入湯求湯巡礼行記

これまでに訪れた温泉を紹介します。
時代に逆行し、写真は基本的に載せません。
変換できない残念な名称のブログです…

強首温泉 樅峰苑 (秋田県大仙市) ★★★

2020-07-26 | 北東北の温泉

樅峰苑の建屋は大正 6 年 (1917 年) のもので、有形重要文化財に指定されている。当時は大地主だったそうだが、ルーツは関ケ原の合戦の後、国替えとなった佐竹義宜を慕って常陸国から移住してきた一族だそうだ。強首に温泉が湧いたのは 1953 年の油田調査の際とのことなので、温泉旅館としての樅峰苑はそれ以降となろう。

露天もあるそうだが、立ち寄りで入浴できるのは内湯のみで、湯舟はひとつ。黄土色に濁った湯がかけ流されていた。浴感は強く、夏にはとても長湯できない塩辛い湯で、杉の葉臭も感じられた。

立ち寄りにも快く対応していただけたが、宿泊して大正期の設えの中でゆるりとくつろぐのがこの旅館の醍醐味であろう。予定が押していたのもあり、殊更急ぎ足になってしまったのが悔やまれるが、浴室の窓際に置かれたカエルの置物にはほっこりとした気持ちになった (三猿をモチーフにしたもの)。


(2019 年 8 月)


◆源泉情報◆
源泉名:樅峰苑の湯
泉質:含よう素-ナトリウム-塩化物泉
泉温:49.8℃
成分:pH6.9、溶存物質 22240 mg/kg、主要な成分は以下の通り(いずれも mg、カッコ内はミリバル %)。

ナトリウムイオン 7930 (93.05) 塩化物イオン 12705 (96.51)
カルシウムイオン 271.4 (3.65) 炭酸水素イオン 727.3 (3.21)
カリウムイオン 176.3 (1.22) 臭素イオン 70.7 (0.24)
アンモニウムイオン 60.6 (0.91) ヨウ素イオン 17.5 (0.04)
総鉄イオン 6.8 (0.07) 遊離二酸化炭素 95.5
メタケイ酸 95.6 メタホウ酸 126.5

分析日:2018 年 3 月 8 日


国見温泉 石塚旅館 (岩手県雫石町) ★★★★★

2020-07-24 | 北東北の温泉

国見温泉は秋田駒ヶ岳の登山口に立地する温泉で、雪に閉ざされる 11~5 月の間は冬季休業となる。江戸時代にはすでに知られた温泉だったようで、南部藩の湯治場だったそうだ。湯は美しいエメラルドグリーンを呈し、東邦大学の研究によると、炭酸カルシウムと硫黄コロイドがレイリー拡散することで青色を呈し、それと多硫化イオンの黄が合わさることで緑色になるとのこと。

国見温泉は森山荘と国見山荘で入湯したことがあるが、大本命の石塚旅館は時間の都合で今回が初めて。浴室は 2 ヵ所に分かれているが、いずれも同じ源泉を使用している。まず最初に向かったのは小浴場だが、素晴らしい緑色の湯に思わず感嘆の息が漏れる。綺麗に澄んだ緑色で、深く蒸した緑茶のような色だ。かけ流し量も多く、鮮度は抜群に良いが、いかんせん熱く、長湯はできない。味は苦味とエグ味、においは…国見温泉や他の緑色に透く硫黄泉に特有のにおいだ。小浴場から外に出ると混浴の露天があるが、あいにくの豪雨で雨水交じり、色も黄味が強く、見学だけにした。これとは別に薬師の湯という大浴場もあるが、そちらはやや濁りがあり、透明度は 40 cm ほどで濃い緑色だった。こちらもしっかりとかけ流されていたが、湯舟が大きいためか入りやすい温度となっていた。

においについて諸氏のホームページを確認したところ、硫黄臭+αの形で、薬臭、アブラ臭、クレゾール臭、墨汁臭など、様々な表現が散見された。次回は宿泊でオフ会を開き、このにおいをどう表現すべきか温泉仲間と意見交換するのも楽しそうだ。

(2019 年 8 月)


◆源泉情報◆
源泉名:薬師の湯
泉質:含硫黄-ナトリウム-炭酸水素塩泉
湧出量:209 l/min
泉温:49.0℃
成分:pH7.0、溶存物質 4084 mg/kg、主要な成分は以下の通り(いずれも mg、カッコ内はミリバル %)。

ナトリウムイオン 851.5 (78.62) 炭酸水素イオン 2507 (78.12)
マグネシウムイオン 77.7 (13.56) 塩化物イオン 198.5 (10.65)
カルシウムイオン 57.2 (6.05) 硫酸イオン 220.0 (8.71)
メタケイ酸 63.6 硫化水素イオン 40.8 (2.34)
遊離二酸化炭素 303.3 遊離硫化水素 46.1

分析日:2014 年 12 月 1 日


あたご温泉 (青森県弘前市) ★★★★

2020-07-18 | 北東北の温泉

弘前の市街から岩木山方面へ向かう途中に立地している。辺りはリンゴ畑で、新岡温泉、桜温泉なども近くにある。

別源泉と思しき水風呂に定評があるとのことだったが、駐車場の車入りから大浴場は混み合っていると踏んで、家族風呂をチョイスした。山口式の湯口からドボドボと注がれ、掛け流されている源泉にうっとり。モール臭、沼っぽい硫黄臭、弱塩味のある湯で、浸かると細かな気泡の付着もみられた。

津軽平野には好みのモール泉が多いが、この家族風呂文化もまた至極素晴らしい。次は水風呂もある大浴場にも入ってみたい。


(2019 年 5 月)

 

◆源泉情報◆
源泉名:植田源泉
泉質:ナトリウム-塩化物泉
湧出量:300 l/min
泉温:58.8℃
成分:pH7.9、溶存物質 2219 mg/kg、主要な成分は以下の通り(いずれも mg、カッコ内はミリバル %)。

ナトリウムイオン 704.1 (94.02) 塩化物イオン 829.9 (74.34)
カリウムイオン 34.7 (2.73) 炭酸水素イオン 481.1 (25.02)
メタケイ酸 114.6 臭素イオン 4.6 (0.19)
メタホウ酸 25.5 遊離二酸化炭素 46.2

分析日:2013 年 7 月 11 日