新聞記者の雑記帳
新聞記者嵐山太郎がお贈りするプログです。社会、政治からマスコミまで取り上げます。
 



24日付の朝日新聞に気になるニュースが載っていました。経済産業省の大臣官房企画室が、外郭団体の研究委託費を流用して裏金をつくり、銀行口座にプールしていたという記事です。裏金作りは1988年度から1993年度まで続き、総額で数千万円にのぼり、官房の接待費などに充てられていたといいます。
特に口座の管理役だった前室長(48)は、流用した裏金のうち2400万円を自らの株取引に使っていました。ところが、経済産業省はこの前室長を懲戒免職ではなく、6月6日付で諭旨免職にしたにすぎません。
懲戒免職は国家公務員法や地方公務員法に基づく処分で、退職金が支給されません。一方、諭旨免職は、実質的な強制措置ではありますが、自己都合退職、つまり依願退職の一種でちゃんと退職金も支払われます。どうしてこうも大甘処分なんでしょうか。この前室長のやったことは、まぎれもない犯罪行為です。国民から集めた血税から、退職金を支払うどんな理由があるんでしょうか。
国家公務員だろうと地方公務員だろうと、公務員は国民の税金から給料をもらっています。だからこそ、一般の国民よりも高い倫理観が求められます。ところが、実際には大甘処分ばかりです。

過去の記事からピックアップしてみました(年月は記事掲載年月)
◆2004年12月 外務省は現職大使が在ウィーン国際機関日本政府代表部公使さった1997年から2年間、国から支給される在宅手当の一部を不正に受け取っていたとして、この大使に25日付で帰国命令を出し、帰国後、速やかに諭旨免職処分にすると発表した。
◆2005年2月 東京都内を走る電車内で、女児のスカート内を盗撮した区立小学校教諭(34)が都迷惑防止条例違反の疑いで逮捕された。都教委は教諭を諭旨免職とし、退職金の6割を支給。(教員の場合、諭旨免職では教員免許が残ります。他教委で採用されれば、教員を続けることもできます)
◆2005年4月 東京都教育庁の部長(57)が電車内で下半身を露出させたとして、公然わいせつの現行犯で警視庁に逮捕、書類送検されていたことが分かった。都教委は、この部長を諭旨免職処分にした。
◆2005年6月 出向中に約400万円を着服した和歌山県の元職員に、県が退職金など約1800万円を支払ったのは、地方公務員法などに違反するとして、和歌山市の市民団体が住民監査請求。この元職員は2002年4月から04年3月まで第三セクター「和歌山マリーナシティ」に出向。漁協など約60団体がつくる「県水難救済会」の経理などを担当。02年5月から04年4月まで計32回、同会の口座から約400万円を無断で引き出し、私的に流用した。県は、元職員が全額を返済し、同会も被害届を出さず、事件として立件されなかったことに加え、出向中の不祥事は制度的にも懲戒免職の対象とならないとして、04年6月に諭旨免職とし、退職金約1700万円と期末勤勉手当約100万円を支払った。

不正流用も盗撮も犯罪です。もっと厳しい処分でのぞんでもらいたいものです。


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コメント
 
 
 
結局、皆仲良し (標準戦艦)
2005-06-24 16:30:00
どんなに犯罪を起こそうと、皆仲良しだから(そこまでしたら可哀想)と思っているので、懲戒免職にならないのでしょうね。

 
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