大塩温泉は、喜多方の街と檜原湖の間に立地する温泉で、濃い食塩泉を煮詰めて作る山塩が名物になっている。物流の発達していない時代、山間の村落にとって塩は貴重なものだったのだろう。現在は山塩羊羹などとして、土産物にも活かされており、米澤屋でも山塩ラーメンが供されていた。
浴室は板張りで、角に合わせた三角湯舟の内湯のみ。湯は透明で、海水のように塩辛く、ややぬるめ。成分表をみると、銅イオンを 1 mg/kg 以上含んでいることがわかった。これが銅!といった浴感はわからなかったが、大変珍しい泉質である。注がれた源泉がサーサーと惜しみなくフローしており、大変気持ちのよい一湯であった。
余談であるが、かつて知られた含銅泉のほとんどはすでに廃業しているか、成分が変化して銅イオンが検出されなくなっている。知る限り、現在でも 1 mg/kg 以上含んでいるのは、大塩裏磐梯温泉のほか、徳島県のふいご温泉 (5.5 mg/kg。2009 年)、島根県の大谷温泉 (1.2 mg/kg。1980 年) であるが、いずれも未湯である。温泉法の改定により、泉質名として「含銅」は認められなくなってしまったが、悔しいので下記“源泉情報”には「含銅」と記しておく。
(2019 年 9 月)
◆源泉情報◆
源泉名:大塩裏磐梯温泉旅館組合
泉質:含銅-ナトリウム・カルシウム-塩化物泉
泉温:45.8℃
成分:pH7.2、溶存物質 18835 mg/kg、主要な成分は以下の通り(いずれも mg、カッコ内はミリバル %)。
ナトリウムイオン | 4651.4 (70.27) | 塩化物イオン | 11088.9 (92.17) |
カルシウムイオン | 1212.8 (21.01) | 硫酸イオン | 662.6 (4.07) |
マグネシウムイオン | 207.1 (5.92) | 炭酸水素イオン | 454.7 (2.20) |
カリウムイオン | 197.2 (1.75) | 炭酸イオン | 145.5 (1.43) |
リチウムイオン | 19.9 (1.00) | 臭素イオン | 25.7 (0.09) |
銅イオン | 1.2 (0.01) | メタホウ酸 | 100.8 |
メタケイ酸 | 57.7 | 遊離二酸化炭素 | 145.5 |
分析日:2013 年 10 月 4 日
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