硯水翁「芭蕉翁献詠俳句大会」入選
毎年開催されております芭蕉翁献詠俳句大会において硯水翁が入選です!
因みに、令和5年度の募集要項です。
以下硯水翁のコラム911『寝袋・俳句』を以下に貼り付けました。
◆911『寝袋・俳句』
寝袋を銀河の向きに合はせけり 義人
令和5年度(第77回)芭蕉翁献詠俳句大会において、筆者の上記の俳句が入選した旨の通知がきた。10月12日の芭蕉祭に併せて伊賀市上野公園の俳聖殿広場で行われる大会の歴史は長く、一般の俳句、テーマの俳句、学童生徒の俳句、英語俳句、連句などを募集する。
筆者は連句は毎年応募していたが俳句は今回初めての応募だった。
昨年の資料をみると一般の俳句は約9800句の投句があり、15名の選者がそれぞれ特選2句,入選20句を選んで賞状が贈られ特選には副賞が付与され式典で表彰される。
一般俳句の場合は選者を選ぶことができるので、筆者は宮坂静生先生を指定した。宮坂先生は信州大学名誉教授。国文学者。
松本生まれの俳人で俳誌「岳」を主宰する。
さて掲句について。「寝袋」はシュラーフザックともいい、羽毛や化学繊維などの保温材を中綿とする携帯用の寝具で、登山やキャンプに用いる。
最近ではヒッチハイクやバックパッカーの必須アイテムなんぞといい、古来の風流人が風雅を愛でる街道ひとり旅の、野宿や旅寝や草枕とはイメージを異にするようだ。
上記の俳句を自ら解釈すると・・・小高い高原のキャンプ場の一隅を借りて寝袋を広げる。折しも天空には銀河が燦然ときらめくので、寝袋を円盤型の銀河の向きに合わせて足を入れる。
目をつむると宮沢賢治の「銀河鉄道」や、自転車を漕いで月をめざす映画「E・T」がゆきすぎ、芭蕉の「荒海や佐渡に横たふ天の河」が俤(おもかげ)となる。
こうして銀河と寝袋・・・25800光年の距離にある銀河と寝袋(私)が向かい合うことになる。この二者がたまゆら、ベストポジションを得て心行くまで打ち添うのだった。
二者を結び付けるものは宇宙の「気」であり、「気」とは「天地間を満たし、宇宙を構成する基本と考えられるもの。また、その動き」「生命の原動力となる勢い。事に触れて働く心の端々」と『広辞苑』に載っている。
銀河はきらめき、遥かなる光年を隔てて小高い高原のキャンプ場の一隅に寝袋はあり、寝袋には「私」がいるという自句自解である。(2023/09/13)
※典比古
スケールの大きい一句です。銀河という措辞だけで「宮沢賢治の<銀河鉄道>や、自転車を漕いで月をめざす映画<E・T>がゆきすぎ、芭蕉の<荒海や佐渡に横たふ天の河>が俤(おもかげ)となる。」とありますように、詠み手の想像力の翼が無限に広がってきます。
この大会は「芭蕉翁献詠俳句大会」ですので、コラムの自句自解にありますように、荒海や佐渡に横たふ天の河と言う句が自然と醸成(俤・おもかげ)されてくるのです。ココロ憎い配慮です。
実は翁は「連句は毎年応募していたが俳句は今回初めての応募だった。」と書かれておりますが、実は「献詠連句」において、昨年翁と巻きました両吟「こちら向け」同様、今年も脇起半歌仙「この秋は」の巻が入選を果たしました。
連句部門の応募に入選しました、昨年の2022年11月19の記事です。
【芭蕉翁献詠俳句大会】連句部門入選
羽衣の松(三代目)です 7日撮影 典比古
次回令和5年度(第77回)「この秋は」の巻・芭蕉翁献詠連句入選を記事にいたします。