あんみつさん、10歳。
わがままボディの雌猫です。
餌の与えすぎということではなく、骨盤骨折のため、おなかが膨らんで見えるおかしな体型なのです。
子猫の頃、保護センターから譲り受けました。
後ろ脚が、ちょっとガニ股だなあ、と思ったけど、保護センターの方はそのことについて何も言わなかったので、そういう特徴の猫なんだろう、と思いました。
のちに、そのガニ股の原因がわかりました。
どうやら、車に轢かれたか何かで骨盤骨折していたらしいのです。
自然治癒して歩けるようになった?後に保護されたのでしょうか。
詳しいいきさつは不明です。
和菓子の、あんみつの箱に入れて保護センターに運ばれてきたため、あんみつと呼ばれていたそうで、譲ってもらった後も同じ名前で呼んでいます。
あんみつさん、2歳ごろまでは普通にうんちが出ていたんですが、あるとき、トイレに入って踏ん張るのに何も出ないことが何度か続き、次第に餌を食べなくなりました。
心配になり、動物病院へ連れて行って診てもらったところ、重度の便秘で巨大結腸症になっているとのこと。
レントゲン写真はこちらです。
白くもやっとして見えるのが溜まりに溜まって石のように固くなった便です。
レントゲン写真を見てびっくりしたのは、骨盤がぺちゃんこに潰れていることと、大腿骨にも複数骨折した治癒痕があったことです。
しかも、左右の足の付け根がずれている。
あんみつさんはジャンプが苦手です。
後ろ脚の骨がこんな状態では、他の猫のように軽やかに飛ぶことができないのは当然ですね。
当時、診てくれた獣医さんの話では、成長するにつれ体重が重くなって骨盤に負荷がかかり、ハの字に変形していって、直腸を圧迫するようになり、便が出にくくなったのではないか、とのことでした。
摘便か、開腹手術か、と問われ、なんとか摘便でやってほしいとお願いしました。
摘便するのも難儀です。
お尻から指を入れて便を掻き出すにしても、骨盤骨折で変形したあんみつさんのお尻の穴は、大人の人差し指がやっと入るくらいのサイズ。
それですら痛いらしく、あんみつさん、ぎゃー!と叫びます。
初の巨大結腸発覚、8年前の話ですが、当時、一週間入院して摘便処置してもらい、なんとか半分の便を取り出せました。
無理な摘便のせいか、退院したあんみつさんのお尻の毛はほぼ全部抜けて地肌が剥き出しの哀れな姿に。
費用は13万円ほどかかりました。その後の投薬(ラクツロース・シロップ)と通院でその年の医療費はトータル30万円かかりました。
2歳のうちからこんなに医療費がかかるのでは堪ったものではありません。
骨盤を切って広げる手術もある、と聞きましたが、術後歩けなくなったり人工肛門にしなければならなくなる可能性もある、と聞いてそれは無理だと思いました。
要は便秘しなければいいんです。
指の穴一本ぶんの狭い穴からでもちゃんと出てくるように、軟便を維持できるようコントロールすればいい。
まず、餌を変えました。
ロイヤルカナン猫用、消化器サポート 可用性繊維を獣医さんに勧められ、試したところ、効果があったので今でも給餌の80%に使用しています。残り20%はパウチのマグロなどを混ぜています。
ヒルズの同等商品も試しましたが、あんみつさんには合いませんでした。
(初めて試すときは、動物病院でサンプルをもらうなどして効果を見てからの方がいいと思います)
楽天市場、Amazon、ヤフーショッピングなどのネット通販を利用すると、動物病院のほぼ半額で買えますので、そちらで調達しています。毎日与える餌なので安く入手できないと大変ですし。
餌を変えた他にも、お腹のマッサージを日課にして、水を無理に飲ませたり、いろいろやっていますが、季節の変わり目、ちょうど冬の入りばなの今頃、毎年便秘しやすくなります。空気が乾燥して体の水分量が変わるせい?でしょうか(謎)
あんみつさんの摘便にかかる医療費は、巨大結腸症発覚以来、毎年10~15万円でした。
初めにお世話になった動物病院は、どちらかというと犬が得意な様子だったし、あんみつのお尻をハゲハゲにされたこともあって、2回目以降は、別の病院にお願いしました。
あちこち試してみる中で、動物病院の診療費がずいぶんバラバラなことを知りました。
特に、再診料の格差が凄いです。500円~2000円の幅でずいぶん差がありました。
ほとんどの病院は、患畜ごとに別料金がかかります。
私の場合は2匹飼っているので、連れて行くたび、初診料がそれぞれにかかるわけですが、中には、初めての時だけ初診料を課し、そのあとは別の猫を連れて行っても同じ飼い主ならば、すべて再診料にしてくれる病院もありました。複数飼育や保護猫活動をしている人にはとてもいい病院です。
他に、最新の医療機器を揃え、最先端の治療が行えるということが謳い文句の、立派な外観の動物病院にもいったことがありますが、初診料が3000円、再診料2000円で、獣医さん15名ほどいらっしゃるのですが皆、大卒ですぐ勤務しているような若い方ばかり。
連れて行って摘便処置をお願いしましたが、一日入院後「出せませんでした」と言われ、お金だけ取られたので、それ以来、そこには行っていません。
便秘対策を講じながらも、時々調子を崩すあんみつさんのために、動物病院をはしごし、探し求めて8年。
やっと解決策を与えてくれる病院に出会えました。
倉敷市のS動物病院です。
診察料は平均的ですが、獣医さんがベテランぞろいで経験豊富であり、あんみつさんのような症状にも適切に処置をしてくださいました。
そこで教えてもらったのが、お湯浣腸です。
40度くらいのぬるま湯をシリンジに入れて肛門から注入すると、排便が促されてスムーズに出てきます。
便秘気味になったら、出口付近で栓をしている硬い便をまず掻き出さねばなりません。指が入らないため、S動物病院の先生は鉗子を使って便を挟み、引っ張り出していました。処置の最中、あんみつさんの体を抑えながら、「その手があったか!」と衝撃を受けました。
S病院での処置は自宅でもできることばかりです。
一生付き合わなきゃならない便秘ですので、飼い主が処置するのがベストでしょう。
私がお湯浣腸に使っているのは50mlシリンジです。(アマゾンで購入)
一本当たり250円くらいの安価なもので、ノズル先端をライターであぶり、角を丸めて肛門を傷つけないように加工して使用しています。
使うとき、ノズルに少しワセリンを塗ります。
今年も10月に入って、あんみつさん、また便秘気味になりました。
お腹を触ると、直径3cmくらいの石のような便が肛門付近にありました。
出口の肛門は1.5cmくらいしかないので、放置すると絶対に出てきません。
うわっ、またか!と思いつつ、なんとかしてこの石便を出してやらないと後が大変です。
S病院の先生の処置を思い出し、アマゾンで鉗子を購入しました。
日本製のものは医療関係者にしか販売できないようになっているようです。
画像の鉗子は、香港の会社から空輸で届きました。
海外発送なら個人でも購入可能なのですね。
はさみ先端の長さがちょうどよく、ギザギザ加工でしっかり便を挟めそう。
鉗子があるといってもすぐに石便を出せたわけではありません。
ほぼ毎日トライして、取り出すまでに約一か月、かかりました。
ペットシーツの上に、あんみつさんを横向きに寝かせ、お湯浣腸をしてマッサージ。
便意が現れたら、肛門から鉗子を入れて手探りで便を挟む。
便意の無い時に鉗子を入れると痛がってギャーギャー叫ぶので使えません。
摘便がなかなかうまくいかず、石便の脇から泥状便がすり抜けて出てくるばかり。
そんな状態でも、一応排便できているので、あんみつさんの食欲は衰えず、元気を保っていたのは幸いでした。
浣腸後のマッサージで、直腸に溜まった便を直接圧迫して細かく砕いたり、押し出そうとしてみたりしているうちに、大きな塊がいくつか出て安堵したりもしました。
病院に連れて行ったってすることは同じです。
便秘の原因と対処法がわかっているのに、やたらと病院をあてにするのもどうかと思ったので、とにかくがんばりました。
そして10月末、ようやく例の石便を出すことに成功。
はあー、長かった。
余りのしんどさに脱力しましたが、毎日お尻をいじられる辛さに耐えたあんみつさん、偉い!
やっと解消できたので今度は便秘再発防止に努めねばなりません。
今回の便秘前まで、ドライフードをそのままお皿に盛り付けていましたが、今後は水で完全にふやかしてから与えることにしました。
ジャムなどの空き瓶にドライフードを半分ほど入れ、水で満たし、蓋をして冷蔵庫に入れると、一時間ほどで水分を含んだ、ふわふわフードになります。
これに、高齢猫用パウチのマグロペーストを少し混ぜて食味をアップ。
さらに、人間用ではありますが、便秘改善のため、コーラック、ファイバープラスを振りかけ、お湯を少し注いで与えています。
このファイバープラスがまた効果てきめんでした。
10歳のあんみつさんだけでなく、推定15歳の、ニャンさんも快便に!
コロコロ硬い便が2~3日おきに出ていたのに、ファイバープラスを加えてから、一日おきに正常な排便へと変わりました。
たぶん、有効成分の水酸化マグネシウムが効いているのだと思います。
ペット用の同等品が無いので、しばらくコーラックファイバープラスを続けて使ってみようと思います。
動物病院で処方されたラクツロースよりもいい感じです。
ラクツロースは、あんみつさんも、ニャンさんも、嫌がって飲ませるのが大変でした。一生懸命飲ませても結局、便秘になっていたし、ラクツロースの効果は個体差があるのかもしれません。
飼い猫の便秘で困っている方々、多いと思います。
私自身も、あんみつさんが便秘するたび、ネット検索で他の方のブログ記事を読み、参考にすることが多かったので、今回、あんみつさんのことをブログに書いてみました。
自宅での摘便処置で何かあった場合は、飼い主がすべて責任を負わねばなりませんから、その覚悟は必要です。
病気などによる便秘であれば、投薬治療で改善するかもしれませんけど、あんみつさんは、骨盤の変形により出口が狭いために便秘するので、飼い主が努力して出してやらねばなりません。
天寿を全うするまで、日々、努力あるのみです。
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人間用の浣腸液は、幼児用でも、グリセリンが含まれており、猫には危険なので絶対に使わないように、と、獣医さんに注意されたことがあります。
便汁だけ出て、固形物が出ない場合、慢性の巨大結腸症になってしまう恐れがありますので、早めに動物病院で診てもらうことをおすすめします。
通院費が大変であれば、正直にその旨を伝え、担当医に、自宅で便秘改善する方法を教えてもらってください。高齢猫さんの飼い主さんたちには、自宅で腹部マッサージや摘便している方が多いようです。自宅療法を教えるのを渋るようであれば、他の動物病院に変えてみるのも手ですよ。
猫さんにとって少しでも楽に、長生きできますように、大変だとは思いますが、頑張って下さい!
コーラックファイバープラスは、説明書き通りに水で溶かし、シリンジで強制的に10ミリ位ずつ飲ませていました。
カリカリ餌を水でふやかして、スプーンで練り、ファイバープラスを混ぜて与えたこともありましたが、効果は限定的でした。
やはり、病院で処方される「モニラック」という、透明な水飴状の便秘薬のほうが効果ありました。
ご参考までに。