今後、ここでは地球温暖化問題の最新情報を
逐次、ご紹介していこうと思います。
その為に、まずは、あれこれ書こうと思ったんですが・・・
僕が知ったかぶりして、入れ知恵をグダグダ書くよりは、
現状を一番分り易くまとめて
やさしい言葉で書いてあったレポを、今日見つけたので、
是非、目を通してみて下さい。
・・・ちょっと長いですが。
【温暖化は人為的原因、日本人は煮炊きもダメ!~PJより】
■米国海洋大気庁(NOAA)のマウナロア観測所は、ハワイ島のマウナロア山(標高4169m)の北側山腹(同3400m)の高所にある。マウナロア山は海洋底からは1万7000mもの高さを誇る世界最大の火山としても有名である。その山腹にある観測所ではわれわれ人類をふくめ地球上の生物にとってきわめて重要な測候が続けられている。1957年から半世紀にわたり大気中に存在する二酸化炭素いわゆる炭酸ガスの濃度を計測し続けているのである。
炭酸ガスはメタンや亜酸化窒素、フロンガスとともに温室効果ガスと呼ばれ、いまや世界的問題である地球温暖化の元凶となっている気体のことである。最新数値となる2002年のOECD加盟国の炭酸ガス換算の温室効果ガスの排出総量は152億2400万t(環境省「環境統計集」。以下断りないものは同様)であるが、そのうち8割を占めるのが炭酸ガスである。温暖化問題といえば炭酸ガス規制と叫ばれる所以である。
一方で周知のことだが、地球をおおう大気の主成分は窒素(78%)と酸素(21%)である。残りあと1%のなかに炭酸ガスなどの温室効果ガスが含まれている。その微量とも言える気体の存在が、実は地球上の生命を守っていることも事実である。もし大気中に温室効果ガスがなければ、地表温度は零下18度にまで下がり地球上に生物は生き続けることはできないと言われている。いわば地球上の生物は温室効果ガスのお陰で、生き続けることを許されてきたのである。
それではなぜ、いま世界中で温室効果ガスが目の敵にされ、その削減が大声で叫ばれているのだろうか。それは美しい地球を守っていた自然の摂理である1%の微量気体の微妙なバランスが崩れ始めたからである。産業革命以降に徐々に上昇をはじめた温室効果ガスの大気中濃度がここにきて急速な上昇を示し、地球の種の保存に適度であった地表温度15度が上昇し始め、地球環境に重大な影響を及ぼし始めたからである。
337ppmとは1960年のマウナロア山の大気中の炭酸ガスの年平均濃度である。そして2004年の数値は377ppmである。この44年間で19.1%もの増加を示している。アークライトの水力紡織機の発明(1769年)に始まる産業革命以前の18世紀の中頃までは、南極の氷床コアの分析等から炭酸ガス濃度は280ppmだったと推測されている。
そのときから1960年までの約200年間で炭酸ガスの濃度は20%の上昇を示す計算となる。しかし、その後の40年余でほぼ同じ19%の上昇をした。明らかに炭酸ガス年平均濃度の上昇速度は加速化している。
地球の生命を守るはずの温室効果ガスの濃度が上昇することは、温室効果が高まり、地表温度が上がり温暖化が進むことになる。温暖化の影響がすでにわれわれの周りで顕著となってきている。熱波など異常高温、大寒波など異常低温、異常多雨や異常少雨、森林火災や旱魃、大規模なハリケーン・台風やサイクロンの発生、ヒートアイランド現象、オゾン層の破壊、エルニーニョ現象、海水面の上昇、表層海洋面の温度上昇、海流パターンの変化等々列挙するのに困るほどに、地球環境はこれまでにない大きな変動を見せている。誰しもが何か地球環境に不気味な変化が起こっていると感じざるを得ないほどに異常気象のニュースが最近は毎年、いや毎日のように世界中から送られてくる。そして不順な気候の結果、農産物や水産物の収穫量にも多大な被害が出ている。
■1988年、世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)はIPCC(気候変動に関する政府間パネル)という組織を作り、地球気候の変化の科学的調査を開始した。その第4次報告書がこの1月29日から2月1日に開催されたIPCC第1作業部会で6年ぶりにまとまった。
その結論は「気候システムに温暖化が起こっていると断定するとともに、人為起源の温室効果ガスの増加が温暖化の原因であるとほぼ断定」した。2001年の第3次報告書では「可能性が高い」と含みを持たせた結論であったが、今回は温暖化を科学的に裏づけ、「温室効果ガスの増加の原因が人間活動によるものであることをほぼ断定」した画期的なものとなったのである。
報告書の具体的な結論の要約は以下の通りである。(文科省等報道発表資料「IPCC第4次評価報告書」)
1. 20世紀後半の北半球の平均気温は過去1300年間の内でもっとも高温で、最近12年(95年~2006年)のうち、1996年を除く11年の世界の地上気温は1850年以降でもっとも温暖な12年のなかに入る
2. 過去100年に、世界平均気温が長期的に0.74度(1906~2005年)上昇。最近50年間の長期傾向は、過去100年のほぼ2倍。
3. 1980年から1999年までに比べ、21世紀末(2090年から2099年)の平均気温上昇は、環境の保全と経済の発展が地球規模で両立する社会においては、約1.8度(1.1度~2.9度)である一方、化石エネルギー源を重視しつつ高い経済成長を実現する社会では約4.0度(2.4度~6.4度)と予測(第3次評価報告書ではシナリオを区別せず1.4~5.8度)
4. 1980年から1999年までに比べ、21世紀末(2090年から2099年)の平均海面水位上昇は、環境の保全と経済の発展が地球規模で両立する社会においては、18センチメートル~38センチメートル)である一方、化石エネルギー源を重視しつつ高い経済成長を実現する社会では26センチメートル~59センチメートル)と予測(第3次評価報告書(9~88センチメートル)より不確実性減少)
5. 2030年までは、社会シナリオによらず10年当たり0.2度の昇温を予測(新見解)
6. 熱帯低気圧の強度は強まると予測
7. 積雪面積や極域の海氷は縮小。北極海の晩夏における海氷が、21世紀後半までにほぼ完全に消滅するとの予測もある。(新見解)
8. 大気中の二酸化炭素濃度上昇により、海洋の酸性化が進むと予測(新見解)
9. 温暖化により、大気中の二酸化炭素の陸地と海洋への取り込みが減少するため、人為起源排出の大気中への残留分が増加する傾向がある。(新見解)
結論に簡単に目を通すだけで、ぞっとするような内容がいくつも並んでいる。温暖化の結果生じたこと、これから予測されることいずれもが、われわれ人類が産業革命以降、国策として進めてきた近代化、産業化の中で化石燃料を野放図に使用し、熱帯雨林を中心に森林を伐採し続けてきた咎(とが)である。
そうしたなかで未曾有のハリケーン・カトリーナを1昨年経験した米国のブッシュ大統領は1月23日の一般教書演説においてガソリン消費を10年以内に20%削減させる数値目標を掲げ、エタノールなど再生可能燃料の利用促進と乗用車と小型トラックの燃費基準の強化を訴えるなどこの目標を達成することが「地球の気候変動という深刻な課題に立ち向かう助けとなる」と、気候変動と正面から対決する強い姿勢を見せつけた。
さらにIPCCとほぼ同時期に開催された世界中の政財界のリーダーたちが集うダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)においても、温暖化をテーマにした17もの分科会が設けられ、いずれも満員の盛況であったという。世界のリーダーたちが一堂に会する場で地球温暖化についてこれまで以上の強い関心を示したことは一歩前進ではあるが、それほどに温暖化の危機が身に迫っていることの証しでもあり、その評価は複雑である。
■10年前の1997年12月、わが国は議長国として「温暖化防止京都会議」いわゆる「COP3」を開催し、難産の末、温暖化防止の歴史のうえで特筆すべき「京都議定書」を採択した。議定書では南北問題など各国事情のあるなかで、なんとか法的拘束力のある温室効果ガスの各国別の削減目標値を定めたのである。その数値目標は2008年から2012年までの平均で達成することとなっている。まさに来年からの5年以内に目標値を達成する必要があるのである。この京都議定書はわずか2年前の2005年2月16日にロシア連邦の批准をもって発効した。
2002年の世界の炭酸ガスの排出総量は237億1000万tである。国別に内訳を見ると、米国が57億500万tで最大の排出国である。次に中国が34億7100万t、旧ソ連が22億8300万t、それに次いで日本が11億7800万tと、この4カ国で世界の炭酸ガス排出量の53%を占めている。ところが最大排出国の米国は2001年に「温暖化の原因が人為的か自然現象か科学的根拠がはっきりせず議論がある」として京都議定書の枠組みから離脱した。また中国も発展途上国との理由で削減対象国から除外されている。京都議定書でしばられる目標削減国に世界の炭酸ガス排出量の4割を占める米中二カ国が入っていないことの影響は、あまりにも大きい。
京都議定書では1990年の排出量実績から7%の削減(温室効果ガス)をするとした米国は、2002年の実績で見ると90年比で逆に17.6%(炭酸ガス)もの大幅な増加を見せている。一方、中国も90年比40.9%(同)増と傍若無人振りを見せている。この議定書の枠外の二国で目標基準年である1990年から2002年までに世界で増加した炭酸ガス排出量の実に61%もの量を占めているのである。この両国が温暖化防止のために温室効果ガスの排出量削減にしっかりとコミットしない限り、地球環境の破壊を止めることは不可能と言っても過言ではない。温暖化の原因が人為的活動にあると科学的根拠で示された今日、温暖化防止にこの両大国が本気で取り組まねばならぬことは、全人類いや地球上の生物に対する重大な責務であると言ってよい。
そして歴史的な京都議定書をまとめ上げたわが国であるが、定められたのは1990年実績比6%の削減目標である。それに対し実際は1990年の炭酸ガス排出量10億7500万tから逆に2002年は11億7800万tと9.6%の増加となっている。米中両国を非難などとてもできぬ体たらくである。しかも日本は議長国として各国を説得した立場にある。その国が結局、無理でした、6%の減少どころか10%も増えてしまいましたでは、お話にもならぬ。国際社会におけるリーダーとしての見識と実行力を疑われても仕方のない仕儀である。
目標達成のためには、02年実績より排出量は1億6800万t、比率は14.2%もの削減を、しかも今後5年間の平均値として削減しなければならぬ。この数値がどれほどのものかと言うと、わが国の家庭部門、つまりわれわれが日常生活を送るため使用するガス・電力等から発生する炭酸ガスの量がまさに1億6600万トン(2002年実績)である。極論すればわれわれが煮炊きもせずに死することでしか解決策はないとも言える。でなければ産業部門(4億6700万t)の36%もの経済活動をストップさせることでもある。
政府はつい2年前の平成17年4月に時の小泉総理を本部長とする「チーム・マイナス6%」と銘打った地球温暖化防止「国民運動」の推進キャンペーンのキックオフを行った。その対応の遅さとクール・ビズやウォーム・ビズといってはしゃぐ様は滑稽ですらあった。そして閣僚のクール・ビズのファッションはどうかなどと大手メディアも騒ぎ回っていたが、事柄の本質をあまりにも理解せぬ国やメディアの危機意識の欠如に、もはやわたしは腹立たしさを超えて自嘲するしかない。国民に温暖化効果ガスの現状排出量すら周知徹底させず、着衣の工夫程度で事済むと誤解させる、その意識こそが政府や大手メディアが温暖化の本当の恐さに鈍感、いや無知であることの証左であるとしか思えぬ。
そしてそれを自分自身に納得させねばならぬことは、国民としていや地球上で命を紡ぐ生物としてあまりにも悲しく、むなしいことである。
逐次、ご紹介していこうと思います。
その為に、まずは、あれこれ書こうと思ったんですが・・・
僕が知ったかぶりして、入れ知恵をグダグダ書くよりは、
現状を一番分り易くまとめて
やさしい言葉で書いてあったレポを、今日見つけたので、
是非、目を通してみて下さい。
・・・ちょっと長いですが。
【温暖化は人為的原因、日本人は煮炊きもダメ!~PJより】
■米国海洋大気庁(NOAA)のマウナロア観測所は、ハワイ島のマウナロア山(標高4169m)の北側山腹(同3400m)の高所にある。マウナロア山は海洋底からは1万7000mもの高さを誇る世界最大の火山としても有名である。その山腹にある観測所ではわれわれ人類をふくめ地球上の生物にとってきわめて重要な測候が続けられている。1957年から半世紀にわたり大気中に存在する二酸化炭素いわゆる炭酸ガスの濃度を計測し続けているのである。
炭酸ガスはメタンや亜酸化窒素、フロンガスとともに温室効果ガスと呼ばれ、いまや世界的問題である地球温暖化の元凶となっている気体のことである。最新数値となる2002年のOECD加盟国の炭酸ガス換算の温室効果ガスの排出総量は152億2400万t(環境省「環境統計集」。以下断りないものは同様)であるが、そのうち8割を占めるのが炭酸ガスである。温暖化問題といえば炭酸ガス規制と叫ばれる所以である。
一方で周知のことだが、地球をおおう大気の主成分は窒素(78%)と酸素(21%)である。残りあと1%のなかに炭酸ガスなどの温室効果ガスが含まれている。その微量とも言える気体の存在が、実は地球上の生命を守っていることも事実である。もし大気中に温室効果ガスがなければ、地表温度は零下18度にまで下がり地球上に生物は生き続けることはできないと言われている。いわば地球上の生物は温室効果ガスのお陰で、生き続けることを許されてきたのである。
それではなぜ、いま世界中で温室効果ガスが目の敵にされ、その削減が大声で叫ばれているのだろうか。それは美しい地球を守っていた自然の摂理である1%の微量気体の微妙なバランスが崩れ始めたからである。産業革命以降に徐々に上昇をはじめた温室効果ガスの大気中濃度がここにきて急速な上昇を示し、地球の種の保存に適度であった地表温度15度が上昇し始め、地球環境に重大な影響を及ぼし始めたからである。
337ppmとは1960年のマウナロア山の大気中の炭酸ガスの年平均濃度である。そして2004年の数値は377ppmである。この44年間で19.1%もの増加を示している。アークライトの水力紡織機の発明(1769年)に始まる産業革命以前の18世紀の中頃までは、南極の氷床コアの分析等から炭酸ガス濃度は280ppmだったと推測されている。
そのときから1960年までの約200年間で炭酸ガスの濃度は20%の上昇を示す計算となる。しかし、その後の40年余でほぼ同じ19%の上昇をした。明らかに炭酸ガス年平均濃度の上昇速度は加速化している。
地球の生命を守るはずの温室効果ガスの濃度が上昇することは、温室効果が高まり、地表温度が上がり温暖化が進むことになる。温暖化の影響がすでにわれわれの周りで顕著となってきている。熱波など異常高温、大寒波など異常低温、異常多雨や異常少雨、森林火災や旱魃、大規模なハリケーン・台風やサイクロンの発生、ヒートアイランド現象、オゾン層の破壊、エルニーニョ現象、海水面の上昇、表層海洋面の温度上昇、海流パターンの変化等々列挙するのに困るほどに、地球環境はこれまでにない大きな変動を見せている。誰しもが何か地球環境に不気味な変化が起こっていると感じざるを得ないほどに異常気象のニュースが最近は毎年、いや毎日のように世界中から送られてくる。そして不順な気候の結果、農産物や水産物の収穫量にも多大な被害が出ている。
■1988年、世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)はIPCC(気候変動に関する政府間パネル)という組織を作り、地球気候の変化の科学的調査を開始した。その第4次報告書がこの1月29日から2月1日に開催されたIPCC第1作業部会で6年ぶりにまとまった。
その結論は「気候システムに温暖化が起こっていると断定するとともに、人為起源の温室効果ガスの増加が温暖化の原因であるとほぼ断定」した。2001年の第3次報告書では「可能性が高い」と含みを持たせた結論であったが、今回は温暖化を科学的に裏づけ、「温室効果ガスの増加の原因が人間活動によるものであることをほぼ断定」した画期的なものとなったのである。
報告書の具体的な結論の要約は以下の通りである。(文科省等報道発表資料「IPCC第4次評価報告書」)
1. 20世紀後半の北半球の平均気温は過去1300年間の内でもっとも高温で、最近12年(95年~2006年)のうち、1996年を除く11年の世界の地上気温は1850年以降でもっとも温暖な12年のなかに入る
2. 過去100年に、世界平均気温が長期的に0.74度(1906~2005年)上昇。最近50年間の長期傾向は、過去100年のほぼ2倍。
3. 1980年から1999年までに比べ、21世紀末(2090年から2099年)の平均気温上昇は、環境の保全と経済の発展が地球規模で両立する社会においては、約1.8度(1.1度~2.9度)である一方、化石エネルギー源を重視しつつ高い経済成長を実現する社会では約4.0度(2.4度~6.4度)と予測(第3次評価報告書ではシナリオを区別せず1.4~5.8度)
4. 1980年から1999年までに比べ、21世紀末(2090年から2099年)の平均海面水位上昇は、環境の保全と経済の発展が地球規模で両立する社会においては、18センチメートル~38センチメートル)である一方、化石エネルギー源を重視しつつ高い経済成長を実現する社会では26センチメートル~59センチメートル)と予測(第3次評価報告書(9~88センチメートル)より不確実性減少)
5. 2030年までは、社会シナリオによらず10年当たり0.2度の昇温を予測(新見解)
6. 熱帯低気圧の強度は強まると予測
7. 積雪面積や極域の海氷は縮小。北極海の晩夏における海氷が、21世紀後半までにほぼ完全に消滅するとの予測もある。(新見解)
8. 大気中の二酸化炭素濃度上昇により、海洋の酸性化が進むと予測(新見解)
9. 温暖化により、大気中の二酸化炭素の陸地と海洋への取り込みが減少するため、人為起源排出の大気中への残留分が増加する傾向がある。(新見解)
結論に簡単に目を通すだけで、ぞっとするような内容がいくつも並んでいる。温暖化の結果生じたこと、これから予測されることいずれもが、われわれ人類が産業革命以降、国策として進めてきた近代化、産業化の中で化石燃料を野放図に使用し、熱帯雨林を中心に森林を伐採し続けてきた咎(とが)である。
そうしたなかで未曾有のハリケーン・カトリーナを1昨年経験した米国のブッシュ大統領は1月23日の一般教書演説においてガソリン消費を10年以内に20%削減させる数値目標を掲げ、エタノールなど再生可能燃料の利用促進と乗用車と小型トラックの燃費基準の強化を訴えるなどこの目標を達成することが「地球の気候変動という深刻な課題に立ち向かう助けとなる」と、気候変動と正面から対決する強い姿勢を見せつけた。
さらにIPCCとほぼ同時期に開催された世界中の政財界のリーダーたちが集うダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)においても、温暖化をテーマにした17もの分科会が設けられ、いずれも満員の盛況であったという。世界のリーダーたちが一堂に会する場で地球温暖化についてこれまで以上の強い関心を示したことは一歩前進ではあるが、それほどに温暖化の危機が身に迫っていることの証しでもあり、その評価は複雑である。
■10年前の1997年12月、わが国は議長国として「温暖化防止京都会議」いわゆる「COP3」を開催し、難産の末、温暖化防止の歴史のうえで特筆すべき「京都議定書」を採択した。議定書では南北問題など各国事情のあるなかで、なんとか法的拘束力のある温室効果ガスの各国別の削減目標値を定めたのである。その数値目標は2008年から2012年までの平均で達成することとなっている。まさに来年からの5年以内に目標値を達成する必要があるのである。この京都議定書はわずか2年前の2005年2月16日にロシア連邦の批准をもって発効した。
2002年の世界の炭酸ガスの排出総量は237億1000万tである。国別に内訳を見ると、米国が57億500万tで最大の排出国である。次に中国が34億7100万t、旧ソ連が22億8300万t、それに次いで日本が11億7800万tと、この4カ国で世界の炭酸ガス排出量の53%を占めている。ところが最大排出国の米国は2001年に「温暖化の原因が人為的か自然現象か科学的根拠がはっきりせず議論がある」として京都議定書の枠組みから離脱した。また中国も発展途上国との理由で削減対象国から除外されている。京都議定書でしばられる目標削減国に世界の炭酸ガス排出量の4割を占める米中二カ国が入っていないことの影響は、あまりにも大きい。
京都議定書では1990年の排出量実績から7%の削減(温室効果ガス)をするとした米国は、2002年の実績で見ると90年比で逆に17.6%(炭酸ガス)もの大幅な増加を見せている。一方、中国も90年比40.9%(同)増と傍若無人振りを見せている。この議定書の枠外の二国で目標基準年である1990年から2002年までに世界で増加した炭酸ガス排出量の実に61%もの量を占めているのである。この両国が温暖化防止のために温室効果ガスの排出量削減にしっかりとコミットしない限り、地球環境の破壊を止めることは不可能と言っても過言ではない。温暖化の原因が人為的活動にあると科学的根拠で示された今日、温暖化防止にこの両大国が本気で取り組まねばならぬことは、全人類いや地球上の生物に対する重大な責務であると言ってよい。
そして歴史的な京都議定書をまとめ上げたわが国であるが、定められたのは1990年実績比6%の削減目標である。それに対し実際は1990年の炭酸ガス排出量10億7500万tから逆に2002年は11億7800万tと9.6%の増加となっている。米中両国を非難などとてもできぬ体たらくである。しかも日本は議長国として各国を説得した立場にある。その国が結局、無理でした、6%の減少どころか10%も増えてしまいましたでは、お話にもならぬ。国際社会におけるリーダーとしての見識と実行力を疑われても仕方のない仕儀である。
目標達成のためには、02年実績より排出量は1億6800万t、比率は14.2%もの削減を、しかも今後5年間の平均値として削減しなければならぬ。この数値がどれほどのものかと言うと、わが国の家庭部門、つまりわれわれが日常生活を送るため使用するガス・電力等から発生する炭酸ガスの量がまさに1億6600万トン(2002年実績)である。極論すればわれわれが煮炊きもせずに死することでしか解決策はないとも言える。でなければ産業部門(4億6700万t)の36%もの経済活動をストップさせることでもある。
政府はつい2年前の平成17年4月に時の小泉総理を本部長とする「チーム・マイナス6%」と銘打った地球温暖化防止「国民運動」の推進キャンペーンのキックオフを行った。その対応の遅さとクール・ビズやウォーム・ビズといってはしゃぐ様は滑稽ですらあった。そして閣僚のクール・ビズのファッションはどうかなどと大手メディアも騒ぎ回っていたが、事柄の本質をあまりにも理解せぬ国やメディアの危機意識の欠如に、もはやわたしは腹立たしさを超えて自嘲するしかない。国民に温暖化効果ガスの現状排出量すら周知徹底させず、着衣の工夫程度で事済むと誤解させる、その意識こそが政府や大手メディアが温暖化の本当の恐さに鈍感、いや無知であることの証左であるとしか思えぬ。
そしてそれを自分自身に納得させねばならぬことは、国民としていや地球上で命を紡ぐ生物としてあまりにも悲しく、むなしいことである。
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