弁護士の役立つ情報

経験豊富な弁護士が、法律情報や、時の法律問題、中国情報などを易しい言葉でコメントします

不貞の慰謝料の相場

2007-05-30 00:14:05 | 離婚
人気blogランキングへ

1 最近も、相変わらず、不貞に基づき慰謝料請求する、あるいはされるという事 例の相談や、依頼が多い。

  このような場合のポイントは大体以下の通りです。

2 第1に、不貞関係が立証されているか。
  慰謝料請求をする場合、まず相談者の配偶者と、不倫相手の不貞関係が立証で きるかが重要です。最近は、「行列ができる法律相談」等のテレビ番組や、インタ ーネットによる各種情報の氾濫により、実によく皆さんが研究している。

  慰謝料請求される側も必死であり、どのような弁明の仕方や逃げ方があるか、 実によく知っている。
  そして、簡単には不貞関係を認めない。

3 慰謝料請求する側も、興信所に依頼して、ラブホテルに入る所を撮影したビデ オや写真を撮った場合や、メールの内容で性的関係を直接伺わせる場合、本来な ら到底否定しきれないような証拠を用意しても、必ずしも安心できない。

  ここらあたりは、弁護士も、かなり高度の駆け引きを考えないと、酷い目にあ うことも考えられる。  

  弁護士は、二重三重の裏付け証拠を集め、あるいは作る工夫をする。

4 慰謝料請求される側にたった場合には、仮に不貞関係があった場合でも、これ を否定できる余地がないかを考える。

  当事者も何とか支払義務を免れたいと考えているので、どのような場合には、 裁判所が不貞関係なしと判断するか、という具体的内容をアドバイスする。弁護 士としては、あまり虚偽の内容を積極的に言わせることはしたくないと考えてい る。特に、証人が出てきて、嘘の口裏合わせをするときは、これに弁護士が助力 すると、最悪の場合、偽証教唆ということで刑事処罰を受ける恐れがあるからで ある。

5 第二に、不貞関係が立証されている場合や、当事者が自白している場合でも、 次のような反論・抗弁がしばしば出てくる。

  即ち、夫婦関係は不貞関係に入る前に破綻していた、という主張である。これ は、仮に不貞関係があった場合でも、それによって婚姻関係を破綻させていなけ れば、特に不倫による請求事件はなかったと判断されるからである。

6 第三に、慰謝料支払義務が認められるとして、支払うべき慰謝料額はいくらに なるか。

  経験的にいうと、まず、男性が請求する場合と、女性が請求する場合で金額に 差がある。男性の場合の方が精神的苦痛が少ないと考えるのであろうか。本当は そうとも言えないと思われるが。

  又、不貞関係が発覚して離婚した場合と、関係が修復された場合とでは、金額 に明らかに違いがある。これは一般的にも理解しやすい。離婚に至った方が、精 神的苦痛が大きいからである。

7 具体的な金額としては、男性が請求する場合、100万円乃至200万円、女 性が請求する場合、150万円乃至250万円が目安と思われる。

  但し、この金額はあくまでも目安で、弁護士により考え方が違うし、裁判官に よってもかなり開きがある。

  弁護士としては、慰謝料請求する場合は少しでも多く取る、慰謝料請求される 場合は、いかに支払う金額を少なくするかを考える。