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弁護士の役立つ情報

経験豊富な弁護士が、法律情報や、時の法律問題、中国情報などを易しい言葉でコメントします

香港の和僑会

2008-01-09 00:03:14 | 中国情報
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1 今日夜、香港に24年間住んでいる太陽商事の社長筒井さんと、久しぶりにあ って食事をした。

  筒井さんは元は名鉄に勤務され、1984年志願して香港へ行き、名鉄の社長とし て、爾来香港で住むようになり、完全に香港へ移住してしまった。
  香港名鉄が撤退した後も、日本へ帰ることなく、新たに起業して太陽商事を設 立し、主として香港をベース基地にして、中国で商材を生産させたり、購入する 日本企業のサポートをしている。

2 これまでも、香港ルートで中国へ進出する日本企業から相談や依頼があった場 合、筒井さんにサポートをお願いしてきた。

3 今回、12月に連絡をいただいた際、筒井さんが会長を務める和僑会の本が出 たので是非読むように言われていた。

  本は買い求めたが、まだ殆ど読んでいなかったが、今日通読してみた。香港で 15人の成功者が語る実践アジア企業術という副題が示す通り、若くして香港に 渡り、色々な分野で事業を立ち上げた人からの聞き取りをまとめたものである。
 
  この中には、私がチャイナボックスの代表を務めていたとき企画した、中国視 察ツアーの香港・深せんコースで香港へ行った際、筒井さんに講演して貰ったこ とがあったが、その時知り合った人も紹介されている。

  また、今日、筒井さんから聞かされた人で、日本の大手建設会社の御曹司が、 跡継ぎを拒否して、香港で起業し、香港女性と結婚したという裏話も聞かされた が、興味深い内容だった。
 
4 なお余談になるが、今日は筒井さんが古くから懇意にされている今池の『ピカ イチ』で食べた。この店は、知る人ぞ知る、中日ドラゴンズ切っても切れない関 係のある中華料理屋である。

  私も10年以上前に、筒井さんに連れてきて貰ったのが最初だが、筒井さんの 人脈の広さにも驚かされる。その時、電話一本で呼び出したのは、今、テレビラ ジオで人気のある宮地ゆきお氏であった。

  その他、星野仙一氏とも非常に親しい

中国人の強制退去事件

2008-01-01 23:11:15 | 中国情報
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1 年末に東京地裁で非常に珍しい判決が言い渡されたことの新聞報道された。

2 事件内容は、留学中にエステ店で働いたとして摘発された中国人女性が、国を 相手に退去強制手続きの停止を求める訴訟を起こしている最中に、東京入国管理 局から強制退去が執行され、帰国させられていた件についてであった。

3 東京地裁は12月28日の判決で、「退去強制手続きを進める必要はない」と 判断したが、当事者本人が不在のため訴えを却下した。判決の中で、裁判官は  「司法の判断を待たずに、違法な手続きが強行されたことは遺憾だ」と述べ、入 国管理局の対応を批判した。

4 判決において、裁判官がこのようなコメントをすることは異例であるが、現実 には、退去強制手続きの執行停止申立中に、入国管理局が退去強制手続きの執行 をすることは珍しくない。
  殆どの事案では、裁判所が退去強制手続きの執行停止を認めることが少ないこ とを見越していることが原因と思われる。

5 新聞報道によれば、この女性は2000年に来日して2004年に大学生となり、通学 しながら都内のエステ店で働いていたようである。

  本来留学生は、1週間に28時間まで働くことを許されているが、2006年に店 が入管法違反で摘発された際、この時間を超えて働いていたとして退去強制処分 の対象になったようである。

7 判決によると、この女性の勤務時間には報酬のない待機時間が多く、実際に接 客した時間は最大でも週27.75時間だったと指摘し、女性が待機時間中にも 宿題をしていたことや、大学のゼミの出席率が100%だったことなどを挙げ、 「エステ店での就労活動が留学の特段の支障にはなっていない」と述べ、帰国さ せられる理由はないとした。

  内容的には、入国管理局のなした退去強制手続きは違法だったと認定したもの で、このような判断をしたことも事例的には大変珍しいと思われる。

  おそらく入国管理局としてはエステという風俗営業に勤務していたことを重視 したと考えられる。他の業種で働いていた場合なら、このような退去強制手続き をすることはなかった。

8 中国留学生の日本における仕事を探す上でのハンディキャップを考えると、仕 事の種類範囲を限定するのには疑問がある

北京の迎賓館

2007-11-28 00:25:36 | 中国情報
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1 11月23日から25日まで、中部日中経済交流会の視察旅行で、北京へ行き ました。
  総勢40人位で、山東省を廻る5日間コースと2コースありましたが、ちょう ど祭日を挟んだ3連休のため、3日間コースに参加しました。

2 北京は名古屋より3,4度寒いけど、風があまりなかったため、それほどの寒 くはなかったものの、カシミヤのコートがちょうど良い位でした。
  北京は以前よりは多少良くなったものの、日本に比べると大気汚染はまだ改善 されていない感じです。空も青く見えませんでした。24日は霧がかかり視界が きかなかったですが、どうも単純な霧とは言えず、スモッグではないかと思いま した。
  私の敏感などに不快感があったからです。来年のオリンピックまでにさらに改 善されるのでしょうか。

3 初日は北京飯店に泊まりましたが、以前7,8年前と比べて大幅な改装建て直 しがされ、見違えるよう綺麗になっていました。歴史ある北京を代表するだけの 風格と重厚さを感じました。

4 夜8時頃、北京の銀座とも言うべき王府井を1人で散策しましたが、建物もす っかり新しくなり、デパートや大書店も建ち並んでいましたる書店で30分ほど 見学しましたが、八重洲ブックセンター位の規模で、大勢のお客さんが入ってい ました。

  北京飯店裏手の露店街は何となく昔の日本を思い出させる趣がありますが、そ こで売られている焼き鳥とか、お菓子などは一寸買って食べる勇気はありません でした。
  北京で案内してくれた人も、そこで買って食べたことはないと言っていました ので、胃に自信がない人は買わない方が無難のようです。

5 ところで、わずか20分位歩いただけなのに、6,7人の客引きに声を掛けら れたのには驚きました。よほど隙があるように見えたのかもしれませんが、以前 はこのようなことは北京ではありませんでした。

  上海ではこの手の客引きは日本語で話しかけてくるのですが、中国語か英語で した。

6 今回の旅行の目玉は、一つは人民大会堂での会食会です。通常人民大会堂に入 ることすらできないし、その中で食事することもなかなかできません。
  人民大会堂の食事は、北京料理でも、上海料理でもなく、国宴料理とも言うべ きものです。アワビや柔らかい牛肉、その他の野菜などの食材は、専用のものが 集められています。

  また、背の高い女性の服務員のサービスも非常に気が行き届いていました。
  マオタイ酒による乾杯も恒例ですが、さすがに50度を超えるアルコールには よいが回ります。

7 目玉のもう一つは、釣魚台賓館の宿泊です。日本の迎賓館で、六ケ国協議が開 かれる場所で国賓も泊まります。今回は、六ケ国協議が開かれた17号館に宿泊 できましたが、非常に豪華な部屋でした。

  私達が泊まった翌日にはフランスのサルコジ大統領が18号館に泊まったそう です。外部からは隔離され、勿論夜一寸出かけるというわけにはいきません。


日中合作は感動の一冊でした

2007-07-07 00:14:25 | 中国情報
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1 最近も相変わらず中国関係の本は多数出版されています。
  私は週一度くらいは、三省堂や丸善などで、中国関係の新刊本をチェックして います。今週も、東京のオアゾビルの丸善で2冊購入してきました。
  一冊は、共同通信取材班の「中国に生きる」、もう一冊は小島正憲著の「中国仕 事事情」です。これらはこれから読むところです。

2 中国関係の本はおそらく年100冊くらいは購入しており、これまでに軽く1 000冊は超えていると思います。
  必ずしも全部読んでいるわけではなく、完読対して本は10乃至20%と思い ます。
  中国関係の本は、反中国、親中国で大きく分類されますが、80%は親中国の 視点で書かれていると思います。

3 買って損をしたと思う本もかなりあり、約70%はそんな感じを持ちます。
  今回、完読し、是非皆さんにも読んでもらいたいと思う本に巡り会いました。
  昨年は「大地の咆哮」に本当に感動させられましたが、前月買った沓澤虔太郎著 の『日中合作』もとても良かったです。今年の最高傑作の一つになると思いま  す。

4 著者は77歳で、元アルプス電気取締役、元アルパイン代表取締役です。今ま で殆ど中国関係の著作はないと思います。私も今まで聞いたことがないお名前で した。
  
5 この本の副題は「中国NO1ソフト企業誕生の物語」ですが、91年、遼寧省の瀋 陽にある東北工学院(現在の東北大学)と、アルパイン【カーオーディオ、カーナ ビの有名企業】の合資会社、東大アルパインの設立と発展の歴史を綴ったもので す。現在、東軟集団という企業名で、中国でNO1のソフト会社となっています。

6 内容をもう少し、分けると。
 ① 著者沓澤氏の少年期、吉林省丹東で2年間暮らし終戦を迎え、命からがら日  本へ帰ることになったが、国民党軍が日本人居留地を襲った際、身を挺してこ  れを救った中国の元参謀の王老人との交流の話、

 ② 沓澤氏が帰国後、今の東京理科大学に通いながら、町工場だったアルプス電  気にアルバイトとして入り、出来の悪かった著者が、創始者の片岡氏に叱咤激  励されながら、その経営者としての資質を開眼していったことと、とても弱小  会社だったアルプス電気が、並外れた努力と、苦労の末、大会社へと成長して  いく過程、さらには著者が、アルパインの代表取締役として事業を立ち上げ成  長し、大成功させていく過程

 ③ 東北大学の研究者劉積仁氏【東軟集団総裁】と、アルパイン社長沓澤氏との  信頼関係のもと、合資会社東大アルパインの設立され、日本側が、中国側を単  に下請けさせる先と見ないで、経営に対して細かく口を挟まず、中国側のモチ  ベーションを高めることに徹した結果、急速に発展したこと
 が書かれている。
  
  ①は「大地の子」を彷彿とさせる、涙なしでは読めない感動のお話です。
  ②は企業がいかに成長していくかを、事実をもって語り、まさに迫力を感じ、 且つ感動をも与える内容です。

7 印象に残る一節として、
  「中国と日本の壁は、通常のビジネス活動で生じる以上の壁は存在しない。
   中国の文化や風俗、風習、国民性に対する深い理解と、自社の企業文化・理  念をベースに取り組めば、散々な目にあうことはない。」を挙げておきます。


これからの日中関係 木村防衛副大臣のスピーチから

2007-07-05 23:56:07 | 中国情報
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1 本日、私が参加している中部日中経済交流会の会合が、本日6時半から、ホテ ルアソシアで開かれ、防衛副大臣の木村隆秀衆議院議員が、「これからの日中関 係」と題する45分 くらいのスピーチを聞く機会を得ました。

2 久間防衛大臣の原爆被害者への配慮を欠く発言により、辞任に追い込まれ、古 池大臣が急遽就任したというさなかで、キャンセルになるのではないかと危惧し ていました。しかし、やはり、地元選出の衆議院議員で、多くの支持者が参加し ている会合で、義理のある方もの多いので、無理をしてこられたのではないかと 思います。

3 お話しは、パワーポイントを使い、かなりのデータを駆使して、日中のそれぞ れの歴史、さらに経済の分析、日中相互の経済関係の分析・説明から始まりまし た。
  そこから、中国の環境問題へ話が及び、深刻な環境被害が中国で発生し、日本 にも多大な影響を及ぼしていること、日本からの経済・技術援助で、例えば貴州 省の貴陽では煤煙の除去が実現された例の説明をされました。

4 次に、非常に微妙な内容である、中国の軍事費増大と、日中の軍備比較に話が 及び、軍備増強に日本も相当懸念を持っていること、反面防衛省と中国軍部との 若干の交流がなされていることの報告がなされました。
  中国領事館の人も出席していましたが、参加者リスト化には記載されておら  ず、途中退席していたので、やはりかなりセンシティブな話だったのだなと、改 めて実感しました。

5 日本と中国の政治関係についてはなかなか、このような会では扱いにくいテー マだったかなという感想を持ちました。

6 安倍首相が昨年就任早々訪中し、温家宝首相が4月に来日され、日中関係の改 善が非常に期待されています。
  政冷経熱と言われてきた日中関係も,せめて政温経熱へと向かうのではないか と期待していますが、なかなか一朝一夕にはいかない難しい問題をはらんでいる との感じを持ちました。


5 

中国人の物の考え方

2007-05-10 00:17:30 | 中国情報
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 園田茂人中央大学教授は、「中国人の心理と行動」とい本を書いていますが、なかなか面白いです。
 この中で、中国人の行動原理を読み解く3つのキーワードとして、①面子、②関係、③人情を挙げています。

 私の考えとしても、中国人を理解するのに面子を抜きにして語れません。
 日本でも、面子を潰されたという言い方をすることはありますが、中国人にとっての面子とは全く比べものにはなりません。中国人にとって、面子は命の次に重要だといっても、必ずしも言いすぎではありません。

 従って、日本人が、中国人の面子を正しく理解することはかなり困難です。

 例を出して言えば、会社で働く中国人を、ほかの従業員の前で、注意することは絶対禁物です。これは大衆の面前で、恥をかかされたと感じます。
 おそらく、その従業員は翌日会社へは来ないでしょう。それだけならいいのですが、聞くところによると、会社のパソコンのデータを破壊したり、機密文書を隠したりすることもあるそうです。また、その注意をした上司に対して直接的な復讐することもあり得ます。
 
 部下の従業員を注意するときは、あくまでも一対一でしなければなりません。

 また、日本では、よく部下の失敗は上司の責任として、責任をとらされることがあります。私達日本人も、表面的には、「部下の責任は、上司の責任だ」と言いつつ、内心は、おかしなことと思っているはずです。
 しかし、中国では、部下の失敗は、上司の面子を傷つけることになると考えられています。従って上司が責任をとることはありません。

 中国人は誇り高い民族です。日本に対しても、日本が決して中国より優れているとか、自分たちより上を行っているとは、本当は思っていないでしょう。
 確かに、中国人としても、現時点では、日本の方が経済的に上に行っているとは思っていても、それは歴史的に見れば、一時的なもので(中国は5000年の歴史があり、日本は高々2000年)、いずれは追い越す、歴史的にも中国は常に日本の上を走ってきた、と思っています。 

 話は変わりますが、日本企業が、中国で、中国人労働者を雇傭し、指導・九位区する場合、「日本ではこうだから、こうしなさい」、と言う説明は相手方の自尊心を傷つけます。「何故このようにしなければいけないか」について、合理的説明が必要です。納得すれば、従ってくれます。納得しなければ、なかなか思うようには行動してくれないでしょう。

 また、中国人間で、トラブルが発生した場合、その解決を計ろうとするときは、互いの面子が立つようにしなければなりません。実際、思慮深い中国人は実に関係当事者の立場をよく考え、皆の顔が立つような方策を提示しようと努力します。

 話は変わりますが、中国女性が、自分の夫の隣に女性が座って、夫が接待を受けることを嫌うのは、焼き餅と言うより、面子が傷つけられたと感じるためだそうです。
 また、中国人に対して、奥さんのことを褒めると気分を害します。こいつは俺の家内に気があると感じ、面子を傷つけられたように思うのかもしれません。もっとも、中年以下の中国人にこの点を聞くと、必ずしもそんな風に感じない、と言われました。やはり人によるかもしれません。


有名になった中国の二胡奏者

2007-04-13 09:46:16 | 中国情報
 最近、二胡奏者張濱(ヂャンピン)氏が、新聞などのマスコミに時々紹介されています。以前、私が参加した昼の会合で、彼が来て、二胡の演奏と講演を聴いたことがありました。

2,3年前から、名前が売れ出し、コンサートをしたり、二胡教室を開いたりしており、夏川りみの曲も作っているとのことでした。彼は、92年頃から9年ほど名古屋にいて、名古屋芸術大学に在籍して、一旦中国へ帰ったのですが、芸能ビザを取得して、又東京へ戻り、演奏活動を始めました。
 ところが最初に来日した名古屋への思いが強く、活動の拠点を名古屋に移したそうです。愛知万博でも演奏しています。

このような話をしているとき、彼は、名古屋での留学生生活時代の苦労と、受けた親切とが相まってか、途中絶句して、涙ぐみました。その姿に感動しました。勿論、演奏した3曲もとても良かったです。

彼が苦労している時代(8、9年前)に、錦のクラブでアルバイトして、二胡
の演奏をしていた際、たまたま彼と知り合いました。久し振りに、演奏後、話をしましたが、彼の成功は大変喜ばしいことと思いました。

 一般的に中国から来た留学生の、日本での生活はとても大変です。異国の地へ来て勉学するのだから、ある程度大変なのは当然だと思いますが、とりわけ、日本での生活は苦労が多いようです。
 第一には経済的ことです。収入を得る道が少なく、それに対して学費や生活費はかなり高く、奨学金制度も十分ではないことです。第二には、日本人の中国人への差別意識です。特に最近日中関係の悪化により厳しく、住居の確保や、仕事先での差別が彼らを悩ませているようです。

デンソー事件と中国人

2007-04-07 17:57:24 | 中国情報
 4月7日の新聞各紙に、デンソーの中国人社員の釈放された記事が掲載されていました。

 あれだけ大量で、且つ重要な技術情報を盗み出されて、何故釈放されるのだ、という不信感を持たれるでしょう。通常48時間の逮捕の後、10日勾留し、一般的にはさらに10日勾留延長されます。4月6日が勾留満期日で、起訴できなかったことから、処分保留のまま釈放されたわけです。
 処分保留という意味が分かりにくいですが、一部の新聞に書かれていたように、不起訴処分となる可能性が高いと思われます。

 不起訴処分は、有罪だけど犯罪内容が軽微だとか、既に社会的制裁を得ている等の理由でなされる起訴猶予処分と、容疑が固まらないので無罪と考えられる場合の本来の不起訴処分とに別れます。
 本件はおそらくは起訴猶予処分と思います。これだけのデータを盗み出してそんなに軽いのはおかしいではないか、というのが世間常識です。ところが、よく新聞を見ると、この中国人は、会社所有のパソコンを無断で自宅へ持ち帰ったという横領容疑で逮捕されています。
  
 データを盗んだのだから窃盗じゃないかと思われますが、刑法の窃盗は、その盗む対象にデータにような情報を含めていないのです。変だと思われるかもしれませんが、罪刑法定主義という刑法の大原則から、刑罰法規の解釈は厳密にされるべきで、類推解釈や拡大解釈が許されないことになっています。

 となると、パソコンが会社に戻り被害も回復しており、さらに本人が新聞報道で広く名前も知られ、会社を解雇されていれば、本人自身、大きな社会的制裁も受けたので、これ以上の厳しい制裁も科する必要がないと判断されると考えられます。勿論、彼は、今後、仕事ビザも取得できず、中国へ帰ることになるでしょう。

 ところで、デンソーの中国人社員は20名以上いるとのことで、その中に、私の古い友人で、元有名大学講師を務めていた中国人が、デンソーに就職して重要部門で働いています。彼は非常に真面目で、有能な男であり、今回の事件で、他の中国人まで、冷たい目で見られてしまうのではないかと心配しています。


最近感動した書籍

2007-04-03 00:29:25 | 中国情報
 たまたま昨年7月東京へ行ったとき、東京駅丸の内側のオアゾビル内にある三省堂で、偶然見かけた「大地の咆哮」に目が行った。
 著者杉本信行氏は、元在上海日本国総領事館総領事で、以前ハニートラップに引っかかり、中国公安から機密情報の提供を求められ、外交官が思い悩んだ末自殺した当時の上司であるる
 この本を読み始めて、まず驚いたのは杉本信行氏が執筆当時、既に末期ガンに侵され、その苦痛に苦しみつつ書き上げたと言うことである。書いているときも苦痛で、意識も薄れがちな中、書き進めたと言うことを知って、余計心に惹かれた。
 杉本氏は、私と同年の1973年に大学を卒業し、外務省入省し、チャイナスクールと呼ばれる外務省の中国専門家として勤務されてきた。
 内容は中国の腐敗や、中国の社会・経済・政治問題を幅広く且つ奥深い洞察を加えた、日中政治関係史を裏側まで描いたものといえる。現役の外交官では絶対に書くことができなかったものと思われる。
 残念ながら昨年8月に亡くなられたが、その後この本はベストセラーとなり、氏も喜んでおられると思う。
 最近、呼んだ中で特に感動した、記憶に残る書籍である。是非読んで頂きたい一冊である。