西鎌発、地域ぐるみで教育を考える

西鎌倉地域において、家庭、学校、地域が交流し、連携して子どもたちの教育環境を考える「教育懇話会」の活動記録です。

コミュニティ・スクールについて

2022-07-09 19:22:43 | Weblog

令和4年度第1回目の代表者会は、竹原和泉さんに「コミュニティ・スクール」についてお話をいただきました。昨年から代表者会に自宅などからオンラインで参加できるようになりましたが、今回は懇話会として初のオンライン講義です。コロナの影響で様々な困難もありましたが、そのおかげでオンラインを活用できるようになり、新たな活動の可能性を感じました。

 

さて竹原和泉さん(文部科学省CSマイスター/NPO法人まちと学校のみらい代表理事)は、専業主婦から地域活動をスタート、平成17年横浜市立東山田中学校で神奈川県内初となるコミュニティ・スクールの立ち上げを経験し、コミュニティハウス館長等を歴任。そのご経験を生かしてコミュニティスクール関連の講演を数多くご依頼いただいているようです。

一方で鎌倉市では今年度より鎌倉版コミュニティ・スクールを立ち上げ、西鎌倉地域でも今秋より始動する予定です。そこでコミュニティ・スクールとはなんぞや?、またどんなことをすればいいのかを具体的にイメージできるように、竹原さんにお声がけしました。

 

講義は19ページにわたる詳しい資料を基に、質問の時間も含めて約1時間お話をいただきました。長年にわたる実践に基づいたお話はやはり説得力があり、会場の皆さんも熱心に聞き入っていました。その中でも私が印象に残ったお話は以下の3点です。

 

現在私たちはスマートフォンを当たり前のように使っていますが、40年前の情報通信手段の主流は固定電話、その後ポケベルときて、20数年前は携帯電話が普及し始めました。では逆に20年後の未来は?みんなで想像し、おもしろい意見も出ましたが、しかしそれはどうなるか今誰も分かりません。ただしはっきりしていることは一つ、その未来を作る担い手は、紛れもなく今の子どもたちということ。そう考えると従来のように知識を学ぶことだけではなく、未来への想像力と創造力を育てるという視点もより大事となります。そしてそれを学ぶ機会は「教科書」が教科書の学校だけでは限界があり、地域と結びついて「社会」や「現場」を教科書に、体験の場を作るべきだというお話でした。

 

次に日本では夢を持つ子が少なく、また自己肯定感の低さが顕著なこと。グループMTGでもそのことにショックを受けて話題になっているところが多かったようです。それは自己犠牲を是とする日本人特有の資質もあるかもしれませんが、既存の教育のあり方も影響がありそうです。

 

3点目は、コミュニティスクールの成果で、荒れていた河川敷が観光地のようなチューリップ畑に生まれ変わったいくつかのエピソードです。あるご高齢の方が、ここにチューリップを植えようと提案したのは自分だと言っていた一方で、小学校の校長によるとそれを提案したのは小学生だと。アレレ?、という話かと思ったら、みんなが自分事のように思っていてくれて本当にうれしかったと竹原さんは述べていて、その捉え方自体が本当に素敵だな、と思いました。そういったコーディネーター役の方の心の広さも成功の秘訣なのかもしれません。

 

そう、様々な地域の関係者が関わるコミュニティ・スクールが成立し、機能するためには、コーディネーター役がとても大事なのではないかと思いました。各地域でいかにそのお役目の方々を発掘するかが肝の一つとなるのではないかと思います。

 

会の後半は、竹原さんのお話を基に会場4グループ、またオンライン上で1グループ、計5グループでグループMTGを実施しました。お話の内容が濃かっただけに、私が所属していたグループでも活発に意見交換することができました。とくに深く議論したのは、竹原さんのお話の中であった「ドラム缶のお風呂」のエピソードについて。ドラム缶のお風呂に入りたい!という子どもたちの声を受けてそれを作るイベントを実施したそうなのですが、大人たちがよかれと思って全て作ってしまいました。子どもたちはお風呂に入るところだけ体験することになったのですが、全て準備してしまいました。子どもたちはお風呂に入るところだけ体験することになったのですが、子どもたちが水を運び、火をおこす体験こそ必要だったのではないかと問題提起をされていました。

こうして大人がおぜん立てしすぎて子どもたちの豊かな体験を奪ってしまうことはよくある話だと思うのですが、一方で何か事故が起きた場合に責任をとらなければいけないことを考えると、大人たちはそのリスク回避のため自分たちで作ってしまったほうが「早い」という発想になりがちです。そこをいかにぐっとがまんして子どもたちの体験の場を作るためには、むしろより緻密にリスクマネジメントについて事前に話し合う必要があるのでは、という話になりました。そういった様々な視点も交えて議論の場があり、それを子どもたちに見せること自体が、未来を創造する子どもたちにとってよい機会になるのではないかと思います。