パート①からの続き。10:38からの部分になります。
【母親が入院している病院へ亦晨が運び込まれ、そこへ小辰が駆けつける。】
小辰 亦晨・・・!
亦晨 兄さん・・・
【ストレッチャーに横たわる亦晨の手を握りしめる小辰。】
小辰 どうしたんだ、何があった?
亦晨 何も・・・。 ちょっと、足が動かなくて。
【小辰が医師に尋ねる。】
小辰 先生! 弟に何が起こったんですか?
医師 彼の足は、一時的に麻痺しています。 いつ回復するかは、わかりません。
小辰 それはどういう意味ですか!?
医師 簡単に言えば、彼の足は動きません。
【衝撃のあまり、よろめく小辰。】
小辰 ・・・いったい、どうしてこんなことに・・・
【その呟きに答えるように、泰朗の視線が陸風に向けられる。それを目で追う小辰。】
【やりきれない表情で、陸風が説明する。】
陸風 俺が亦晨を押しのけたら・・・。
でもきっと、いい医者を見つけるから! どれだけ時間がかかっても、必ず探し出すから!
俺にできることはすべてするよ!
泰朗 治療費はすべて俺が払う! お前のカネなんかいらない!
【言いざま、陸風を殴りつける泰朗。 しかし、陸風は抵抗しない。】
亦晨 泰朗・・・落ち着いて。
【泰明をなだめる亦晨。 その手を握って、】
泰朗 行こう・・・。
【ストレッチャーを押し、立ち去ろうとする小辰に陸風が呼びかける。】
陸風 小辰・・・
【立ち止まり、悲しげな表情の小辰。】
小辰 ・・・帰ってくれ・・・。
ここから、消えてくれ!
【そう告げ、小辰は立ち去っていく。 一人取り残される陸風・・・。】
【母親の病室。 看護師が母親の点滴を取り換えながら話す。】
看護師 峠は越えましたが、まだ一人で動き回ることはできません。
ベッドで安静にしていてください。 食事はお持ちしますので。
【そう告げると、看護師が部屋から出ていく。】
【隣のベッドの入院患者のところに娘が来ていて、二人で話している内容が母親の耳に聞こえてくる。】
患者 彼女はとても可哀想なの。
彼女は病気、そして下の息子さんは足が麻痺して入院してるの。
上の息子さんは、彼女と弟、二人の面倒をここでみてるのよ。 大変よねぇ。
娘 ほんとねぇ・・・。
【亦晨まで入院していることを知り、驚いた母親がベッドから降りて歩き出す。】
【院内を歩き回っていると、小辰が二人分の食事を持って歩いていくのを見つけ、後をつける。】
【亦晨の病室へ入っていく小辰。 その光景を見て愕然とする母親。】
小辰 亦晨、食事持ってきたよ。 食べよう。
【亦晨の介護をする小辰たちの姿を見て、涙を流し嗚咽する母親。】
小辰 泰朗、顔洗ってこいよ。
【泰朗が洗面所へ向かうためこちらへ歩いてくるのを見て、慌てて涙をふきながら隠れる母親。】
亦晨 兄さん、もう母さんへ食事は持って行ったの?
小辰 まだだ。 後で持っていくよ。
【よろめきながら、母親は自分の病室へ戻っていく。】
【母親のベッドサイドでうたた寝をしている小辰。握っていた母親の手が動いて目が覚める。】
小辰 母さん・・・どうかした?
母親 亦晨は・・・もう足が動かないの?
小辰 ・・・・・・(しばし何も言えない)
・・・そんなことないよ。 泰朗が東京で最高の医者を見つけてくれたんだ。
東京へ行けばすぐ治るよ。 絶対治る!
【じっと聞いていた母親が、小辰の頬に手をやって】
母親 小辰・・・痩せたわね。 体を大事にしなきゃだめよ。
あなたも亦晨も、体には気をつけなさい。 母さんの言うことをちゃんと聞いて。
小辰、結婚しなさい。 そして家庭を持つの。 子供も作って。
・・・そういう人生を送りなさい・・・。
【そして、母親の意識がなくなる。】
小辰 ・・・母さん? 母さん!? 母さん!!
看護師さん、先生! 誰か!! 母さん!!(ナースコールを押し続ける)
【母親の手を握りしめたまま】
小辰 わかったよ母さん・・・約束するよ。 約束するから・・・母さん・・・!
【やがて看護師と医師が駆けつける。】
看護師 ちょっとどいてください!(と言って小辰を母親から引き離す)
小辰 母さん・・・母さん・・・!
【ちょうどそのとき、階下の亦晨も母親の異変を感じたのか、】
亦晨 ・・・母さん・・・?
泰朗 亦晨? どうかしたのか?
【医師が、小辰に告げる。】
医師 全力を尽くしましたが、残念なことです。 午前2時5分、息をお引き取りになりました。
小辰 母さん・・・!!
【路上。 車に乗った小辰が前方を睨んでいる。 そこへ陸風の車が停まり、陸風が車から降りてくる。】
【ひたすら陸風を凝視する小辰。 やがて、陸風めがけ一気にアクセルを踏み込む。】
【が、直前で急ブレーキをかけ、車は陸風の眼前で停まった。 ハンドルに突っ伏して荒く息をもらす小辰。】
【陸風が運転席の窓を叩く。 小辰がウインドウを開ける。】
陸風 俺を殺したいと思ってるなら、なぜブレーキを踏んだ?
小辰 ・・・・・・
陸風 小辰、本当にすまない。 おまえの母さんが亡くなったこと・・・。
どうやって償えばいい?
俺が車に轢かれれば気が済むのか?
小辰 ・・・そうだ!
陸風 ・・・おまえが、そう望むなら・・・。
【おもむろに車道へ歩き出す陸風。 やがて、走ってきた車に陸風が撥ねられ、目を見開く小辰。】
【病室のベッドに、包帯を巻かれた陸風が横たわっている。 傍らには父親と姉がいる。】
父親 おまえは何を言ってるのかわかってるのか?
おまえが約束を守らないと言うのなら、俺はおまえを息子として認めない。
家からも金は出さんからな!
陸風 俺はもうすべてを捨てる。 彼女と結婚はできない。 誰とも一緒にならない。
ル家とも関係ない。 だから、ル家の恥にもならない。
父親 このろくでなし!
【近くにあった花瓶を父親が投げつけようとするのを、姉が止める。】
姉 お父さん、やめて!
父親 俺はそんな息子を持った覚えはない。 医療費も自分で払え!
【そう言い捨てて父親が病室から出ていく。】
姉 なぜお父さんにあんなことを言ったの?
陸風 俺は言いたいことを言っただけだ。 おかげで気分がいい。
【姉はそれ以上何も言わず、かわりに一通の案内状を手渡す。 それは小辰とランの結婚招待状だった。】
陸風 ラン・・・上出来だ。 ハイレベルな女性だ。
【独り言のように呟く陸風。 不意に手にしていた指輪が床に落ちる。 拾おうと手を伸ばすと、姉が拾い上げてくれる。】
姉 小辰は、もうあなたとの関係は終わりにしたのよ。 あなたはいつまで自分を苦しめるの?
お父さんに謝って許してもらいなさい。
陸風 俺は謝らない。 俺は誰の命令も受けない。
俺は陸風、奈落の底から這い上がってやる!
パート②終了~☆(24:21までの分です) パート③へ続きます♪
【母親が入院している病院へ亦晨が運び込まれ、そこへ小辰が駆けつける。】
小辰 亦晨・・・!
亦晨 兄さん・・・
【ストレッチャーに横たわる亦晨の手を握りしめる小辰。】
小辰 どうしたんだ、何があった?
亦晨 何も・・・。 ちょっと、足が動かなくて。
【小辰が医師に尋ねる。】
小辰 先生! 弟に何が起こったんですか?
医師 彼の足は、一時的に麻痺しています。 いつ回復するかは、わかりません。
小辰 それはどういう意味ですか!?
医師 簡単に言えば、彼の足は動きません。
【衝撃のあまり、よろめく小辰。】
小辰 ・・・いったい、どうしてこんなことに・・・
【その呟きに答えるように、泰朗の視線が陸風に向けられる。それを目で追う小辰。】
【やりきれない表情で、陸風が説明する。】
陸風 俺が亦晨を押しのけたら・・・。
でもきっと、いい医者を見つけるから! どれだけ時間がかかっても、必ず探し出すから!
俺にできることはすべてするよ!
泰朗 治療費はすべて俺が払う! お前のカネなんかいらない!
【言いざま、陸風を殴りつける泰朗。 しかし、陸風は抵抗しない。】
亦晨 泰朗・・・落ち着いて。
【泰明をなだめる亦晨。 その手を握って、】
泰朗 行こう・・・。
【ストレッチャーを押し、立ち去ろうとする小辰に陸風が呼びかける。】
陸風 小辰・・・
【立ち止まり、悲しげな表情の小辰。】
小辰 ・・・帰ってくれ・・・。
ここから、消えてくれ!
【そう告げ、小辰は立ち去っていく。 一人取り残される陸風・・・。】
【母親の病室。 看護師が母親の点滴を取り換えながら話す。】
看護師 峠は越えましたが、まだ一人で動き回ることはできません。
ベッドで安静にしていてください。 食事はお持ちしますので。
【そう告げると、看護師が部屋から出ていく。】
【隣のベッドの入院患者のところに娘が来ていて、二人で話している内容が母親の耳に聞こえてくる。】
患者 彼女はとても可哀想なの。
彼女は病気、そして下の息子さんは足が麻痺して入院してるの。
上の息子さんは、彼女と弟、二人の面倒をここでみてるのよ。 大変よねぇ。
娘 ほんとねぇ・・・。
【亦晨まで入院していることを知り、驚いた母親がベッドから降りて歩き出す。】
【院内を歩き回っていると、小辰が二人分の食事を持って歩いていくのを見つけ、後をつける。】
【亦晨の病室へ入っていく小辰。 その光景を見て愕然とする母親。】
小辰 亦晨、食事持ってきたよ。 食べよう。
【亦晨の介護をする小辰たちの姿を見て、涙を流し嗚咽する母親。】
小辰 泰朗、顔洗ってこいよ。
【泰朗が洗面所へ向かうためこちらへ歩いてくるのを見て、慌てて涙をふきながら隠れる母親。】
亦晨 兄さん、もう母さんへ食事は持って行ったの?
小辰 まだだ。 後で持っていくよ。
【よろめきながら、母親は自分の病室へ戻っていく。】
【母親のベッドサイドでうたた寝をしている小辰。握っていた母親の手が動いて目が覚める。】
小辰 母さん・・・どうかした?
母親 亦晨は・・・もう足が動かないの?
小辰 ・・・・・・(しばし何も言えない)
・・・そんなことないよ。 泰朗が東京で最高の医者を見つけてくれたんだ。
東京へ行けばすぐ治るよ。 絶対治る!
【じっと聞いていた母親が、小辰の頬に手をやって】
母親 小辰・・・痩せたわね。 体を大事にしなきゃだめよ。
あなたも亦晨も、体には気をつけなさい。 母さんの言うことをちゃんと聞いて。
小辰、結婚しなさい。 そして家庭を持つの。 子供も作って。
・・・そういう人生を送りなさい・・・。
【そして、母親の意識がなくなる。】
小辰 ・・・母さん? 母さん!? 母さん!!
看護師さん、先生! 誰か!! 母さん!!(ナースコールを押し続ける)
【母親の手を握りしめたまま】
小辰 わかったよ母さん・・・約束するよ。 約束するから・・・母さん・・・!
【やがて看護師と医師が駆けつける。】
看護師 ちょっとどいてください!(と言って小辰を母親から引き離す)
小辰 母さん・・・母さん・・・!
【ちょうどそのとき、階下の亦晨も母親の異変を感じたのか、】
亦晨 ・・・母さん・・・?
泰朗 亦晨? どうかしたのか?
【医師が、小辰に告げる。】
医師 全力を尽くしましたが、残念なことです。 午前2時5分、息をお引き取りになりました。
小辰 母さん・・・!!
【路上。 車に乗った小辰が前方を睨んでいる。 そこへ陸風の車が停まり、陸風が車から降りてくる。】
【ひたすら陸風を凝視する小辰。 やがて、陸風めがけ一気にアクセルを踏み込む。】
【が、直前で急ブレーキをかけ、車は陸風の眼前で停まった。 ハンドルに突っ伏して荒く息をもらす小辰。】
【陸風が運転席の窓を叩く。 小辰がウインドウを開ける。】
陸風 俺を殺したいと思ってるなら、なぜブレーキを踏んだ?
小辰 ・・・・・・
陸風 小辰、本当にすまない。 おまえの母さんが亡くなったこと・・・。
どうやって償えばいい?
俺が車に轢かれれば気が済むのか?
小辰 ・・・そうだ!
陸風 ・・・おまえが、そう望むなら・・・。
【おもむろに車道へ歩き出す陸風。 やがて、走ってきた車に陸風が撥ねられ、目を見開く小辰。】
【病室のベッドに、包帯を巻かれた陸風が横たわっている。 傍らには父親と姉がいる。】
父親 おまえは何を言ってるのかわかってるのか?
おまえが約束を守らないと言うのなら、俺はおまえを息子として認めない。
家からも金は出さんからな!
陸風 俺はもうすべてを捨てる。 彼女と結婚はできない。 誰とも一緒にならない。
ル家とも関係ない。 だから、ル家の恥にもならない。
父親 このろくでなし!
【近くにあった花瓶を父親が投げつけようとするのを、姉が止める。】
姉 お父さん、やめて!
父親 俺はそんな息子を持った覚えはない。 医療費も自分で払え!
【そう言い捨てて父親が病室から出ていく。】
姉 なぜお父さんにあんなことを言ったの?
陸風 俺は言いたいことを言っただけだ。 おかげで気分がいい。
【姉はそれ以上何も言わず、かわりに一通の案内状を手渡す。 それは小辰とランの結婚招待状だった。】
陸風 ラン・・・上出来だ。 ハイレベルな女性だ。
【独り言のように呟く陸風。 不意に手にしていた指輪が床に落ちる。 拾おうと手を伸ばすと、姉が拾い上げてくれる。】
姉 小辰は、もうあなたとの関係は終わりにしたのよ。 あなたはいつまで自分を苦しめるの?
お父さんに謝って許してもらいなさい。
陸風 俺は謝らない。 俺は誰の命令も受けない。
俺は陸風、奈落の底から這い上がってやる!
パート②終了~☆(24:21までの分です) パート③へ続きます♪