ミケ猫の菌星探査機(きのこ日誌)

全力で飛んでく・きのこブログ

ハラタケ祭り

2018-03-25 12:53:56 | 日記


さて、顕微鏡がきた。

さっそく見て欲しいと頼まれた標本について調べてみると、

結果がけっこうおもしろかったので、ここに説明を書いておく。

Iさん、そのFBの小さいスペースで今回の標本について説明しきれないので

その標本で原稿を書くなら、ここから好きな文章と写真を拾って書いておくれ。




20180222 大阪




まず、お預かりした標本はハラタケかハルハラタケかもということでした。

家に帰って包みをあけてびっくり!

なんじゃこりゃ、こんなキノコみたことがない。

もちろんハラタケは何回も採集して食べたことも数回もある。

Iさんからハラタケを預かってかえるとき、家に着いたら木っ端微塵かもな、と思っていた。

ハラタケならそのくらい傘がやわらかい。崩れやすいという柔らかさだ。





ヤンきのこが5cm。大きさを推測して欲しい。





この子、がっしりしてるやーん(^_^;)

傘が硬い、柄はもっと硬い。ひどく弾力がある。

特に傘はアカヤマドリの幼菌を割った時の硬さより少し硬い位の硬さ。

お預かりした時に、キノコが半分に割られていたのに、肉がまったくピンクになってない。

そこにすごく違和感を感じた。

採集してから時間が経ってるから、ハラタケならとうにピンクがかってるはず。

そして採集して時間が経ったその傘をよく見ると、

わたしが預かったものは傘の縁あたりが広範囲に絵の具のようなレモン色がかっている。



ハラタケ属は分類学的に系統を反映する特徴ではないが、肉の変色性に2種類ある。

ハラタケやザラエノハラタケのように肉が白色からピンク色になっていくものと

ウスキモリノカサのように触ったり空気に触れると黄変するものとに分かれる。

黄色になるものにも傘の縁や柄の付け根を擦ると黄色になるものや、

KOHという薬品をかけると黄色になるなど

積極的にこっちがアクションを起こさないと黄色にならないものもあるので

ただ割っただけの写真を見ても、変色性の特徴は掴みきれない。







今回のキノコの断面を見てみるとピンク色にはなっていない。

そこでハラタケのような肉がピンクになる分類群ではないことはわかる。

ではハルハラタケはどうか。


春に出るハルハラタケを日本語で検索してほしい、少ないが数個ヒットすると思う。

そこに書かれている学名(Agaricus aestivalis var. veneris Wasser)で検索して欲しい。

学名で検索すれば日本以外のサイトでこのキノコが見つかるかも知れない。

でも、この学名で検索しても数個しかヒットしない。

そうか、世界的に見ても珍しいキノコなんだ!



・・・とはいかない。

なぜなら日本語で書かれたサイトに出てくる学名は、

たぶん日本語の図鑑から拾ったものだと思われるが、検索にかけたとき、世界で通用しないことが多い。

一応Agaricus aestivalis var. veneris Wasserを調べてみると、

Agaricus altipes var. venerisのシノニムであるというのが世界中で一般的な認識のようだ。

Agaricus altipes var. venerisで検索をかけると案の定たくさんヒットする。

皆さんが検索するときはぜひ、Agaricus altipes var. venerisで検索することをお薦めする。



と書いたのだが、ハルハラタケは半分に割ったときに柄の付け根あたりの肉が黄変するので

そもそも、今回のキノコには当てはまらない。

ちなみに肉にKOHをかけてみたが変色はなかった。

ハラタケ属にはそういうキノコもあるので一応、確認のために。

柄は私が預かったものは既に褐色になっていたので擦って黄変するかどうかはわからなかった。

傘はすでに黄変していた。



では、このキノコいったい何なのでしょうか?

次回、顕微鏡観察結果も含めてさらに考察を深めます。



(次回に続く)






















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