さいとうゆたか法律事務所 解雇ブログ

さいとうゆたか法律事務所(新潟市中央区東中通1番町86-51東中通ビル5階、電話025-211-4854)のブログです。

国立大学の任期付き職員の雇い止めの有効性

2015-04-08 12:47:37 | 非正規雇用と解雇
 東京地裁は、東京医科歯科大学の助教が雇い止めされた件について、雇い止めの効力を否定しています(平成26年7月29日判決)。

 まず、判決は、助教にも定年の定めのある職員就業規則が適用されていたこと、採用の日から35年以内の期間支給される初任給調整手当の定めのある職員給与規則が適用されていたこと、大部分の助教が再任されたこと、当該助教も過去2回再任をされていることから、任期付きの助教についても契約更新について合理的期待をいだくものとしました。

 その上で、更新の適否は大学の裁量的判断に任せざるを得ない、しかし分野長が当該助教について一旦再任に適するとしながらその後再任不適としている等に事情から雇い止めには合理的理由がなかったとし、雇い止めの効力を否定しました。

 就業規則の適用関係から契約更新の期待を導いたところは穏当でしょうが、更新の適否について大学の裁量的判断に任せてしまったところについては議論がありうるところでしょう。


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弁護士 齋  藤  裕(新潟県弁護士会所属)

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大学で担当科目がなくなった教員の解雇

2015-04-06 17:52:39 | 整理解雇
 大阪高裁平成26年10月7日判決(学校法人金蘭会学園事件)は、大学で担当科目がなくなった教員の解雇について、整理解雇法理による判断を行い、解雇無効としました。

 1審は、当該教員において、様々な授業科目を担当してきた実績があることから、特定の担当科目がなくなったからといってただちに解雇が有効であることにはならず、整理解雇法理による判断がなされるべきだとしました。その上で、整理解雇法理に照らし、解雇を無効としました。

 判決は、1審の判断を是認しつつ、経営改善計画について着実に成果をあげつつあったことなどを踏まえ、やはり整理解雇法理に照らして解雇を無効としたのです。

 少子化により大学のリストラ等が行われることが想定されます。そのような場合でも、担当科目を廃止するというだけの理由で解雇をすることは許されないことが示されたということであり、意義ある判決だと思います 

 
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