大門は北陸街道が通り、庄川の川止めなどで足止めを食らった人が利用する宿場町として機能していたらしい。その後は水運を利用して米の集積地とし栄え、昭和の初めごろにはいくつもの料亭や遊郭が建ち並ぶ華やいだ街だったそうだ。大門赤湯鉱泉も昭和 5 年の創業で、料亭をやるのに井戸を掘ったら鉱泉が出たとのこと。
内外、かなり年季の入った佇まいの銭湯で、鄙びマニアには垂涎モノである。浴室は洗い場の奥に湯舟があり、仕切りで 4:1 程度に仕切られたうちの小さな方に鉱泉が張られている。1 人サイズの本当に小さなもので、残りは白湯のバイブラ浴槽だ。赤湯は鉄味系の複雑な味で、透明度は13cmほどだった。
この手の鉱泉は泉質云々ではなく、佇まいを楽しむものだろう。なんとか残って欲しい歴史ある銭湯であるが、オーナーは買い手を探しているよう。
(2016 年 1 月)
◆源泉情報◆
泉質:炭酸鉄泉
液性:アルカリ性
成分:溶存物質 275.2 mg/kg、主要な成分は以下の通り(いずれも mg)。
カルシウムイオン | 16.9 | 炭酸水素イオン | 113.6 |
鉄 II イオン | 15.0 | 硫酸イオン | 19.5 |
メタケイ酸 | 71.5 | 遊離二酸化炭素 | 40.6 |
分析日:1936 年 3 月 13 日
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