入湯求湯巡礼行記

これまでに訪れた温泉を紹介します。
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大塩裏磐梯温泉 旅館米澤屋 (福島県北塩原村) ★★★★

2020-09-20 | 南東北の温泉

大塩温泉は、喜多方の街と檜原湖の間に立地する温泉で、濃い食塩泉を煮詰めて作る山塩が名物になっている。物流の発達していない時代、山間の村落にとって塩は貴重なものだったのだろう。現在は山塩羊羹などとして、土産物にも活かされており、米澤屋でも山塩ラーメンが供されていた。

浴室は板張りで、角に合わせた三角湯舟の内湯のみ。湯は透明で、海水のように塩辛く、ややぬるめ。成分表をみると、銅イオンを 1 mg/kg 以上含んでいることがわかった。これが銅!といった浴感はわからなかったが、大変珍しい泉質である。注がれた源泉がサーサーと惜しみなくフローしており、大変気持ちのよい一湯であった。

余談であるが、かつて知られた含銅泉のほとんどはすでに廃業しているか、成分が変化して銅イオンが検出されなくなっている。知る限り、現在でも 1 mg/kg 以上含んでいるのは、大塩裏磐梯温泉のほか、徳島県のふいご温泉 (5.5 mg/kg。2009 年)、島根県の大谷温泉 (1.2 mg/kg。1980 年) であるが、いずれも未湯である。温泉法の改定により、泉質名として「含銅」は認められなくなってしまったが、悔しいので下記“源泉情報”には「含銅」と記しておく。


(2019 年 9 月)


◆源泉情報◆
源泉名:大塩裏磐梯温泉旅館組合
泉質:含銅-ナトリウム・カルシウム-塩化物泉
泉温:45.8℃
成分:pH7.2、溶存物質 18835 mg/kg、主要な成分は以下の通り(いずれも mg、カッコ内はミリバル %)。

ナトリウムイオン 4651.4 (70.27) 塩化物イオン 11088.9 (92.17)
カルシウムイオン 1212.8 (21.01) 硫酸イオン 662.6 (4.07)
マグネシウムイオン 207.1 (5.92) 炭酸水素イオン 454.7 (2.20)
カリウムイオン 197.2 (1.75) 炭酸イオン 145.5 (1.43)
リチウムイオン 19.9 (1.00) 臭素イオン 25.7 (0.09)
銅イオン 1.2 (0.01) メタホウ酸 100.8
メタケイ酸 57.7 遊離二酸化炭素 145.5

分析日:2013 年 10 月 4 日


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