Saxophonist 宮地スグル公式ブログ

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Michael Brecker

2007年01月15日 02時11分13秒 | jazz
写真は92年の New Year Eve だっけかな 、NYの楽器店で左から僕、マイケル、友人のサックス奏者サダノブ君。まだ、僕達がバークリーの学生だった頃だ。写真を撮ったのは同じくサックス奏者の橋爪亮督で、サックス野郎3人でのドキドキNYの旅の途中、立ち寄った49丁目の楽器店にフラっと入ってきたマイケルを僕が見つけ、お喋りと写真撮影をお願いしたら、なんとも気さくに快諾して頂けたのだ。憧れのマイケルがこんなイイ人だなんて・・。でも、緊張のあまり「寒いですね・・」って言うのが精一杯だった。「うん、そうだね。日本より寒いでしょ?」ってニッコリしながら答えてくれたけど。おぉ、カッコいい。

そのマイケル・ブレッカーが亡くなった。
ここ最近、彼のライブ・パフォーマンスは見ていなかったし、最近のアルバムは正直あまり好きではなく、やはり手にするのは彼に夢中だった80~90年代のアルバムばかり。だけど、今日、彼が亡くなったと聞いてすごいショックだし、父が死んだと同じような悲しみを感じている。この感情は一体何なんだろう・・

僕の吹くサックスの端々にはマイケルの影響が有るし、彼のプレーを真似ることが僕の青春そのものだった。関学時代はステップス・アヘッドの完コピバンドをやってたし、EWIの代わりにYAMAHAのWX7で「ベイルート」も吹いてた。彼の演奏が好きで好きで、あまりにも速いスピードで聞き取れない時は、ハーフスピードマシーンやPCで速度を落として・・なんて機材は無かったから、手でレコードプレーヤーのターンテーブルを回してスピードを落としてコピーしたりした。ど根性でコピーしまくってた。バークリー時代はそんなコピー譜を色んなサックス奏者が欲しがって僕のとこにやってきた。練習室でマイケルのソロばっか練習してたもんなぁ・・。

浪人時代、ウエザーを見に行った前日は眠れなかったけど、「ライブ・アンダー・ザ・スカイ」でのマイケル・ブレッカー・バンドを見に行った前日も全く眠れず、当日も興奮して鼻血が出そうだった。ブルーのジャケットにスリムなジーンズ、そしてトレード・マークの知的なメガネ。そして、アウト・フレーズにオルタード・スケール・・。カッコえぇ~~!! 当日のトリを務めたロバータ・フラックには目もくれなかった。(極端だねぇ・・今じゃ考えられん。苦笑) 大学時代から手に入る限りのレコードを買いあさった。当時はブレッカー・ブラザーズは全て廃盤で、「デタント」をようやく手に入れた時の嬉しさは今でも覚えてるし、それは今でも僕のフェイバリット・アルバムの一つである。その後、B.Broは全て手に入れ、ドリームスなどのロックやメル・ルイスやハル・ギャルパー等とのジャズ・セッションものまで、全てを完璧にこなすマイケルに感激し憧れをずっと抱いていた。

そう、忘れていたけれど、自分はマイケルみたいにどんなジャンルでも完璧で、しかも、自分らしさを十分に出し切る事が出来るミュージシャンになりたかったのだ。「誰それ風」をすぐに演じる事が出来る便利なスタジオ・ミュージシャンではなく。マイケルもスタジオ・ワークをたくさんこなしては来たけれど、「便利なスタジオ・ミュージシャン」ではなかったはずだ。ワン・アンド・オンリーだったからこそ、彼のフォローワーが大勢、世界中に生まれたのだ。

彼の演奏でまだ数曲、トランスクライヴしたいものがあるのだけれど、ずっと時間が無くてしていない。ある時期から僕はコルトレーンやマイケルから卒業しようと、なるべく彼等を聴かないようにし、他のアーティストや他の楽器ばかり聴くようになった。子が親離れするのと同じように、自分の個性や生きる道はその人達とは違うわけだから、別の道を探そうという自然な流れだった。しかし、今日マイケルが亡くなった事を聞き、既に物心ついた頃には亡くなっていたコルトレーンなどの巨人達と違い、現在突っ走っている背中を遠くに眺めながら必死で追っかけてた、その相手が急に目の前から消えてしまったショックと言うのは、親が亡くなったくらいショックなのだ・・と初めて体験した。

今日、僕はちょっとしたレコーディングだった。それのチェックをしてから、彼のアルバムを1枚聴いて、黙祷してからやすみます。。

Mr.Michael Brecker, Thank you for your music..

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5 コメント

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Unknown (よこちあさみ)
2007-01-15 17:19:59
みやじさんの思いを読ませていただき、再び涙しました。
ライヴを二度、観に行ったことがあります。
directions in musicの国際フォーラムと
wide anglesのぶるーのーと東京。
そもそもサックスの音色って苦手なのですが(ごめんなさい)
そこに魅力があることに気付かせてくれたのが
彼の演奏でした。
directions~でのNaimaのソロは、
とめどなく涙がこぼれてきたことを覚えています。
「必ず元気になって戻ってきてくれる」と
なんの根拠もないのに
何故か確信的に思っていました。
…だから、ほんとに悲しい。信じたくない。
あまりにも、早過ぎます。

人生って、先が本当にわからないですね。
後悔しないように、精一杯生きていきたい。
…そんなことにまで思いを馳せてしまいました。
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どうもです。 (SGURU)
2007-01-16 02:23:06
>そもそもサックスの音色って苦手なのですが(ごめんなさい)

それ、僕もよく言われます。女性に多いですね。やっぱ、多くの女性はベースがお好きなようで。(笑)
しかし、そんな貴方を振り向かせたマイケル様は流石に凄いっ!!

ご冥福を祈りましょう。
返信する
ご無沙汰してます。 (橋爪亮督)
2007-01-18 01:58:31
お久しぶりです。
大変ご無沙汰しています。
すごく久しぶりの書き込みのきっかけがこのニュースというのはとても悲しいことです。

懐かしい写真ですね。
この時のことは今でもとてもよく覚えています。
寒かったですね!
あまりの寒さに宮地さんの目が潤んでましたね。
僕は初めてのN.Y.で初めて入った楽器屋でブレッカー氏と遭遇し完全にお上りさん気分でした。
この後宮地さんにカメラマンを代わってもらってもう一枚とりましたね。
なぜかあまり興味がないと言ってたサダやんが両方の写真に写っている。。。

ご冥福をお祈りします。
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そうそう・・ (SGURU)
2007-01-18 13:41:18
橋爪の名前も勝手に使わせてもらったと言うのに、ご挨拶もせず申し訳ない。

サダやんは、その後カウントダウンのためにタイムズ・スクエアーを歩いてるあたりで、「さっきは興味ないって言ってたけど、だんだん嬉しくなってきた・・」とぼそりと言ってたの覚えてる?「遅いネン!」って2人でつっこんだよね。(笑) 橋爪の写真は確かマイケルと2人だけだったような気がする。羨ましい!と思ったんだけど。
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お若いですね! (チアキ)
2007-01-23 18:50:52
だいぶ明けちゃいましたけどオメデトウございます。
去年、三木トシさん(ts)と三木成能(P)とお話する機会がありました。モンキーさんとやったJazz維新組と新鮮組の話を少ししました。
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