にこにこベス日記

笑顔で過ごすベスの日常と、クッシングとの闘いを報告します。

長い一日

2015-10-26 08:23:00 | 日記



一生忘れることができない一日

絶対に忘れたくない

長い、長い一日






AM:4:00

ベスのお腹の音で目が覚める

これまでにない下痢


ベスの顔を覗き込んで見てみると

眼は上を向き、名前を呼んでも虚ろな表情




とりあえずは、おっさんと二人で協力してお尻をお湯で流した



そうこうしている間に、外が明るくなて来た




おっさんは出勤準備をするころだな・・・


わたしの頭をよぎったときに、

おっさんから「午前休とるわ」って言ってくれた



すごくほっとした





おっさんがいてくれるなら、病院に連れて行こうと思い

病院に電話をしたら、一番に診てくれるという返事だった

とてもありがたかった





おっさんがシャワーをしている間もベスから離れることはできない




ベスちゃん、べすちゃん・・・
ハッと目が覚めたように、上を向いていた目を戻す

一応反応はあるけど、またすぐに眼球が上転した



なぜか、反り返った姿勢になる



原因がわからず、不安でたまらなかった




ハニカムマットで、車に乗せて病院に向かう






予約外だったけど、朝いちばんに診てくれた

先生はベスを見て

「ちゃんと反応はありますね(睫毛反射)」
「呼吸も穏やかに、しっかり肺に空気がはいってますし、
そんなに心配はいらないでしょう・・・」



その他にも、輸血のことや検査のことなど色々質問したけど、
今の状態で検査や輸血をするのはかえって可哀想。
あまりおすすめしない・・・という返事。



それでも、採血だけしてもらえませんか。とお願いした。

先生は快く、「そうですね、採血だけしてみて、あとは点滴で
水分を補いましょう。」


採血を済ませたら、結果待ちの間、診察室で三人で待つことになった。




その間も、ベスはスーハー、スーハーと
穏やかな呼吸






診察台の上にハニカムマットを敷いて、その上にベス

私がベスの頭側に座った。

ベスの頭が診察台からはみ出して、頭が下がりぎみだったから
腕枕をして頭を支えて座った。

おっさんがお腹側に座って、三人で穏やかに話をしながら検査結果を待った


ベスちゃん、大丈夫だよ
点滴したらお家に帰ろうね。って何度も話しかけた。







どれくらい待ったのだろう・・・・



しばらくすると、ベスの目から涙が流れた


ベスちゃん泣いてるの?泣かないで・・・



そう言いながらバッグの中のハンカチで涙を拭いた


すると、もう一回涙が流れた・・・




どうして? どうして泣くの?

泣かなくていいよ
検査が終わったら、お家に帰ろうね

点滴したら元気になるからね






この時は、私もそう信じていた





いくら話しかけても
ベスの表情は変わらなかった





その後、涙は流れなかった







しばらくすると

ベスがぐーっと前足を伸ばして、顔は上を向いて反り返った


あ、まずいと思って、「先生を呼んで!」と頼んだ



何が起こったのかわからないおっさんは、
先生を呼ぶことにも少し躊躇していた



「早くよんで」とおっさんを見ながら言った

すぐに先生も入ってきた






ちょうどベスに目線を戻したとき

その時、ベスは初めて大きく口を開けて

ハッという呼吸を一回した

そのハッという呼吸の後に、舌が横に流れた




ハッという呼吸と同時に
ベスの魂が抜けていったのが見えたような気がした









それなのに、

ベスは十分頑張ったことも理解できていたのに・・・



私は思わず

「ベス、まだ逝かないで、お願いまだ逝かないで・・・」


そう叫んで抱きついてしまった






医師の声がかすかに耳に入ってきた

「低血糖があるんです。どうしますか?」




ベスに抱きついたまま、泣きながら

「糖を入れたら、戻ってきますか?」





そう言った途端、ベスは抱きかかえられて処置室の奥に消えていった

連れて行かれる時、先生の背中からはみ出して見えるベスの手足は

既に生気はなく、ぶらぶらと揺れていた




私も行くー!! ベスと私を離さないで・・・・

叫んだけど、私が「逝かないで」と言ったことに

応えようと、先生も必死だった




離れていた時間はほんの数分だったと思う



しばらくして、処置室の奥から二階に上がった所にある手術室に案内された




そこには、気管内挿管され


心臓マッサージをされ


大きく体を揺らしながら横たわるベスがいた








今度は冷静に、自分の目で心電図も確認した



先生、ありがとうございました

もう・・・もう、やめてください・・・



やっと言えた言葉だった












ベスはこれ以上ないほどに

上手に、穏やかに逝こうとした







それなのに、私が邪魔をしてしまった






ごめんね、ベス





低血糖にも、早く気付いてあげられなくてごめんね

犬の低血糖の症状を知らなかった・・・

私の判断ミスだったような気がして

自責の念で潰れそうだった






でも、最後の最後に、近所で信頼できる先生に出会えた

出来ることは全てしてくれた

アロハの先生への相談は続けたいという私の希望も聞いてくれた

感謝の気持ちでいっぱいだった






ベスの身体をきれいにしてもらったあと

家に連れて帰った

病院を出たのが、10:30頃だったと思う









ベスは穏やかに、

激しく痛がること、呼吸を荒げて苦しむこともなく

旅立つことができた

三人そろっているときに・・・




あの、ハッという呼吸をしたときに、べスは逝ったのだと思う

だとしたら

挿管や心臓マッサージの苦しみを感じずに済んだんじゃないかと思う



私の腕枕の中で、深い呼吸と同時に逝った

これは、きっと間違っていないと思う・・・








この時が、ベスが選んだ時だったのだろうか・・・

低血糖にならなければ

本当は、あと数日生きられたんじゃないか

ここだけは、今でも確信が持てない









私は、動かなくなったベスを見て

どうしようもない淋しさで涙が止まらなかった



そんな時に、おっさんが

「ベス、三人一緒だったから安心して逝けたね、怖くなかったね。」

って言った。





この言葉で、目が覚めたような気がした



家族三人で過ごす時間が大好きだったベス

二人散歩と三人散歩では、明らかにテンションが違っていた

一人だけ先に旅立つということを自覚し始めた時

どれだけ不安だっただろう

どれだけ淋しかっただろう







それでも、あの瞬間、

場所は病院だったけど

診察室という狭い個室で

三人だけで穏やかな時間を過ごした時だった





今なら、私も言ってあげられる・・・

ベスちゃん、怖くなかったね

立派だったよ

三人一緒にいる時を選んでくれて

ありがとう










コメント (2)
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