ムツ兄の、てげてげ人生日記

シマッチュ(奄美人)のムツ兄が、奄美での「テゲテゲ」(気まま)な暮しを記します。

「泣いた赤鬼」

2010年08月01日 21時00分00秒 | Weblog
山の中に、一人の赤鬼が住んでいました。赤鬼は、人間たちとも仲良くしたいと考えて、自分の家の前に、「心のやさしい鬼のうちです。どなたでもおいでください。おいしいお菓子がございます。お茶も沸かしてございます。」
と書いた、立て札を立てました。

けれども、人間は疑って、誰一人遊びにきませんでした。赤鬼は悲しみ、信用してもらえないことをくやしがり、おしまいには腹を立てて、立て札を引き抜いてしまいました。そこへ、友達の青鬼が訪ねて来ました。青鬼は、わけを聞いて、赤鬼のために次のようなことを考えてやりました。

青鬼が人間の村へ出かけて大暴れをする。そこへ赤鬼が出てきて、青鬼をこらしめる。そうすれば、人間たちにも、赤鬼がやさしい鬼だということがわかるだろう、と言うのでした。しかし、それでは青鬼にすまない、としぶる赤鬼を、青鬼は、無理やり引っ張って、村へ出かけて行きました。

計画は成功して、村の人たちは、安心して赤鬼のところへ遊びにくるようになりました。毎日、毎日、村から山へ、三人、五人と連れ立って、出かけて来ました。こうして、赤鬼には人間の友達ができました。赤鬼は、とても喜びました。しかし、日がたつにつれて、気になってくることがありました。それは、あの日から訪ねて来なくなった、青鬼のことでした。

ある日、赤鬼は、青鬼の家を訪ねてみました。青鬼の家は、戸が、かたく、しまっていました。ふと、気がつくと、戸のわきには、貼り紙がしてありました。そして、それに、何か、字が書かれていました。

「赤鬼くん、人間たちと仲良くして、楽しく暮らしてください。もし、ぼくが、このまま君と付き合っていると、君も悪い鬼だと思われるかもしれません。それで、ぼくは、旅に出るけれども、いつまでも君を忘れません。さようなら、体を大事にしてください。どこまでも君の友達、青鬼。」

赤鬼は、だまって、それを読みました。二度も三度も読みました。戸に手をかけて顔を押し付け、しくしくと、なみだを流して泣きました。

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2 コメント

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1週間経ちましたが (平良 秀司朗)
2010-08-21 17:52:08
再会からあっちゆう間に1週間。
近年まれにみる感激の時間帯でした。
今日の興南高校優勝の方がちょっち上ですが・・。さて、明日は日曜日です思い切って教会へ行きませう。ひかる人もさそってどうでしょうか。
いつか、俺がいかに青鬼的な人間かを話しあいませう。お体ご自愛下さい。
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平良 秀司朗さんへ (ムツ兄)
2010-09-06 07:07:00
おはようございます。コメントありがとう。8月の再会は本当に感激のひと時でした。来年は奄美でとのことなので、ひかる人とも相談しています。興南高校、春夏連覇、すごいでしたね。なかなか教会へは足が向きませんが、旧暦のお盆を奄美ではやるのですが、送り盆の際、カトリック墓地でのミサには参加しましたよ。ま、長い目で見てやってください。自分のベースはカトリックですから。君が青鬼的な人間であることは承知していますので、ご安心あれ。
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