南回りが始まりました。

カラチでは大使館員のホームパーティーに招かれ、私たちが得意の料理の腕前を披露する場面もあり、楽しい時を過ごしました。
またカラチの絨毯屋さんでは、大好きなチキンテッカをはじめ、美味しい料理とお酒でもてなされ、
絨毯を買っての押し売り攻撃には・・・・・・なんとか・・・・・・絨毯は帰りに買うかも・・・・・・・・・・と言ってごまかし続け・・・・・長いカラチの日々があっという間に過ぎてゆき、いよいよアテネへとむかいました。

引き継ぎの乗務員と引き継ぎを済ませ、私が担当するファーストクラスはお客様一名だけでした。

そのお客様は俳優の中村敦夫さんです。
あの木枯らし紋次郎で有名な超大物俳優です。

あの頃、地球発24時という人気番組をお持ちで、その番組の取材のためにアテネで撮影するのだそうです。
いろいろお話を伺ってみると、なんとアテネからの帰りのフライトもご一緒だとわかり(私たち乗務員はカラチで交替し、次の飛行機が来るまでカラチに滞在します。)
「バスをロケハン用にチャーターしているから、よかったら撮影を見学しませんか?」と気さくに誘ってくださいました。

もちろん乗務員全員、大喜び

アクロポリスのパルテノン神殿など、素晴らしい名所旧跡をめぐるロケハンバスの中で、セリフを練習しているお姿には感激しました。

中村敦夫さんいわく、事前に覚えるより、ロケハンのバスの移動中に集中して頭に叩き込むのが秘訣だそうです。

ものすごく長いセリフなのに、それを一瞬で覚える姿を目の当たりにして、プロ意識の高さを痛感いたしました。

途中で女優の荻野目慶子さんが合流されて、当時はまだ10代なのに、とても礼儀正しいお嬢様といった感じ、私たち乗務員が同行しているのを嫌がらないばかりか、大変なお仕事ですねっとねぎらってくださいました。
純真で綺麗で、とても自然体で、私たちは全員荻野目慶子さんのファンとなりました。

いまでもその時の写真を大切にしています。
中村敦夫さんのマネジャーの方からたくさんの写真を送っていただいたので。

どうなるかと不安な19日間の南回りが、最高に楽しかった。
勿論息の合った仲間との仕事も充実していて良いフライトになりました。

当時は飛行機の便数も少なく、長い距離を飛ぶことが不可能だったためこのようなフライトスケジュールだったのが・・・・・・

今思うと夢のようです。






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2 コメント

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凄い凄い! (旅キチ三平♪)
2011-03-30 20:49:48
 へぇ・・・と、主人にいま、この話を聞かせていたところです!

 色んな思い出の初フライト編ですね!
 素敵です。

雨のプーケットもこう毎日では残念ですね。

もうそろそろお日様がしっかり出てくれないと困っちゃいますね。
私の日焼けの背中は、すっかり皮がむけきってしまいました。 何度も塗り直ししないとやっぱり日差しが厳しいんですね。

それではまた楽しみに読ませていただきます!
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退屈 (ノン)
2011-03-31 10:41:52
今日も雨です。
土曜日の午後3時過ぎからずっとやまずに降り続けています。

マリオットに来るようになってもう10年以上になりますが、こんなのは初めてです。

先週の金土日曜日にプー入りした人はかわいそう。

きょうあたりてるてる坊主を作ってみようかな。
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