人工知能

2050年までに、、、、

神々の沈黙-意識の誕生と文明の興亡

2020-06-07 15:15:11 | 人工知能
2月の汎用人工知能研究会で招待講演された大森先生が講演中に紹介されていた

「神々の沈黙-意識の誕生と文明の興亡」

を読んでみた。


この本は、ジュリアン・ジェインズが書いた本で、
人の意識の起源の研究を進めるにつれ、意識は言葉に深く根ざしているため、人が言語能力を持たない段階では意識はなかったことに気づいた。
さらに、言語を会得した後の段階の考察を、西洋古典学・神話学・考古学・心理学を駆使して進め、意識の起原は意外に新しく、
今から約3000年前に生成したと結論するに至った。
それ以前の人間は、意識の代わりに二分心を持つことにより、社会生活を成り立たせていたという。

ジェインズは、古代人の心は、神々の声を出していた部分と、
現代で言う意識している心とに分かれていたと考えた
(ここでいう神々とは、従来宗教が説いているような神ではなく、いわば内心の声とでも言うべきもの)。

偶像や神託、霊媒などの該博な例を駆使して、かつては危機解決の役を果たしていた神の声が徐々に衰退していった様を分析した。

現代では統合失調症(精神分裂病)にその痕跡をとどめているに過ぎないと述べる。
二分心時代の人間を描写した代表的な文献は『イーリアス』である。
意識時代の現代においては二分心はほぼ消滅しているが、幻聴等の症状の現象が二分心によるものだとされる。
巻末に近い部分では、さらに深くジェインズは踏み込み
「真実という概念そのものが、・・大昔の確実性に対して誰もが抱く根深いノスタルジアの一部」
なのではないかとも示唆する。


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700万年前
人とチンパンジーの祖先が分離した。
この時点で人類に意識が無かったのは明らかだ。


共同で狩猟を行うための話し言葉を会得する。
脳の発する言葉による指示に従って行動する二分心に移行する。
右脳が発する「神」の声に従い行動していた。


3000年前
意識が芽生え始めた。
文字が発明され、文字による物語が形成されると同時に二分心は崩壊し意識が成立した。

二分心から意識をもつ人間への変容をしている。

意識発生後、徐々に聞こえなくなってしまった「神の声」を求めて、宗教が興隆した。


神の声を聴いていた事自体は、衝撃的であるが、
言語、比喩によって意識が生まれる。

右脳の言語野は、神の言葉のためのものだったが、今は何のために使われているのだろうか、
意識なのだろうか?