特殊なケースを除きまして、だいたいの子供というのは祝福されてこの世に生まれて来ます。
生まれてきてくれてありがとう。
存在してくれてありがとう。
貴方は特別な存在であり、なによりも大切な宝物です。
そして貴方を中心とした環境が用意されます。
貴方が笑ってくれる、貴方が興味を引いてくれる。
それが何よりもの善行であり、周りの人間が望んでいる姿。
何かあっても周りの大人が悪いんであって、貴方はまったく悪くない。
貴方の優先順位は常に最高であり、貴方以外の事は後回し。
そういった環境がしばらく続きます。
そんなある日の事、貴方が小学生になると異変が生じます。
常に最上位の存在だった自分が「クラスの人間はみんな平等」という環境に置かれるのです。
誰よりも優先されたはずの自分が誰かと「平等」。
そういう「格下げ」を受けるのです。
それでも自分が子供というだけで、周りの人間は特別扱いをしてくれます。
特別な王様だったのが貴族の一人になった。
そんな環境への変化でしょうか。
それが中学生になった時、さらなる変化が生まれます。
これは環境もそうですが自分自身が変わってしまう事が大きいです。
小学生の頃にあった疑似的な恋愛ではなく、本格的な肉欲を含む恋愛感を持つようになり、圧倒的な差が生まれてくるのです。
自分の欲望の範囲が食べ物やオモチャだった頃は、周りの大人がなんとか手配してくれたでしょう。
欲しいオモチャが手に入らずとも代用品を大人が頭を下げて差し出してくれました。
しかし、恋人、さらに恋人に興味を惹かれるための容姿や能力は周りの人は用意してくれません。
小学校中盤あたりから薄々気が付き始めていた「格下扱い」というものが中学生になって決定的に表れるのです。
0歳~3歳に形成された「貴方が喜んでくれるのが世界の喜び」という心の土台の基礎部分がガラガラと破壊されて行く。
その時、貴方は思うのです。
「間違った世界に自分は居る」
「本当の自分はこうである」
「自分には特殊な能力がある」
そう、これが中二病の発症である。
しばらく時が経ち、現実の世界を心の土台の基礎部分として入れ替えが完了すれば病気は収まります。
重症化すればわかりやすく完治も早いですが、軽症の場合、長引く事がままあります。
心のどこかに「本当の自分はこんなんじゃない、もっと特別な存在なんだ」と抱えながら大人になり、他人よりちょっと優遇されないと間違っていると感じる。
自分の価値が10だと自覚はしているが「特別な存在」だから「主人公補正」で90ほど加算され、自分には100の価値があると漠然と信じている。
その「特別な存在」という土台は、過去に親が用意したものであって、スピリチュアルなものでは無い事を理解しなければなりません。
価値が10であれば、10は10であり、なんの補正もないのです。
子育てはどんなに甘々でも構いません。
しかし中学生になったら自分の価値に「主人公補正」は無いということを自覚する。
事実の自分の価値を理解し、どの能力を上げれば自分が望む将来になるかを組み立てる。
それが大事だと思います。