ミケ猫の菌星探査機(きのこ日誌)

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溶けるヒトヨタケ(目的編)・腐くてナンボ

2018-04-15 10:52:55 | 日記





ヒトヨタケ


不思議なキノコ。

溶けるキノコ。


どうして溶けるんだろう、目的、原因、その他・・・


今回は 『目的編』

往々にして生き物の目的って人間が頭の中で自分が納得のいくように都合よく解釈したもの

説得力があるとその説が次の説得力のある説がでてくるまで生き残る


そんなこんなで自分の納得のいくように解釈してみよう。





採集してきたヒトヨタケを紙コップに入れていたら、案の定、一晩で溶けた。

生えたまま溶けている写真を見ると、どろっとしている感じがするが

柔らかくなった傘と、黒いサラサラの液体に分かれている。


この黒い水がどのくらいサラサラかというと・・・




こんなことができるくらい♪


実は墨汁も透明の水に黒くて細かい粒子が混ざって出来ている(この前の投稿参照)。

書いた紙を確認してみると、肉眼でははっきり確認できないが、

黒い水確認した時にはわからなかった、粉っぽいものが確認できる。


さて、ここで黒い水を顕微鏡で確認してみる。





水で一切薄めていません、やはり水分は透明ですね。

黒い粒子に見えていたものは濃い褐色の胞子、サイズは4μmほど、

墨汁の粒子の約十倍の大きさ、それでも真っ黒な水に見えるんですね。


この水は100%ヒトヨタケ起源。

だから雨が降らなくても、勝手にヒトヨタケから水がでてきて、

その水に胞子が溶け込んで黒い水になって流れていくという構図が見える。


原因も気になるところだが、ここは目的編なのでひとまず置いとく。





どうしてこんなことをするんだろう。

胞子が熟したら溶ける、水分中に大量の胞子があることから、胞子の散布のためだということはわかる。

風に乗って飛ばす気なんてさらっさらない、

むしろ胞子が飛ばないように水に閉じ込めて流している感じ。

でも水に流すのなら、ツチグリのように雨のタイミングに胞子が出る仕組みがいいんじゃないかな。


このヒトヨタケを最終した日の土はからっからに乾いていた。

なのに、あたりのヒトヨタケも既に溶けていて流れ出していた。

何がしたいねん、こんな天気のいい日に(^_^;)





顕微鏡で見た次の日、ごろっと自宅の床に転がってそんなことを考えていた

・・・腐い

なにこれ、どこから?あれまあ、紙コップから異臭がする。

うわあ、結構な異臭だ。ヒトヨタケやりよる~と紙コップを覗いていてふと思った。


ヒトヨタケと同じ日に採集したハルシメジやその前に採集したウラベニガサなどは、

そんなに匂いがしていない。ヒトヨタケだけ猛烈な異臭を放っている。ということは・・・



『もしこの液体化が胞子の散布と大きく関わっているのなら、

 胞子の散布に結びつく可能性があるのはこの腐さかもしれない』



スッポンタケやキヌガサタケのように腐さで虫を集めて、胞子を散布するキノコもいる。

匂いで虫を集めて、次どないするのん?そこで文献を探してみた。

菌食性双翅目幼虫の消化管内担子菌胞子

日本菌学会掲載の論文だ。

『ハラタケ亜門の複数の子実体から菌食性の幼虫を取り出し、幼虫の消化管の中を調べられた。そこで胞子双翅目昆虫の幼虫による子実体中での胞子摂食が高頻度で起きていること、幼虫の消化管内の胞子の多くはほとんど物理的損傷を受けていないことが示された』

胞子を食べる虫が胞子を運ぶ可能性は十分に検証されていると思う。


液体化しなくても菌食性の幼虫は存在する。むしろ幼虫は成虫になるまで子実体の中に長く滞在したいはずだ。

ではヒトヨタケの胞子の運び屋は誰か?


『分かりません』


ここでようやく、次、自分がしないといけないことが見えてきたぞ!!

胞子食であること、匂いでいち早くその存在に気づいて虫の側から積極的にやってきてくれること。

その前提で観察すれば、また、新たなことが見えてくるんじゃないかな。


そこがキノコ観察の楽しいとこやね!みなさんも何かわかったら教えてくださいヽ(´▽`)/!

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