上司の命令に従わないことは有効な解雇理由となりえます。しかし、解雇が無効とされるケースも多くあります。
この点、東京高裁平成30年1月25日判決は、上司の指示命令に従わない従業員に対する解雇を無効としました。
原審判決は解雇を有効としており、地裁と高裁で結論が割れました。
この従業員は介護職として勤務していましたが、平成25年に部署異動後、上司の指示に従わない、気に入らないことがあると大声を出し机を叩く、そのような言動があったため同僚も上司の指示に従わなくなるという状況がありました。使用者は改善を求めましたが、改善もなく、解雇にいたりました。
裁判所は、この従業員が部署異動前には格別の問題行動がなかったこと、異動後の新しい上司が年下の女性であることに反発したこと、配置転換により状況を改善することが可能であったことなどを理由に解雇を無効としました。
裁判例上、業務上の問題行動がある職員についても改善可能性がある場合には解雇は無効との判断が多くなされています。東京高裁判決はそれに沿ったものと言えそうですが、地裁との判断が分かれたところからも明らかなとおり、かなり限界事例と言ってよいと思います。
解雇、その他の労働問題でお悩みの方は当さいとうゆたか法律事務所の弁護士(新潟県弁護士会所属)にご相談下さい。まずはお電話(025-211-4854)かメールなさってください。 弁護士が解雇について解説するさいとうゆたか法律事務所 解雇ブログのトップに行くにはこちらをクリックしてください。