西鎌発、地域ぐるみで教育を考える

西鎌倉地域において、家庭、学校、地域が交流し、連携して子どもたちの教育環境を考える「教育懇話会」の活動記録です。

キーワードは包容力

2019-02-23 23:22:31 | Weblog

長年不登校や引きこもりの子どもたちを支援し続けてきた滝田さん、代表者会でお話いただくのは今回で5回目です。毎回「あたたかく寛容に子どもたちの声を聞き、見守り続ける」ことが大事と説く滝田さんのお話を、地域のたくさんの方々に聞いていただきたくて、ここ最近毎年のようにお呼びしています。

今回は少し趣向を変えて、最初は子育てを支援する仕組みや体制のお話。正直なところ今まであまりよく知らなかったのですが、行政が手厚く体制を整えているのだな、と感じました。しかし残念ながらその情報が地域住民の方々に行き届かず、活かしきれていないのが現実。この場に来ている地域の方々に期待したいことの一つは、こうした体制があるということをぜひ地域の中で情報発信していただくことです。

 

さて、子どもを育てていくうえで、今子どもたちを取り巻く環境は、核家族または独り親世帯の中で少子化が進み、また世代間格差も生じています。その中で家族が子どもに対して過度に期待し、あるいは社会の荒波を乗り越えていけるようにと、その思いが行き過ぎて「教育家族化」していると指摘がありました。厳しいしつけ、それがエスカレートして虐待へ、あるいは成績や成果で子どもたちが評価され、競争しなければならない日常、そのような環境下で子どもたちはたくさんのストレスを抱え、また自己肯定感の低い状況を作り出しているようです。「自己肯定感」を高めるのは周りの大人たちの役割です。如何に一人一人の子どもたちに対して寄り添い、その子の全体を受け入れられるか、家族や地域社会の寛容な包容力が問われているといえます。

 

滝田さんのお話の後は、恒例の小グループミーティングを行いました。お話が一方通行ではなく、参加者も思いや意見を発信し、また問題の共有や話し合いの過程を通じて顔の見える関係を作っていくこともこの会のテーマの一つです。その中で、私が参加したグループで興味深かったお話を紹介したいと思います。その方は子育て中のお母さん、地域活動にも精力的に関わっていますが、実は元々子どもたちと接することが苦手でした。またほめて伸ばせばいいことはよく耳にするけど、自分にあまりその経験がないのでどうしたらいいか分からない。しかし最近地域と関わり始めたことにより、周りの大人たちが子どもをほめてくれるようになりました。そんな経験を通じて、そうか!自分だけでなんとかするのではなく、苦手なことは周りに託すのもありなんだ、と思うようになったようです。地域の中で得意なことを持ち寄り、一人の苦手を補う仕組みは、大人も子どもも皆が幸せに暮らせる地域社会のあり方にとても参考になると思いました。


少年の健全育成について

2018-11-17 19:04:47 | Weblog

 第2回は、神奈川県警察本部少年育成課の山下さんにお越しいただきました。「警察」の方ということで、会場でお会いするまでは先入観で厳格な方だろうなと思っていました。しかし実際お会いしてみると、威厳を放ちつつも、時折ユーモアを織り交ぜながら張りのある声でお話をしてくださいました。お話の冒頭、元々は高校教師で、現在出向で警察内の少年の健全育成を図る部署に勤務していると自己紹介されていましたが、なるほど、そういうことだったのですね。

 まずは業務内容から。犯罪行為の可能性のあるケースに対し、学校と警察が日々連携して未然に犯罪を防ぐ取り組みを行っているようです。その際に課題となるのは個人情報のやり取り。それなしではなかなか前に進められないこともあるのですが、個人情報の取り扱いが非常に厳しくなっており、防犯と個人情報保護の双方の観点から、現在過渡期にあるといえそうです。

 また近年の特徴として、犯罪の温床がインターネットに潜み、バイト感覚で気軽に犯罪に手を染められる案件が増えてきているようです。こうしたケースではアプリ側との連携を図ることで対策を取り始めています。

 次に、犯罪や事故に巻き込まれやすい登下校の時間帯について。とくに一人になってしまう区間をどうするかが課題なのですが、この点は「地域との連携」で解決していくことが望まれています。

 

 お話の終盤は、元々の本業である高校の教育現場の話題となりました。現在県下の高校が供給過剰気味のために統廃合を進めていること、また教員が定年による大量退職が続く一方で志願者が減って教員不足に陥っていることに触れ、そのうち「人材不足」については教育の分野だけではなく、山下さんの専門分野である建設の分野でも同じ状況に陥っています。

 その状況を解決するには、教員を増やすことも大事だけど、外部の教育力を活用することに活路を見出したい、と力説されていました。また外部の方に期待したいのは、座学だけではなく、現場を見せてくれること。現場で体感し、スケール感を養うことの効果は大きく、また主体的、対話的な学びとなり、直接生きる力の成長を促してくれるからです。

 その観点からも今後「地域の連携」が有効を言えそうですね!




励ましの言葉が平和を作る

2018-07-07 19:04:17 | Weblog

今年度第1回の代表者会は、手広在住の保護司である石井和行さんに、「保護司の活動」についてお話をいただきました。

 

保護司とは、「社会奉仕の精神をもつて、犯罪をした者の改善及び更生を助けるとともに、犯罪の予防のため世論の啓発に努め、もつて地域社会の浄化をはかり、個人及び公共の福祉に寄与することをその使命」として活動しています。

具体的には、少年院や刑務所を出た人の保護観察や、地域の防犯に向けた取り組みを行っているようです。


私は教育懇話会に関わり始めたのは約10年前となりますが、恥ずかしながらその時初めて「保護司」という存在があることを知りました。そして今日、初めて保護司の仕事の内容を具体的に知ることができました。恐らくこの地域で暮らす大半の方も、そうではないかと思います。しかしそういった方がいるからこそ、私たちは地域で平和に暮らすことができているのだな、と思いました。

去年の夏私は街頭指導員という立場で、地域内の主要な店舗を数カ所回り、犯罪状況についてヒアリングしました。そうするとお店の方から一様に返ってきた言葉は「最近何にもないですね」。その時はへー、と思いながら聞いていましたが、それは石井さんを始めとする地域の方々の地道な防犯活動のおかげでまちが安定しているんだな、と振り返ればそのように思います。

 

そんな保護司の立場は、法務大臣から委嘱された国家公務員ですが、給与は支給されない「ボランティア」です。さらに仕事内容の特性から、経済的な余裕だけではなく時間的余裕がないとできないこと。また年齢は、65歳までなることができますが、定年は75歳。市町村によって定数があるそうですが、鎌倉市は定数25名のところ、現在約20名いらっしゃるそうです。これまで青少年指導員の石塚さんが、「なかなかなり手がいないのでどなたかお願いします。」というご案内をこの場で再三されていて、その成果あって今年はたくさん人材が見つかったそうですが、直感的に、保護司もいつかこの人材不足という問題に直面するのではないかと思いました。この仕事をほぼボランティアで引き受けてくださる方がいらっしゃることは本当にありがたい、しかしながらこの先ボランティアで本当に、大事な仕事を担う人材を確保し続けられるのだろうか、とはいえそういった方が見つかるということは地域にとって大きな財産になるのだろうな、と葛藤しながら石井さんのお話を聞いていました。

 

そういった意味でも、今回保護司の存在と仕事内容についてたくさんの地域の方々にご紹介できたことは、意義があったのではないかと思います。

 

最後に、石井さんの言葉で印象的だったのは、立ち直ろうとしている人に向けてかけたほうがよい言葉は、「それやってはダメ」というよりも、励ましの言葉。シャバが冷たいと刑務所にいたほうがいいや、となり、再犯する率が高まるそうです。なるほど、と思いました。相手が過去に罪を犯した人と知ると正直私たちは少し構えてしまうと思うのですが、そうではなく寛容な目で励まし、彼らの居場所を作ることが、さらに安定したまちづくりにつながっていくのではないかと思いました。その時に石井さんをはじめ保護司の方々の経験が大きな力となりそうです。

 

 

お話しをする石井さん。

 

 

 

恒例のグループトーク後の発表。

 

同じように聞いた話でも、

各グループで話の展開が多様なのが

おもしろいと思います。

 

 

 

閉会の言葉は、

いつもどおり会計の橋本さんに

楽しく締めていただきました。

 

地域のみんなが

文字どおり輪になるって、

いいですね!

 

(日高)


教員の一日

2018-02-17 21:42:05 | Weblog

平成29年度最後の代表者会は、西鎌倉小学校の鷺谷校長先生にお話をいただきました。真っ先に驚いたのは、配布資料の充実ぶり。これまでの代表者会の中で、最も充実した資料といってもよいくらいでした。さすが学校の先生!

さて今日のお話の内容は「教員の一日」。生徒たち、また私たちも、学校の先生の姿を見るのは授業中で、それ以外の時間の勤務時間中にどんなことをしているのかを目にすることはほとんどありません。たくさんのご苦労があるんだろうな、と察してはいましたが、実際は想像以上でした。

まず朝が早い。だいたい8時には学校に着いているそうで、一般的なサラリーマンと比べてもかなり早いほうだと思います。その後生徒たちが登校してから下校するまで、給食の時間を含めてほとんど気の休まる時間がありません。給食の時間、掃除の時間、あるいは子どもたちにとっての休み時間も、生活指導の一環だからです。そもそも子どもたち相手だから、食べこぼしやケンカ…、何も起こらない、というわけにはいきません。そのかわり生徒たちの下校後、3時30分から4時15分まで休憩時間。正直知らなかったです(笑)。いつも懇話会の役員会は16時から始めているのですが、だとするといつも休憩時間を割いて会議に参加してくださったということになり、申し訳ない気持ちになりました。

その後17時過ぎに帰宅したとしても、次の日の授業の準備をして夜遅くに就寝。確かに5、6時限も人前で、しかも子どもたちの興味を引きつけてお話しするためには毎日入念な準備が必要なのだろうと思います。

一方でそれと引き換えに、子どもたちと同じように夏休みが長い…、と思ったら大間違い。夏休みの日数は、サラリーマンと同じ5日間だそうです。生徒が休みの間を利用して、研修等がぎっしり詰まっているそうです。

 

そんなハードな日々を送る学校の先生ですが、年々年齢層が若くなっているそうです。確かに西鎌倉小の職員室を少し見渡してみると、少し前に比べて男女問わず若々しい先生が増えたような気がします。ただ、経験豊富な年配の先生よりも子どもたちと年齢が近いこともあり、子どもたちから慕われ、人気が高い傾向にあるようです。若さゆえにいろいろあるかもしれませんが、子どもたちときょうだいのようにふれあう若い学校の先生たちを。地域ぐるみであたたかく見守っていきたいですね!

 

鷺谷校長先生から一通りお話をいただいた後、いつものとおり小グループに分かれて感想などを述べ合いました。私がいたグループは、まさに西鎌倉小に子どもが通っているお母さんたちばかりだったのですが、みんな校長先生を筆頭に、学校を大絶賛!「学校が楽しい」という声を何度も聞きました。教室以外でも、陰ながら地道に子どもたちのために準備と研鑽を惜しまない学校の先生たちの努力と愛情の賜物なのかな、と思ってお母さんたちのお話を聞いていました。努力と愛情は正直に伝わるのだと思います。学校だけに限らず、子どもたちに関わる地域の大人たちが愛情をもって接していき、地域ぐるみで学校を、子どもたちを盛り上げていきましょう!

 

 

 

 

 

 


寛容なまちをつくる

2017-11-18 20:27:36 | Weblog

平成29年度第2回の代表者会議は、七里ヶ丘こども若者支援研究所主宰の滝田衛さんをお迎えし、「教育支援の現場から見える鎌倉の子どもたち」というお題目で約1時間お話をいただきました。懇話会にお越しいただくのはこれで4度目ですが、毎年ほぼ全てのメンバーが入れ替わりますし、この地域のたくさんの方々に滝田さんのお話を聞いていただきたいので、ここのところ毎年お呼びしています。今回もステキなお話をしていただきました。

 

滝田さんのお話は、その内容もさることながら、いつもニコニコ、その人となりを見ているだけでいやされるような気がします。その滝田さんが、大人の姿勢として大切なことの一つは「寛容」、と紙に書いて掲げると、本当に説得力があります。

 

ではなぜ「寛容」な姿勢なのか。子どもたちの成長は、いや大人たちもだと思うのですが、一直線に右肩上がりに進んでいくということはなく、上がったり下がったり、その過程で凸凹しながら、長い目で見れば上に進んでいく、らせん状に昇っていくイメージです。上がっている時はともかく、下がって悩み、もがき苦しんでいる時、その状況を自分ごとのように受け入れ、それを大人の経験や価値観で諭すのではなく、寛容な姿勢で周りの大人がサポートすることが大切だということだと思います。例えば大人が子どもの勉強の様子を見て、大人のものさしで「こんなことも分からないの?」と言葉を発してしまったら、子どもは恥ずかしくて次質問しようという意欲が低くなり、自信もなくしていきます。なぜ分からないのか、「自分ごと」のように受け止めて応じてほしい、と滝田さんは説きます。

その言葉は、とくに現役子育て中のお母さんたちの胸に響いたようで、身近に不登校の子がいる方は、「なんでなんで」ではなく、その子の思いに共感して、包み込むようにサポートしていこう、という感想も耳にしました。

 

また、子どもたちをサポートするのは「親」だけではなく、地域の大人たち、という環境づくりが大切で、そうしていくためには、地域の大人たち同士が「お互いさま」と、頼り頼り合える関係を作っていくことを提案されていました。そうした関係を作っていくのは時間がかかりますけれども、西鎌倉地域は、先輩方や学校の先生方によりその土壌が作られていると思いますし、また懇話会が引き続きこうした場を地道に設けていき、その土壌をさらに豊かなものにしていきたいと思います。

 

 

 

 

 


豊かなコミュケーションの場を作る

2017-02-18 22:34:05 | Weblog

平成28年度第3回代表者会は、七里ヶ丘こども若者支援研究所の滝田衛さんをお迎えしてお話をいただきました。

長年引きこもりや不登校の子たちの支援を続けている滝田さんを教育懇話会にお迎えするのはこれで三度目ですが、代表者会に出席するメンバーは大半が一年で入れ替わるので、実は何度呼んでも初めてお聞きするという方が多く、滝田さんの心温まる素敵な話を、この地域の中で一人でも多くの方にお聞きしていただきたいと思い、何度もお呼びしている次第です。

 

さて、まずお話しいただいたのは、日本の小中学生の約9割の子どもたちが、学校が楽しいと感じている一方で、悩みを抱えている子も少なからずいます。そういった悩みに対して日本の子どもたちの多くは、悩みを自分で抱え込んでしまっています。もしくは、悩みがあったとしても、悩みを考えないようにしている、ということも多いようです。

この現象は、日本人の忍耐を美徳とするところもあると思いますが、見方を変えれば、悩んだ時、困った時に、それを外に吐き出す場がないということでもあります。大人は忙しくて、子どもたちの悩みなどをじっくり聞いている余裕がない。聞くことがあったとしても効率的に解決を急ぎ、それがかえって子どもたちを追い詰めている。

 

それと日本人に悩みを共有できる雰囲気が生まれないのは、さらに二つ理由があるようです。

一つめは、世間体がじゃまをしている。

二つめは、ここ近年の、自分の問題は「自己責任」という風潮。本屋に行けば自己啓発系の本がたくさん並んでいますが、これは自分の問題は自分で解決しようとする風潮の表れです。

一つの悩みをきっかけに子どもたちは誰にも相談できずに自分を責め、それが積み重なって長い間心を閉ざしてしまう…。こうした状況を解決するには、コミュニケーションの場があることが大事だと滝田さんは力説します。面白かったのは、それはLINEやゲームでもいいという発想。親たちはそれらに没頭する子どもを見るとやめさせようとしますが、それがその子たちのコミュニケーションの道具だとすれば、それを断つよりはむしろ大人たちがその世界に入っていくほうがいいとおっしゃっていて、なるほどなと思いました。

ちなみに子どもたちはなぜゲームに没頭するかというと、「他にやることがないから」やっているというケースも多いようです。もしゲームに耽る子がいたら、やみくもにやめされるのではなく、「やりたいゲームを見つけてごらん」と声をかけてみるのもよいとのことです。

 

ではなぜ日本の子どもたちの多くが悩みを抱えてしまうのでしょうか。その理由の一つは、現代の競争社会の中で他の子たちと比較検討されて、親たちは子どものよい点をそっちのけに、悪い点を補おうとばかりしてないか、という指摘がありました。例えばすごく本が好きだけど運動が苦手という子に、運動の習いごとを無理やり強制するといったことです。また学校のマラソン大会で15位だった子に対して、がんばって走り切ったことをほめるよりも先に、「じゃあ次回は10位以内になるように」とハッパをかけて、知らず知らずのうちに子どもたちを追い詰めているのではないでしょうか。そうやって追い詰めるよりも、子どもたちのいいところを見つけて、それを伸ばすことに力を入れる教育であってほしいと思います。

 

そのような子どもたちを取り巻く状況に対し、地域の果たす役割は大きい、と滝田さんは説きます。それは悩みや問題を共有できる雰囲気を作ること。とはいえいきなり子どもたちに声をかけて悩みを聞き出すことなんてできないので、まずは大人たちが地域の中で豊かにコミュニケーションすること。それが積み重なって、子どもたちは家族以外の人たちと出会う機会を作ることができます。そしてそれが如何に大事なことか。滝田さんの尊敬する方の言葉に、「ひと薬」という言葉があるそうなのですが、人と人との出会いの中で子どもたち、いや大人たちも救われる場面は多いそうです。教育懇話会の役割はそこにあるのではないかと思いますので、引き続き出会いと交流の場を作っていきたいと思います。


家族はチーム

2016-07-10 06:38:38 | Weblog

昨日の教育懇話会代表者会にて。

 

ゲストの小畑大輔さんにお話をいただいた後、出席者の皆さんが5グループに分かれてグループミーティングを行った際、出席者から出た意見が個人的にとても印象的だったので、紹介させていただきます。

 

それは、「家族はチーム」という発想。

 

家族の誰かが忙しければ、他の誰かが補えばいい。

家族の誰かが失敗すれば、他の誰かが補えばいい。

 

その日の朝我が家で起きたことと重なり、ハッとなり、考えさせられました。

この言葉を胸に、改めて家族と接していきたいと思います。

 

 

 

 

 

 


西鎌倉からダンスで世界へ

2016-07-09 22:41:05 | Weblog

今年第一回の代表者会は、地元の西鎌倉小、手広中出身のダンサー小畑大輔さんをお招きしてお話をいただきました。

会場は西鎌倉小の会議室。奇しくも今まさにここにいる場所が小学校一年生の時の教室だったそうで、ここから学校生活が始まった小畑さん。幼少の頃から言語障がいを持っていたために小学校に入るやいなや嘲笑を浴び、中学生の頃までいじめられっ子だったそうです。しかしその状況を一変させたのが、ダンスでした。ふとしたきっかけでダンスをやっていることが友達に知られて皆の前で披露することになり、踊ったところ拍手喝采。自分の輝く場所を見つけました。

その後「踊れるパン屋」をめざして製菓学校に通うものの、製菓学校の先生から「どっちが‘狂える’んだ?」と問われてダンサー一本で勝負することを決意し、NYに単身留学。その後様々なダンスコンテストで優勝するなど輝かしい実績を残してきました。

 

そのようにダンスで世界を昇りつめた小畑さんですが、実は今もう一つ大切にしている活動があります。それは高齢者施設、障がい者施設、児童福祉施設などに出向き、ダンスや散歩などを通じてたくさんの人たちと触れ合うこと。とくに知的障がい者との交流は、彼らから得られることが多いそうです。誰かに見せよう、誰かから評価されようという「裏心」など全く無しに、絵を描きたいからひたすら自由に絵を描く。踊りたいからひたすら自由に踊る。知的障がい者がよく行う、こうした初期衝動の素直な表現は、現代人、いや現代の子どもたちですらほとんど忘れかけていることですが、しかしその中にたくさんの可能性、たくさんの学びがあるとのこと。自分自身が障がいを持った立場だった経験が生きて、彼らに何かを「与える」という発想ではなく、常に同じ目線で彼らと触れ合い、お互いに学び合おうという姿勢にたいへん胸が熱くなりました。これまでダンスコンテストでいい結果を獲得できたのは、もちろんダンスの技術がすばらしいこともありますが、こうした姿勢、こうした経験に裏打ちされて、心が磨かれていたこともあると思います。

 

お話をいただいたあと、参加者三十数名が5グループに分かれて感想などを述べ合いました。

私はたまたま小畑さんと同じグループだったので、引き続き彼から興味深い言葉をたくさんお聞きしました。まず一つは、子どもたちと接していると、実は今心を解きほぐすべきなのは、親のほうであるということを痛感するそうです。確かに親の切羽詰まった気持ちが子どもに伝播して、子どもが息苦しい思いをしている面はあると思います。またそうした状況を解きほぐす有効な方法の一つは「呼吸」だという話。なるほど。だとすれば、深呼吸したくなるような空気に包まれた環境づくりも大事なことなりそうです。事実、コンクリートジャングルの都会では、呼吸が浅い傾向にあるようですので、その意味でも緑豊かな環境を維持していきたいと思いました。

 

このようにたいへん示唆に富むお話をたくさんいただき、「感動した」の一言ではおさまらないほどのあっという間の2時間でした。会の後出席者の何人かとお話ししましたが、皆さんも同じように感じたようです。出席した手広中の校長先生が、中学校でぜひお話してほしい、と言っていましたが、ぜひ実現してほしいと思います。

 

【追伸】

小畑大輔さんの詳細は、以下のHPをぜひご覧ください。

OBA (小畑大輔)オフィシャルサイト http://obadance.com

NPO法人共有空間 http://qreators.jp/qreator/kyouyukuukan

 

 

 

 


平成28年度総会開催~大人たちによるより大きな輪を

2016-05-28 21:25:46 | Weblog

今日は西鎌倉地域教育懇話会の総会でした。

総勢50名はいたでしょうか。地域ぐるみで子どもたちを見守る土壌を育てる教育懇話会に、これだけの人たちが集まること自体が、このまちの大きな財産です。

今年度も楽しく有意義な集まりの場を設けることにより、子どもたちを中心に、より多くの大人たちが手をつないであたたかな輪を作っていきたいと思います。一年間よろしくお願いいたします。

 


平成27年度代表者会レポート!!

2016-05-28 20:02:42 | Weblog

西鎌倉地域教育懇話会では、年に3回、各自治会・町内会や地域活動団体等の代表者、学校の先生方、そして私たち懇話会役員が一堂に会する「代表者会」を開催しております。代表者会では、地域の方々が学校教育の現状を知り、また懇談を通じて地域と学校が顔の見える関係を作り、地域ぐるみで子どもたちを育てていく意識の醸成を図っています。その様子を以下のとおりレポートいたします。

 

第1回

日時:平成27年7月11日(土) 場所:西鎌倉小

話題:「特別支援級「やまゆり」の先生として」

講師:横倉 味佳(西鎌倉小 教員)

 

第1回は、西鎌倉小で平成25年4月に開級した特別支援級「やまゆり」を担当する横倉味佳先生にお話をいただきました。特別支援級とは、横倉先生にいただいた資料によると、「障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けて、一人一人の教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善または克服するため、適切な教育を行う」クラスです。障害の区分はいくつかあって、そのうち「やまゆり級」では知的障害者の児童を受けて入れています。最近時折耳にする「発達障害」の子も、この区分に入るようです。横倉先生からは、その「やまゆり級」のプログラムや子どもたちの様子、そして地域に期待したいことについてお話をいただきました。

まず「やまゆり級」の授業は、通常の学級の授業とは異なり、買物の仕方や電車の乗り方など、自立活動を促すためのプログラムに力を入れており、その一環で毎週一回校外学習の機会があるようです。また社会に出る準備としてあいさつやマナーの指導、子どものうちから働くことを意識したキャリア教育なども行っています。つまり社会との接点を設け、いろいろ体験することが大切なので、地域の方々からのご協力や声かけが力になる、とのことでした。

横倉先生からお話をいただいた後、いつものとおり小グループに分かれて感想や意見を出し合いました。その中で印象に残った意見を幾つか紹介します。

まず一つ目は、小学校がこんなに身近な存在なのに、このやまゆり級のことを知らなかった!ということです。やまゆり級の学習プログラムは、地域との接点が多ければ多いほど豊かなものになるので、この存在を広く地域の方々に知ってもらい、そのうえで地域で「できること」を出し合うしくみを作るといいですね、という意見がありました。それは障害を持つ子に対してだけではなく、今後の高齢者福祉などでも同じことが言えそうです。

次に、正直なところ特別支援学級に対して偏見を持つ方もいらっしゃるのですが、その中でもやまゆり級の子たちと交流のある人は偏見がなく、交流のない人は偏見を持ちやすい傾向があるようです。やまゆり級の子どもたちの様子を聞いていると、実は誰しもが当てはまることだったり、あるいはアメリカでは障害に対して「特別なギフト」という考え方があるそうなのですが、一つの才能に突出して長けている場合も少なくありません。例えばあの著名な発明家エジソンがそうですね。多様な存在を幅広く受け入れられる寛容な地域づくりのために、またそうした突出した才能を引き出すためにも、こうした特別支援級との交流は、とても重要な意味を持ちそうです。

 

第2回

日時:平成27年12月12日(土) 場所:西鎌倉小

話題:「手広中学校の取り組み~家庭・地域・小中連携の視点から

講師:川合 良宏(手広中 校長

手広中学校に足を踏み入れると、たとえ見知らぬ人だとしても大人を見つければ必ずあいさつをしてくれます。またこれまで新任の先生から、この学校の雰囲気のよさに驚く声を数多く耳にしました。これはもちろん、学校の先生方の努力の賜物だと思いますが、学校が、家庭と地域と連携し、三位一体で子どもたちを見守る土壌を育ててきたことも要因の一つかと思います。またこの学区は、小学校と中学校の校区がほぼ同一で、小中連携すれば9年間連続して子どもたちを見守り、育てられる環境であることも大きいと思います。

そこで今回は、手広中校長の川合良宏先生から、そうした地域連携、また学校同士の連携という視点で取り組んでいることのお話とともに、現在の教育方針などについてもお話をいただきました。

まず地域との連携に関しては、「学校へ行こう週間」などを通じて地域に学校を開く場を設けるだけではなく、地域の人が年に2回「一日先生」となって様々な体験学習プログラムを提供したり、職場体験の機会を設けたり、地域と連携して「体験学習」の場を提供する取り組みを行っています。また小中連携に関しては年間を通じてA4用紙びっしりになるほどの取り組みが挙げられていて驚きました。例えば小学生が、中学生の総合的な学習の発表を聞きに行ったり、あるいは中学生が西鎌倉小で職場体験を行ったり、様々な場面で交流や連携の機会があるようです。

そうした取り組みの根底にあるのは、現在の中学校教育では、子どもの「学力」を、単なる知識力だけではなく、それらを生きていく中で活用する力もその一つと捉え、通常の教科書を使った授業以外に、様々な実体験の場を提供する総合学習にも力を入れていることです。中学校に入ると、ああなるほどな、と、その成果をきっと肌で感じられると思いますので、地域の皆さんもぜひ学校に足を運んでみてください。

 

第3回

日時:平成28年2月27日(土) 場所:西鎌倉小

話題:「様々な子どもたちの居場所を作る~「ここだね」の取り組み~

講師:深沢 直子(ここだね 代表

 お子さんが小1の頃から不登校となり、母親として葛藤し、悩みぬいてたどり着いた取り組みが、その子なりの居場所作りを行うことでした。カフェ、農業、環境教育活動、建築―、その活動を通じて出会った大人たちは、誰もが仕事が楽しそうで、そして子どもがそばにいることを快く受け入れてくれました。こうした取り組みを続けているうちに、この体験を自分の子だけに留めておくのはもったいない、もっと広く、楽しく生きる大人たちの存在を知ってほしいと思うようになり、その思いでコミュニティスクール「ここだね」を立ち上げました。現在「ここだね」に参加する子どもたちは十数名、不登校の子もいれば、学校に行く子もいます。学校の居場所の一つ、またそれ以外にも様々な居場所を作っていきたいと考えています。

 活動を続けてきた感じたことは、「本物の仕事」と接することによって、自分は何かを生み出せるんだ!と実感することができたことです。子どもたちは少なからず何かの役に立ちたいと思っていて、その実感は自分の存在意義を確認することができ、明日への希望を持つことができるのだと思います。また不登校の子はとかく劣等感を抱きがちですが、その子たちがつながることによって悩みや喜びを分かち合える仲間ができたことも大きな財産、と言います。

 課題は、現在一人で活動していること。ゆくゆくはいろいろな大人たち同士がつながって、チームを組んでいければ、とのこと。また不登校で悩む親御さんは世間的にも身内からも孤立してしまいがちなので、どうやったら本当に悩みと不安を抱えている方々にこの活動を伝えられるか、考えていきたいとのことです。

お話を聞いた参加者の皆さんからは、まず一人の母親として、ここまで活動を続けてこられた情熱にとても感動した!という声を数多く聞きました。そしてこのまちでも、同じように町内会館等を活用して、子どもたちの様々な居場所を提供できるようにしていきたい、という意見もありました。その担い手として、何かと面倒見のいい、また子どもたちも打ち解けやすい「おばさん」の力を活かしたらどうだろうか、という提案がありました。ある自治会では「おたがいさまの会」という仕組みがあって、お互いにできることを持ち寄ってまちづくりに活かしているようなのですが、同様の仕組みで、子ども好きな大人を集めて取り組めば、かなり現実味を帯びた話になりそうです。