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白鵬まずは破顔一勝“双葉山超え”あと7、栃ノ心を血祭り

2010-11-15 22:05:33 | 日記
 “双葉山超え”の手応えは十分-。注目の白鵬の闘いが始まった。「気持ちはジリジリと高まって来ているけど、あれこれ考えずにいく」と前日まで余裕を見せていたが、この日はさすがに朝からピリピリムード。稽古場も関係者以外は近寄れないよう周りを囲い、報道陣をシャットアウトした。

 「土俵に集中したいと本人が言っているものだから。あれで負けたとあとで言われたら、イヤ。ここまできたら本人が好きなようにやらそうと思っている」と育ての親の熊ケ谷親方(元幕内竹葉山)は申し訳なさそうに話した。負け知らずの白鵬も、やはり平常心ではなかったのだ。

 相手の栃ノ心は、ある意味で因縁の相手と言えた。場所前、白鵬サイドからわざわざ電話して「栃煌山と一緒に出稽古に来てくれ」と誘ったにもかかわらず、首を横に振られているからだ。

 「横綱の誘いは断れない、というのがこの世界の常識です。まして白鵬はこれまで春日野部屋に何度も出稽古して恩を売っていますからね。ところが、栃ノ心らはこれを無視して、打倒白鵬に燃える佐渡ケ嶽部屋に出向いた。もちろん、師匠の強い意向もあってのことですけど。これを伝え聞いた白鵬は、いいことじゃないですかと笑っていたけど、腹の中は面白くなかったに違いありませんよ」と宮城野部屋の関係者はもらしている。

 結局、あちこちに出したこの白鵬の稽古場招待状に応じた力士は1人もいなかった。まわりの力士たちが白鵬攻略、連勝ストップに目の色を変えてきた証拠でもある。この白鵬包囲網を打ち破るためにも、誘いを断った栃ノ心を血祭りにあげて、「横綱は4場所連続全勝優勝した先場所までと少しも変わらない」ということをみせつけなければいけない。

 そういう意味でも重大な一番だったが、結果はあっけなかった。得意の右四つ。上手が引けない場面もあったが、あっという間に形勢逆転し、とどめは上手投げ。この快勝に安心したのか、いつもより長風呂を楽しんだ白鵬は「豪快に決まりましたね。もともとこの位置は緊張感のある位置ですから。いい緊張感で取れました。気持ちは前向きになっている。迷いはありません」と笑みを浮かべた。

 これで江戸時代の伝説の大横綱、谷風に肩を並べる63連勝。あと「7」と迫った“双葉山超え”は完全に視界に入っている。(大見信昭)

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