トキコ その３

前回のゲロ事件があってからトキコに対して不信感を抱く、
こいつは誰のゲロでも喰う女なのか！？と。
でも不健康な人の胃の奥から出て来たものではなく、
健康体の俺のだから食べたのかも知れない。
食べてすぐ出したものだと味も変わらない訳で。
いわゆる牛で言うとこの反芻という行為を俺は出来る。
俺と同じように人間でこの技が出来るのは
俺の知っている限りだと２番目の兄貴とshimoyaman位のもんだ。

要するにこいつは誰のゲロでも食う訳ではない。
仲良くなった俺。しかも新鮮なゲロだから食ったのだ。
（新鮮なゲロってなんだそれ！？）


○行動１２日目

正確に言うと行動していない訳だが…
ベンチに座っているとトキコはやってくる。
俺は餌を持っていない。
いつものようにニャーと鳴き続ける。

『ごめんなぁ、今日は餌ねぇんだよ…』

と、本当はあげる気も無いくせに
心とは裏腹の言葉を発する。

５分ほど俺から５ｍ位の距離で鳴いているが、
餌が無いと分かったのか
自然とトキコは俺から離れていく。
そして公園の隅でいじけたように
チョコンと座ってこっちを見つめている。


○行動１３日目


あの先日の一件があってから、
俺は少しトキコに対して冷たくしてしまって居たのかもしれない。
意識的なのか無意識なのかは定かではないが、
自分の中にどこか罪悪案があった事は否めない。
少し気持ちを入れ替えて行動してみようと思った。

ここ数日、俺が公園に行くとかなりの確率でトキコにあう。
多分、偶然を装って俺にあいに来てるんじゃ…
と、前向きに考える。

昔好きな女の子が出来ると、その子の顔が見たくて、
行動パターンを読み、先回りしたあの行動。

それと同じようにいま、
トキコは俺に会いに公園に来ているんじゃねぇのか！？
もしかしたら他の猫達と遊んでいる時に
あっ、そろそろ彼が来るからあたしちょっと行ってくるね！
とか、言いのこしてわざわざ来てるのかもしれねぇ。

だったら、せっかくの好意を無駄にする訳にはいかねぇ。
俺がトキコの期待に応えないで誰が応えてやるんだ。
また使命感に似た感情が湧きあがってくる。



って事で一部作戦を変更。


トキコを激しく抱く作戦　⇒　トキコを抱きかかえて写メ撮る作戦

①餌を投げる⇒トキコ食べる⇒◎クリア◎
②餌を手渡しする⇒トキコ食べる
③俺を餌をくれるお兄さんと思わせる⇒◎恐らくクリア◎
④俺を見ると近づいてくる⇒△３ｍ位まで来るようになったがまだ△
⑤餌を食べさせながら頭をなでる
⑥激しく抱く　⇒　抱っこして近所のばあさんに写真を取ってもらう。


いや、近所のばあさんがうまくシャッターを切れるとは思えないから、
他の誰かに撮影してもらおう…。



○行動１４日目

この日は張り切ってトキコの餌を買いにコンビニへ。
母さんとshuheiから猫にスルメはNGです。
と、忠告を受けたためコストパフォーマンスの高かったスルメを辞め
トキコがスルメよりもうまそうに食ってたカルパスに変更。


コンビニに入ると片手でわっしゃぁ～っと
１個１０円のカルパスを握れるだけ握り、
レジに持っていき手を離す。
俺は片手でこれだけのカルパスを握れるんだぜ！
そう、店員にアピールしながら、１００円を払う。


たった１０個かーーーい。

しかも１０個って事は…と、
先に１０５円用意してお金入れるとこに置いておいたのに、
きっかし１００円だったもんだから恥ずかしそうに５円しまったよ。
そっか、いま消費税込みかっ^^;


公園に行くとトキコが居た。
まずはここ２，３日冷たくしてごめんな。
そう言って一個トキコの方へ投げてやる。
トキコは嬉しそうにカルパスにむさぼりつく。

すると、もっと無いのか？
と、言わんばかりに俺に近づいてくる。
カルパスを見せるとさらに近づいて来て、
俺の手からカルパスを取り、食べる。

試しに前に食わなかった作戦。
手に餌をのっけてそれを食べさせる。
これもやってみた。

じわじわ近付いて来て、普通に食べたよ！！
やっぱり猫も慣れるもんなんだな。
なんだか嬉しかった。



続く