ミケ猫の菌星探査機(きのこ日誌)

全力で飛んでく・きのこブログ

アミガサタケ・オフ 傘の色の違いを考える2

2021-04-23 21:59:51 | 日記

 

(続き)

 

さて、と。

この前の記事で大事なところに触れるだけ触れて、逃げました(To be continue …

あの子実層の薄片を透過光で見て、色がついている黒いモノが何なのかを考えてみましょう

です、です。

 

子嚢が並んでいる部分の色の黒い部分を拡大したものです

色のついた菌糸には隔壁が見られますね

 

軽くカバーガラスの上から押して、菌糸どうしをバラバラにしました

 

傘の色の濃いアミガサタケの子実層を見ると

ほとんどこの色のついた隔壁のある菌糸が並んでいたことがわかりました

 

これ…子嚢じゃないんじゃないかな?

最近、文献のこと他、色々なことを教えてもらってお世話になっている方がMycosienceに書かれた

Sarea resinae 否 Tromera resinae の論文を読ませてもらったときに見た

(Hashimoto et al. (2021) Revision of Xylonaceae (Xylonales, Xylonomycetes) to include Sarea and Tromera.)

Tromeraの断面の写真や図が頭に焼き付いてて、それを思い出したんです

 

あの論文では未熟な個体の子実層の中にはparaphysoid(側糸様体)が詰まってた

そして胞子ができる子嚢は、成熟と共にぎゅうぎゅうに並んだparaphysoidの合間に割り込むように

下から伸びて膨らんでくる様子が描かれていた

あの図けっこう自分なりにはショックだったんです、いやすごく面白かった

どうしても学名が変わる、となると名前や系統関係ばっかり目が行きがちになるけど、

あれこそ生き物としての姿だと思ったんです

 

今回、アミガサタケの子実層の中の黒い菌糸が成熟とともにどうなるのか…

そう、だんだん消失していったんです

 

 

子嚢に隔壁なんてありません

だから未熟な子実層は子嚢ではない、黒い菌糸で埋め尽くされていたってことなんです

ただこれがparaphysoidかどうかは、わたしが調べたくらいじゃ情報が出てきませんでした

 

胞子ができている=子嚢なんですけど、子実層がその子嚢で埋め尽くされる頃には

もともと未熟な子実層を埋め尽くしていた黒い菌糸はだんだんなくなっていってた

要は、これがアミガサタケの傘が成熟すると色が薄くなっていく原因だった

つまり未熟な子実層に黒い菌糸があるアミガサタケのグループは

傘の色の違いで種を分けるのは危険だということになると思います

 

あえて未熟な子実層に黒い菌糸があるグループ、と書きました

そう、未熟でも子実層に黒い菌糸がないやつがいるんです

これはたぶん、別種と言い切っていいんじゃないかな

傘の網の様子も、もともとは色の濃かったやつが成熟して色が薄くなったやつとそっくりで

検鏡しないで区別するのであれば、個体集団として成熟過程を追う必要があります

 

↓↓↓ こいつ、検鏡したら未熟でした。。。

 

 

 

いろいろ観察してわかって楽しかったヽ(´▽`)/

それもこれも同じ日に本当に遠方まで、あちらこちらに案内していただいて

いろいろな場所で採集したアミガサタケを横に並べて観察できたことに端を発しています

心から感謝しています

もちろん、ふだんから不勉強で技術力不足の自分に発破をかけてくださっている方にも感謝しています

 

 

これがすこしでもこれからの菌類観察の役に立ててもらえたら幸いです

ではアミガサタケ・オフの報告、これまでなり。

 

 

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アミガサタケ・オフ 傘の色の違いを考える1

2021-04-22 13:31:13 | 日記

 

さて、と。

ここではアミガサタケ、とひとまとめで書いていますが

今回はアミガサタケという1種のキノコのことを指しているわけではなく

「スミレ」のようにスミレといってもタチツボスミレやアケボノスミレなどを

ひっくるめてスミレと呼んでいる、~の仲間という意味で使っています

ちなみにひっくるめて使っている言葉、例えば「シメジ」はシメジという和名のキノコは存在しませんが

「スミレ」「アミガサタケ」という和名の植物やキノコは存在します

 

↓ これが和名「スミレ」というスミレ

 

今回、当方はトガリアミガサタケと呼ばれている黒いアミガサタケばかり生えるので

色の薄いアミガサタケの生育地を実際に目にするために案内していただきました

(ご報告までに時間が経ってしまいました、すみません)

しかし、隣県のアミガサタケも色がこちらより薄いとは言え

案内していただいた場所によって、けっこう色の濃さに違いがありました

種間における差なのか、地域差なのか、はたまた成長の段階で変わっていくのか

大まかな外形は個体群によってそこまで差があるように感じなかったのですが

色は個体群によって気になるほどの差があったのは確かです

 

色の濃い方はこんなんやら…

 

色の薄い方はこんなんやら・・・

 

 

そこでさらに菌糸の形態や状態などの微細構造を、顕微鏡で検鏡して

色の違いが微細構造上の何に由来しているのかを確認してみることにしました

 

アミガサタケの傘の部分の断面です

表面に近い方に柵状に並んだ構造が見えると思います

まずより色の濃かった方の断面を見てみましょう ↓

 

 

 

↑ 下の方の写真を見ると、透明の棒が見えます

これが子嚢っていう中で胞子ができる袋です

断面の全体が黒いわけではないですね、子嚢が並んでいる層の一部が黒くなっています

で別の色のアミガサタケを見てみると、

 

 

↑ こっちのほうが色が薄いですね

色の濃い方と薄い方、どっちが成熟していると思います?

色の薄い方を見ると袋の中に小さな粒つぶが見えるのですが、色の濃い方はほぼ粒つぶがないです

これはどういうことかというと、

色の薄い方がより成熟が進んでいて、胞子が出来始めているんです

ということは、未熟なときには子実層に黒いモノがあって

成熟してくるとその黒いモノが無くなっていくんだってことだとわかってきました

 

ではその「黒いモノ」ってなんだろう?ってことですよね

このままではよくわからないので、次はカバーグラスをかけて液体でマウントしてから

下から光を当てて透過光で見てみましょう

もちろん今までの写真は上から光を当てて観察したものです

 

(2に続く)

 

 

 

 

 

 

 

 

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アミガサタケ・オフ 続き2 本題ちょっと前

2021-04-17 17:06:17 | 日記

すみません、順番がおかしいのはわかっています

この次に来る記事を理解してもらうためにぜひ読んでいてもらいたい情報を書きました

アミガサタケをもうちょっと深く知ってもらうための、超基礎知識のきのこ学ですわ

 

 

さて、と。

本題ちょっと前でございます、ここからもっとわけワカメになっていきます

きれいな写真や人気きのこネタ投稿はツイッターの方で色々な方が上げているので

そっちをおすすめします

 

 

どこから話せばいいんだ?

ほらキノコって植物でしょ←ここ突っ込むところですよ

だから愛を結んだキノコが胞子を作って種のように増えていくんですよね、素敵!

とガチで目をキラキラさせた女子会風奥様に同意を求められて

JKに迫られたおっさんのようにうろたえたことがあります(おっさんは妄想

 

 

遺伝子の拡散方法の一つに、物理的に移動し、定着と拡散を繰り返す方法があります

で、拡散するために遺伝物質を含んだ菌糸を風に乗るサイズに縮めたり

虫の内臓に収まるサイズに縮めたもの、つまりそれがキノコの胞子ってことになります

胞子のでき方・中身は様々なんす、目的だけ知っておいてもらえればと思います(知ってるか

 

 

赤の他人同士の遺伝子を2個以上菌糸の中にもつことができるきのこをつくるタイプの菌類は

自分の中で必要な時に核融合して減数分裂して、きのこという傘や茶碗などを使って胞子を撒きます

そのときに胞子を菌糸の枝の先につけるやつと、袋の中で胞子をつくるやつと

大きくその2大勢力がきのこ界を席巻しております(あえてきのこ界と言っています、分類用語ではない

 

 

袋タイプ(棒状のものが子嚢) アミガサタケ属

 

先に胞子を付けるもの(角がついているのが担子器) ベニタケ属

 

 

で、アミガサタケは2大勢力の「袋」の方なんです

縦長の袋の中に胞子が8個入っています

きのこは胞子ができる場所なので、図鑑にはとくに顕微鏡で成熟した子嚢・胞子が図鑑に載っています

でもきのこは菌類という生き物なので、

顕微鏡でほかの色々な場所の菌糸などを見るともっと生きている姿を確認できます

またきのこも赤ちゃんからお年寄りまで生き物としての姿はたくさんある、

図鑑を見て同定するという作業だけが顕微鏡の役割ではないんです

 

 

そう思って顕微鏡を持っていらっしゃるかたは、ぜひ色々見てください

 

 

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アミガサタケ・オフ 続き1 前置き

2021-04-16 10:54:25 | 日記

 

 

 

菌類学、とくに分類ついての研究は

植物分類学で言うところのAPGシリーズが出てくる前の段階にあって

下位・上位の階級に関わらず、激しく混乱していることが明らかになってきた段階にある

クロンキスト以前のエングラーから直接APGに乗り込んでいる感じ

ただAPG-Ⅰの段階ですらない

その中でも高位の分類階級については子実体の形態形質の分類への用いられ方を見ていると

明らかに大昔に植物学の端っこに菌類学が置かれていたことに由来する弊害が

足をひっぱった跡が所々に見受けられる

未だに亡霊の様に古い研究家さんの間などにそういう空気が残っているが

菌類学でも研究に携わる方の年齢も科学思想も世代交代が確実に進んでいる

昔の偉い研究者を称えるのはその努力であって盲目に中身を称えるものではない

いま菌類学の研究は足場を失ったのではない、自由を手に入れたのだ

たぶんつかの間の自由だ、精一杯菌類学に携わる方々が大暴れするところを見てみたい

 

ややこしいことを書きました

さて、と。

 

 

アミガサタケなんですけどね。。。やっぱり混乱しているんです

菌類全般の分類学に言える混乱状況を前置きとして説明したくて上のことを書いたんです

で、キノコの名前でとくに和名については

初めて記載された時や新産種として国内で発見された時に

学名や標本に紐付けされてるのは容易に想像がつくかと思うのですが

上で説明したように大混乱時代の菌類分類学なので

和名に紐づけされた学名のキノコは日本では産出されないことがわかったり

学名のついたキノコが実はコンプレックス(複数種混ざってる)だったことがわかったけれど

登録されたタイプ標本がばらばらにした種のどれなのか後から確認しても不明な場合もあるのですが

(タイプの状態が悪い・そもそもタイプがどっかいっちゃった)

和名はどこに紐づけされているのか(学名?タイプ標本?)は決まっておらず

その時々の自由なので、和名が何を指しているのか混乱しまくっています

 

アミガサタケも分子解析の結果、図鑑に載っている種の数以上に

かなり多くの区別できる種がありそうだということがわかってきています

ここではこの前採集したアミガサタケや、自宅で標本にしていたアミガサタケを細かく観察して

肉眼で確認できる外見の違いが何から由来するのか

さらに微細構造を確認して追求してみようと思います

 

(続く)

 

 

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2021 アミガサタケ・オフ

2021-04-15 09:46:16 | 日記

ほんとうにツイッターというのは書きにくい

いいねがあまりないのにアナリティクスをみるとひえっと思うほど見られてて

数千人というたくさんの人を前にしているという自覚が生まれてガチガチに固まってしまう

このまえ、すごい方々にキノコを見るために某所を案内していただいたんですけど

すごく面白かったんですね、で、ツイッターでそれを表現しようとしたんですけど

みなさんの、案内してくださった方への関心が高すぎてあそこで書けんのですわい

ここならゆるりと書ける(見てる人少ないからね)

長文は駄文と某皇室婚約者の方が叩かれていましたが、わたしも駄文書きなので許してください

 

 

案内していただいたのは、最近更新がない神顕微鏡使いのんびりおけら日記のGajinさんと

神絵師特殊自然マスターの爆裂暴走列車oso的キノコ写真図鑑のosoさん

osoさんのサイト、サイト名が何なのかはっきりとよくわかんないんす

ただサイトのタブに「遅スギル」とでてくるので、のんびりした方なのかと思っていたら

わたしがもたもたしていると「あーっ、遅すぎる!!」とosoさんから怒られる

あ、そっちの遅スギルなんだ、ただひとつだけこそっと言わせてください

 

 

 

 

 

 

 

 

 

osoさん、サイトTOPにサイト名つけてください

 

あーすっきりした。さて、と。

ここら辺(といっても山4つ分くらいの広範囲の話でっせ)はアミガサタケが元々すごく少なくて

形態にもほとんど幅がない、最初は多少丸みを帯びるものの成熟すると先の方から尖ってくる、

トガリアミガサタケというグループに入れても問題ない形状のものばかりだ

 

地元のアミガサタケの仲間↓

 

なのでイエローとグルーピングされているアミガサタケの仲間にすごくあこがれがあった

アミガサタケとは黒いものだという自分の脳みそへの刷り込みを解消したい

で見せてもらいましたがな、これ

 

 

かわいいいいいぃいいいいいい!!!

昔アミガサタケが気持ち悪くて触れなかった自分が懐かしい、いやでも黒は未だに苦手

それもこれも、地元のやつが真っ黒でぐわっとでかくてゴミ捨て場やトイレの近くによく出るからだ

今回もラストちかくで見せてもらったトガリは不法投棄されたゴミが散乱した場所にあった

 

 

写真を撮るときにいっしょに写ってるゴミに場所が特定できるものはないかなど

osoさんからチェック、否アドバイスを受ける

osoさんもあいつどんくさいし、ポカせんやろうかとハラハラしてはるんやろうな

しょうもない自己顕示欲の結果、生育地をダメにしてしまう結果に繋がることだけは避けなきゃ

 

でも、ね、迫力があるでしょトガリアミガサタケ

汚い環境のところのものほど手のひら超えの大きなサイズがゴロゴロあって、

高級感あふれるモリーユ(西洋の呼び名らしい)というイメージは全くない

でもまがいない剛健さがある、私にとってアミガサタケは男性的なそういうイメージだ

 

イエロー、少し赤みを帯びるんだね

 

アミガサタケは菌根菌か腐生菌か、という議論がある

菌根菌とは何か、腐生菌とは何か。桜の木の下に子実体が生えたら菌根菌だとだれが決めたのだろう?

元々菌根と菌根菌の菌糸の接点が見つかって、初めて菌根菌といえるのだ

腐生菌とは何か?菌糸が分解した木材などを炭素源にして菌糸を広げ子実体を作る菌だ

その事実をもって初めて科学としての証明になる

ただ自然環境下でなにが起こっているのかを見出すのは難しい

なので in vitro のもとで条件を極限まで絞って菌の能力を見極めるのだけれど

自然の中に存在する条件は正直億とあるといってもいい、複数の条件の掛け算が起こるからだ

 

 

でも桜の木の下にこの子が出てきたら、事実はこの下に眠ってる

法律や環境に問題なければここ掘れわんわん、なんせ菌根ならば肉眼で確認できるのだから

 

(続く)

 

 

 

 

最近続くと書いて続かせないことが多い。。。反省じゃ

 

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奈良のおみやげでチョコのほらあれ(糞生菌)

2021-02-11 12:10:30 | 日記

さて、と。

 

そういえばインパクトを狙ったおみやげ用のお菓子に、動物の○○○シリーズがありますね

犬山のモンキーセンターだとゴリラの鼻くそ(チョコ)だったり

奈良に修学旅行に行った近所の子供が持ってきてくれるのは決まって鹿のフン(チョコ)だったり

 

 

これはおみやげではなく、山で拾ってきたシカフンを家に持ち帰り追培養したもの

表面に粒つぶが出来はじめています

これがキノコなんです、え、カビじゃないの?と思われるでしょうがキノコなんです

まだ未熟なんですけどスイライカビの仲間だと思います

名前を聞いてほらカビやん!って思うでしょうけど、これはれっきとしたキノコなんです

今の段階では同じ種類の菌でも胞子体が

カビの様態にもキノコの様態にもなる可能性があるってことだけお伝えしておきます

 

 

これはさっきの白い粒の仲間の写真ですね、白いボタンのようなキノコ(800μmくらい)

これを横から見ると、

 

 

表面から少し黒い粒つぶが飛び出しているように見えます

Ascobolus属(さっきからスイライカビの仲間と呼んでいる)はこのように

子嚢(胞子の入っている袋)がキノコから飛び出してきます

もっと飛び出る種もあるのですが、この種は成熟しても少ししか飛び出てきませんでした

飛びだしているやつをみると

 

 

透明の縦長の袋ごと胞子が飛び出しています

で、きれいんですよ、この子。なにが?とお思いでしょうが。。。

 

 

胞子が紫色なんです

周りが透明なのもあって美しい。。。とてもウンコから生えている菌だと思えない

 

これから上のキノコはもっといろいろ生えてくるはずですわ

ぼちぼち様子をみて写真を出していきますね

 

ではでは。

 

 

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動物のフンから生えるキノコに凝り始めました

2021-02-11 11:25:49 | 日記



うわー長いこと放置してたんやなあ!

ちょっとここの記事を整理せなあかんなあ

染色の記事はどこか別のサイトに移動させて、ここはキノコだけのサイトにしたいな

あれからもずっとキノコやってますよ

最近糞生菌に凝ってまして。ツイッターやってるキノコ関係の人はああ、あいつかとわかったはず

まああんな大勢の目に触れるところでよく動物のウンコの写真を出してるよね、自分

糞生菌を学問として扱わないような人は強制退出してもらっているので

今のところ平和に暮らせています

植物と菌と動物、言葉で書くとたった3者のような感じがしますが

多分この中で圧倒的に菌類が多くの種類関わっていて、重要な役割を果たしていると思う

で、顕微鏡観察をして、そのときの写真が溜まってきているのでここに出していこうと思う

動物のフンから生えるキノコですわ、どれも1mmもない小さなものがほとんど

山から動物のフンをとってきて、しばらくうちで培養すると新たにたくさん出てくるんです

なので野外よりたくさんの菌が見れます

ただ今必死で観察をしているだけなので、名前がつけられていません

しらべて名前が付けられ次第、さかのぼって名前をつけていくつもりです

にしても、日本の糞性菌の資料がむちゃくちゃ少ない

オーストラリアの糞性菌図鑑を買ってきたので、属ぐらいは落とせたらいいな

なので名前を知ろうと見ても役立ちませんよー

でも神様はこんな生き物を創成してたんだと驚くことばかりです

非日常の形をした生物が蔓延っています

○ヴァン○リオンに出てくる使徒みたいな…いやいやその上をいくかないかないかな

ではぼちぼち写真を出していきますね(´ω`)

いちおう言っておきます、動物のウンコから生える菌ですよ!!





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背中合わせ

2020-01-27 19:06:31 | 日記
ばりばりばり・・・子供の頃好きじゃなかったですか、カサブタ剥がし

私は好きでしたね、時期尚早だと血が出てきてしまって、またカサブタができる

それをまた爪でばりばり・・・

ここキノコぶろぐでしたね、今日クロサイワイタケ科ぽい黒くて平たいキノコを眺めていてふと思ったんです





地味ですねーいったいこの写真のどこにキノコがあるねん、と思うのもしょうがない

ほら写ってますやん、黒いやつ

木の皮が割れてオープーン!になったところを覗くと中が真っ黒なんすけど薄くて平たいキノコが張り付いてるんです



Diatrypella quercina


こんなキノコを追いかけているマニアは非常に少ないかもしれないけれど

意外と山のあちこちにあって、冬のきのこの少ない季節にはこれがよく目につくんです

今日も山でぼーっと眺めてたんですけどね

ちょうど黒いキノコが熟して胞子を飛ばすようになると木の皮が割れて御開帳~になって

皮の下からこの黒いキノコが顔を出しているのを見たんです




盛り上がった粒つぶの中身は空洞になってまして、キノコが生きているときはゼラチン質のもので満たされています



不思議じゃないですか、この木はとっくに枯れて朽ち始めているんですよ?

だから木自身が樹皮をコントロールしているわけじゃない

下からキノコが皮を押し上げて、皮が割れて下から顔を出すならわかるんです

でもこの子厚さ1~2mmしかないんです、

上に広がる木の皮を押し上げたところですこしヒビをいれるのが関の山だと思うんです




空洞の中に胞子の詰まった鞘(子嚢という)が下から生えているんですわ


どうして木の皮が浮き上がって扉のようにキノコの上だけ開いていくんだろう

木の皮にも菌糸がまわってて菌糸がコントロールしてる?いや皮は別に菌糸に犯されていない

じゃキノコの周りの皮も剥いてみよう(ここでカサブタのことを思いだしたんですね)







ばりばりばり・・・周りの木の皮は浮き上がっていて、その皮の下にはまだ子嚢は出来てはいなかったけれど

黒い子座(これから子嚢ができるぞという場所)が薄く広がっていた

この皮の下でいつか胞子を飛ばしてやるんだーと待っているんだな、と思いさらにべりべり





剥がす時に引っかかりがあってそこを見ると、白い根っこのようなものが

これは菌糸束といって細い菌糸が集まって束になって糸のようになったもの

ほかのキノコが栄養を求めて菌糸を伸ばしてきてるんだな・・・あ、右の方はもっと硬い

右側の皮を剥いで行くとびたっとくっついている感がある





この菌糸束が木の皮としたの木部の部分をしっかり糊のようにくっつけていた

だから剥がすのが硬かったんだ、なるほどね

逆にほかの部分はすいすい剥がすことができた、その皮の下に大きく子座が広がっていることが多かった

しかしやはり、ところどころ剥がすのが硬い部分があった

そこを無理に剥がすとやっぱり白い菌糸束に満たされていて、その上に広がっている皮をがっちりくっつけてている

・・・眺めていて、ちょっと違和感を感じた

この木に残っている皮が中の木部から剥がれずくっついているのは、基本この白い菌糸束のせいなんじゃないかな?

逆に黒いキノコはどんどん皮の下に子座を広げて皮を木部からは剥がす面積を広げていって

胞子を外に飛ばしたいから皮の割れ目を地味ーに広げていって

外の景色を拝むことができた部分から子嚢を作って胞子をとばそうとしているんじゃないかな

で、この白い菌糸束が広がることができない天敵?の黒いキノコが広がっているところは

樹皮をくっつけることができないから剥がしやすい

白い菌糸束をつくるキノコちゃんは白色腐朽菌のようだ、菌糸の周りの木部が白っぽくなっている

(白色腐朽菌・いろいろあってリグニンとかいう最強成分を分解できる強い子ちゃん)






この白色腐朽菌は木が枯れたあとラストまで木を分解できるやつで、

逆に黒いキノコくんは糖質を主に分解するやつでリグニンなんてかったいもの全然分解する力を持っていない

なので、多くは木が生きているうちにそそそ…とやってきて

木が枯れたと同時に一番乗りで木の維管束などに残った木が作った糖分を栄養にして菌糸を広げさっさと胞子を作る

維管束は皮の下の表面に近いところにあるから黒いキノコくんはそのへんにいるしかない

でも白いキノコちゃんは木のすみずみまで利用できる

そう思うと木の皮が残っている方が木の内側の水分を保つことができて白いキノコちゃんが木を分解するのに有利だ

だから菌糸束を作って木の皮が剥がれないように固定をしているんだろう

黒いキノコくんは胞子を飛ばすために木の皮が邪魔、そして白いキノコちゃんは木の皮が必要なのだ

そんなふたりが同じ木に共存している


これはまるで、暑がりのカレシと寒がりのカノジョが同じ布団で寝ているようなものだ

暑いと言ってカレシが布団を蹴飛ばす、寒いと言ってカノジョが布団にくるまる

なんならカレシが布団になってあげたらいいのにねー(棒


なんやったっけ、なんで黒いキノコの上だけ木の皮が御開帳するのか、だっけ

本当は木を身ぐるみ剥ぎたいけど白いキノコちゃんががっつり皮を掴んで離さない

それでも頑張って子座を広げて作った割れ目の下で胞子を作ってタイミングよく胞子を飛ばしてる・・・

のではないか、というのが私の今回の推測ですわ


あーしかしびっくりするほど地味な写真ばっかりやなあ

きれいなオネエチャンの写真のひとつも貼っておきたいがあいにくいいものがない







それではまたいつか





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勇者の味

2019-10-18 18:41:30 | 日記

(続きを書くにゃー)









東近江の集落の裏でこれを見たとき、これがネズミノアシじゃないかとは思わなかった

でも初めて見たキノコ、フサヒメホウキタケくらいには硬いのかと思ったら全然固くない

ポキポキすぐ折れる、はじから房がぼろぼろ外れる

一目見ただけでこの独特の雰囲気に飲まれて勝手に「毒やなー」と思った



ホウキタケの仲間はホウキタケRamaria botrytis以外は可食と断定されているものはほとんどない

図鑑には、ほかのホウキタケの仲間は毒か食毒不明と書かれている

ハナホウキタケについては図鑑には毒と書いてあるけど

割と有名なワイルドな野食家が一回に6本食べてもケロっとしてる

この子はこの和名が付けられたアメリカのRamaria formosaが日本に生えている設定だが

たぶん別種だろうとのこと(真偽不明)

アメリカでも先っぽをちょんちょんとって食べたらなんともないとか、そのまま食べてもなんともないとか

そもそもアメリカですらRamaria formosaから毒成分は検出されていない

(特定されていないだけかもしれないが)

ハナホウキタケ6本食べてなんともないけど毒きのこなんやね、まあええわ(^_^;)

キホウキタケについてはロシアでは食べられているようだが、食べ過ぎるとお腹を壊すとのこと

(ナラタケやナラタケモドキもそう言われてるなあ、みんなキノコに関わらず食べすぎには気を付けようね(^_-)-☆)




ヒカゲシビレタケ 雨上がりの芝生からひょこ♪ この子は小さくてもびりびり痺れるぜい(ほんまかいなw


ヤブレツチグリ ツチグリとツチガキってどう違うの?という質問をよく受ける。実際ツチグリ、~ツチグリ、~ツチガキのように和名が分かれているが、これは分類を全く反映していない。形でなんとなく・・・キノコ界隈でよくある話。で実際分類がどうかというと、この中でツチグリというキノコだけが他のキノコと全く違う他人の空似野郎だったのだ。またどこかで書こう(´ω`)。



(まだまだ続く)
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げんこつ山のキノコさん

2019-10-18 00:56:53 | 日記






秋も深まってまいりました、皆様お元気でいらっしゃいましたでしょうか

一年前、博物館で展示やってたんやなあ・・・

この1年もいろいろありすぎて、ここに来てやっと思い出した



さて、と。

最近、東近江市の博物館に関わった関係でその地域のキノコ利用の歴史を調べることに手を染めている

バイタケの時と同じ、このことについては文献で調べても地図に「松茸山」と書いてある以外に

これといった情報がない。だからといって利用がなかったわけでもない

地域の方にぼちぼちどうですかーと聞いていたら

バイタケの時以上にいろいろ出てくるではないですか!



今では野生のキノコ利用は皆無と言っていい地域だ

これといった名のあるキノコはほとんど生えない、土壌・気候ともにキノコの生育には向かない場所で

キノコの観察会の講師をする身分としてはなかなか辛い場所だ(ないしょ)




アオバハゴロモたん 最初キノコかと思って近づいたら飛んでいった



地元の方から、昔利用していたキノコの名前をお伺いした。

バイタケの時につくづく思ったのだが、ひとつひとつ丁寧に調べていかないと

本当はなんのキノコを指しているのかはっきりしない

今回は滋賀県の東近江周辺を中心に調べているので

ほかの地域では同じ地方名がここで利用されているキノコと当てはまらないと思って欲しい



『ネズミノアシ』

85歳のおばあちゃんの口からそんなきのこの名前が飛び出してきた

キノコ、ネズミノアシで検索したらすぐ「ホウキタケ」が出てくると思う

やったー!そんな高級なキノコが昔、東近江に生えていてみなさん食べてたんだー!

ホウキタケって今では富士山山麓とか2000m近い高原のシラビソなんかの林に生える幻のキノコやん

スクープ!衝撃の事実!低い山しかない東近江の集落の裏山にあのホウキタケが!!!


( ^ω^)・・・


んなわけない。

昔は死ぬほどまったけが採れたという裏山も、今はもう・・・

日本のキノコに付けられている和名(標準和名)は割と厳密に一つの学名に1つずつ付けられている

ほかの国では別にそうでもないところもあるようで、ここは日本人らしいなととも思う

和名「ホウキタケ」は Ramaria botrytis 1種のみを指す

しかし地方名の「ネズミノアシ」は1種のみを指すのか?そんな定義はどこにもない



ある日裏山を歩いていたら

ぼっこぼっこコナラの木の周りに仲良く並んで同じキノコが生えていた










(続く)








(風の吹くまま気の向くまま)

本当にこの1年いろいろあって(なんか毎年そう言ってる気がする)、来年こそゆっくりしよう、来年こそ・・・と毎年年の瀬になると次の年はゆっくりする、と誓うのだが、自分でその契りを破ってしまう。

それでも今年は仕事をしぼって随分ゆっくりしたと思う。というのも両親が亡くなってからかなり精神的にまいっていて、特にここ1年くらいはうつ症状がひどくなって、家にいるときはソファでぐったりしている時間が長くなっていた。検査も山ほど受けたがどこも悪くない、悪いのは心の中だけだ。

なので今年は本気でゆっくりしようと思っていた。そしたら時間があるのかと思われてあっちこっちから声が掛かって、結局刺激の強い1年になってしまった。なので最近本気でリセットしよう!と割り切った。そしたらあら不思議、うつ症状が軽くなってきた。ここ1年ずっとしんどくてソファでぐったりしてたのも、そこそこ良かったんだろうか。

そんな時、キノコをやってる友人から放送大学の大学院(修士)受けたら?と勧めてもらった。放送大学自体は臨床心理学を勉強したくて資料を取り寄せていたが、きのこの研究をベースに放送大学を受けることは全く考えていなかった・・・のか? ふと自分の背後でどこかで考えてたんじゃないの?という声がした気がした。すでに植物分類学で修士をとっているから修士という学位に全くこだわりはない。なんで2コ目?という疑問のほうが大きい。なんだろう、新しい扉を開けることが怖くなってる。

ここしばらく自分で行き先を決めて歩いていなかった(山以外)。関東のほうに行ったのも日を指定されて呼ばれたので行った。行くと初めて会う人たちばっかりだった。以前は初めて会う人たちがいるとワクワクしていたが、うつ症状のせいか、普段からやり取りしている人以外は怖くて正直まったく会いたくなかった。会ったらどうなるのか不安で仕方が無かった。

初めて出会う方々にお会いしてびっくりした、やりたいことをまっすぐ貫いている人たちに久しぶりに会えてエネルギーをたくさんもらった。そういやここ何年もそういう人たちに会ってなかったなあ。そういう人たちの熱量は凄まじくて、ちょっと好きとか好きを装うのが上手なばったもんが近づいたら、弾き飛ばされるか、間違いなくコゲてしまう。熱量の強い人にその自覚はない。そういう人たちの前でやっと、いつの間にか着込んでいたつまらないものを脱げた気がした。

まだ新しい扉を開けるのが怖い、いや新しい扉はいずれか開けようと思う。でもどの扉を開けたらいいのかわからなくなってしまった。自分で扉を開けて自分の足で歩くしかないのだけれど。あかん、考えてたら首が絞まった感が出てきた(うつ症状の一つ)。まだ扉を開けるのは早いってことか。まあいいや、のんびり行こう。ゆっくり行こう。










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