JR 温泉津駅の近くに位置する共同浴場。有名な温泉津温泉はやや離れた位置にあり、小浜温泉の方が温泉津駅に近い。“才一”とは、当地出身の浅原才一 (さいち) から採ったもの。浅原は浄土真宗の信者で、口あいとよばれる信仰の心を読んだ多くの詩を残した人物で、後に日本的霊性として評価され、鈴木大拙の著書で紹介されたことで有名になった。
浴室は 2 面に窓が広くとられ、女湯と仕切りをはさむようにして半円形の湯舟がひとつ。湯は炭酸味、甘味、鉄味のある濁り湯で、透明度は 30 cm ほど。加水と加温ありとのことだが、湯の個性は十分であった。
受付のおばさんはとても話好きな方で、いろいろと身の上話や町のことをお聞きした。観光客を呼び込める温泉津温泉のすぐ近くでありながら地元住民向けの浴場で、湯温も低く、ボイラーで沸かさなければならないなど、厳しいところだと思う。願わくはこのような温泉が今後もずっと続いてくれるよう…そう感じずにいられない一湯であった。
(2016 年 5 月)
◆源泉情報◆
源泉名:小浜温泉
泉質:ナトリウム・カルシウム-塩化物泉
泉温:25.2℃
成分:溶存物質 7130 mg/kg、主要な成分は以下の通り(いずれも mg)。
ナトリウムイオン | 1780 | 塩化物イオン | 2650 |
カルシウムイオン | 448 | 硫酸イオン | 974 |
マグネシウムイオン | 87.1 | 炭酸水素イオン | 946 |
ストロンチウムイオン | 12.9 | 臭素イオン | 8.5 |
メタケイ酸 | 104 | 遊離二酸化炭素 | 299 |
分析日:2015 年 4 月 21 日
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます