十津川村は広大な面積を有する村だが、居住可能面積は小さく、紀伊山地を流れる熊野川に沿って複数の集落が点在している。辺鄙な村ではあるが、古くから高野山と熊野を結ぶ熊野古道小辺路が通い、江戸時代までには湯泉寺温泉、十津川温泉、上湯温泉が開湯している。
庵の湯は、十津川 (熊野川の同村内流域の呼称) を臨むように立地する公衆浴場で、橋のたもとから階段を使ってやや下って入る。浴室には浴槽が 1 つあるのみで、露天はないが、窓が大きくとられ、まだ夏の気配が残る十津川の景を見ながら入浴することができた。湯は、金気臭、タマゴ味、金気味、泡付き、ツルスベ感があり、泡が舞っているので微懸濁し、うっすら白くみえた。加水や循環はなく、かけ流しで気持ちの良い湯であった。
(2016 年 9 月)
◆源泉情報◆
源泉名:十津川温泉 2 号・7 号混合源泉
泉質:ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉
湧出量:867 l/min
泉温:60.2℃
成分:pH7.5、溶存物質 1756 mg/kg、主要な成分は以下の通り(いずれも mg、カッコ内はミリバル %)。
ナトリウムイオン | 435.0 (91.24) | 炭酸水素イオン | 971 (66.13) |
遊離二酸化炭素 | 26.0 | 塩化物イオン | 259 (30.4) |
分析日:2014 年 3 月 15 日
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