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kakaaの徒然な日記

日記がわりにときどき、ふと思いついたことをつぶやきます。

覇権か、さもなくば戦争と宣言したワシントン

2018-03-28 16:38:44 | アメリカ情勢

覇権か、さもなくば戦争と宣言したワシントン

http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2018/03/post-c20b.html

2018年3月24日
Paul Craig Roberts

証拠と法律を基本にして、欧米に対処しようとするロシア政府の努力は無駄だというスティーブン・レンドマン(下記記事)に私は同意する。欧米の外交政策はただ一つであり、それはワシントンの政策だ。ワシントン“外交”は、ウソと武力だけで構成されている。事実と証拠と法律を基本にして、欧米と外交的に取り組もうとするのは、ロシアにとっては理にかなった決定だったが、役に立たなかった。このうまく行かなかった路線を、ロシアが継続するのは、ロシアだけでなく、全世界にとって危険だ。

実際、“欧米のパートナー”に関するロシアの自己欺瞞以上に、世界にとって危険なものはない。ロシアには欧米敵国しかいないのだ。これらの敵は、ワシントンの単独行動主義に対する、ロシア(と中国)の抑制を除去することを狙っている。スクリパリ毒ガス攻撃や、シリアの化学兵器や、マレーシア旅客機のような欧米が仕掛ける様々な出来事や、ロシアのウクライナ侵略のようなぬれぎぬは、ロシアを孤立化させ、ロシアのあらゆる影響力を否定し、無頓着な欧米諸国民を、ロシアとの紛争に備えさせるために欧米が断固決意している狙いの一環だ。

戦争を避けるために、ロシアは、欧米から目を離さずに、背中を向け、ぬれぎぬに対応するのを止め、欧米の全ての大使館や、欧米投資を含め他のありとあらゆる存在を追い出し、中国と東方との関係に集中すべきなのだ。ロシアが、欧米との相互利益を追求しようとしても、画策された出来事を更に招くことにしかならない。ロシア政府がシリア解放を完了し損ねたことで、ワシントンが、そこから紛争を再開するシリア領土を得てしまった。ルハンスクとドネツクをロシアが受け入れ損ねたことで、ワシントンに、ウクライナ軍に武器を与え、訓練し、ウクライナのロシア人に対する攻撃を再開する機会を与えてしまった。ワシントンは、その対ロシア戦争のために、多くの代理軍を得ており、ロシアを消耗させるために連中を利用するつもりだ。イスラエルは、ワシントンに、イラン攻撃を再開するよう要求し、トランプは、それに応じつつある。ロシアは、シリアやイランやドネツクとルハンスク共和国に対する同時攻撃や、ソ連の元中央アジア共和国諸国内の問題や、ワシントンとNATOによる非難の激化に直面しているのだ。

トランプの国家安全保障問題担当補佐官ジョン・ボルトンなどの狂ったネオコンは、ロシアは重圧に屈し、平和を求めて、アメリカ覇権を受け入れると考えている。もしこの前提が間違っていれば、ロシアに対する、ワシントンの敵対的行動の結果は、核戦争になる可能性が高い。スティーブン・レンドマンと私が主張している立場は、ワシントン側でも、ロシア側でもなく、核戦争に反対する人類とあらゆる生命の立場だ。

1992年のウォルフォウィッツ・ドクトリンで明快に述べられているアメリカ覇権を、ロシア政府が一体どうして無視できるのかは謎だ。ウォルフォウィッツ・ドクトリンは、アメリカの第一目標は“旧ソ連地域であれ、他の場所であれ、かつてソ連が引き起こしていた規模の脅威をもたらす新たなライバルの再登場を防ぐことだ”と述べている。ドクトリンはこう強調している“これは新たな地域防衛戦略の根底にある主要な考え方であり、統合的に管理すればグローバル・パワーを生み出すに十分な資源がある地域を、いかなる敵対的勢力にも支配させないよう、我々は尽力しなければならない”。中東と南西アジアで、ワシントンの“全体目標は、地域における支配的外部勢力であり続け、アメリカと欧米による地域の石油入手を確保することだ”。ドクトリンは、アメリカは南アジアにおけるインドの“覇権の野望”とされるものを抑えるべく行動するとも述べ、軍事介入が必要になるキューバや中国との紛争の可能性を警告している。

“脅威”という言葉で、ウォルフォウィッツは軍事的脅威を言っているわけではない。“脅威”という言葉で彼が意味しているのは、ワシントンの単独行動主義を抑制する多極世界だ。アメリカは、アメリカ単独行動主義に代わるいかなるものも許容しないと述べている。ドクトリンは、ワシントンは全世界に対する覇権を狙っているという声明なのだ。このドクトリンに対する拒絶は皆無だ。実際、ロシアに対する数々のぬれぎぬと、ロシア指導者の悪者化や、シリア、イラク、アフガニスタン、リビア、ソマリア、イエメン、ベネズエラ、中国、イランや北朝鮮にたいするぬれぎぬで、我々はその実施を目にしているのだ。

もしロシアが欧米の一員になりたいのであれば、その代償は、ワシントンの傀儡ヨーロッパ諸国を特徴付けている同じ主権の喪失であることを、ロシアは認識すべきだ。

ネオコンによるワシントン乗っ取り完了

スティーブン・レンドマン
http://stephenlendman.org/2018/03/neocon-takeover-washington-completed/

ポンペオが国務大臣、ボルトンがトランプの国家安全保障問題担当補佐官となったことで、ネオコンによるトランプの地政学的計画乗っ取りが完了した。ウオール街は内政を運営している。

二人の組み合わせは、世界の平和と安定にとって大きな後退を示している。より大規模な侵略が行われる可能性が高く、社会正義に対して、ネオリベラルのとげとげしさが勝利したこととあいまって、気のめいる恐ろしい事態になっている。

今後何が予想されるだろう? シリアでの戦争は、下火になるより、エスカレートする可能性が高く、思いも寄らないアメリカ/ロシア対決は、不気味にも起こり得るのだ。

イラン核合意は、失敗する運命か、安全保障理事会常任理事国のイギリス、フランスと、更にドイツの熱意に欠ける無力な反対だけで、ワシントンに骨抜きにされる同じことが実現する可能性が高い。

十分な圧力をかけられると、EUは、ワシントンの意思に屈することが多い。

比較的穏やかなウクライナ時代は、アメリカが、攻撃を支援するのに、重火器を供与し、訓練を施したことで、より大規模な対ドンバス・キエフ戦争として暴発しかねない。

金正恩/トランプ・サミットは、アメリカの敵対的行動を、朝鮮民主主義人民共和国のせいだと偽って、朝鮮半島の瀬戸際状態から引き返すのに失敗する可能性が高い。

またしても、ワシントンは決して信用できず、帝国主義の諸目的と矛盾する場合、ワシントンの誓約は常に破られることを証明することになるだろう。

中国とのあり得る貿易戦争は、両国にも、世界経済にも経済的に害を及ぼし、大いに不安定化をもたらす。

欧米諸国が、起きたことに、モスクワは全く無関係であることを知りながらも、スクリパリ事件を巡り、更なるEU/アメリカ経済制裁や、他の過酷な措置が、ロシアに科され、ロシアを孤立化させる企みをエスカレートし、経済的損害を負わせる可能性が高い。

テリーザ・メイ率いる保守党は、事件を巡って、ロシアに対する厳しい動きを検討している。他のヨーロッパ諸国もワシントンも同じだ。

金曜日、国務省のヘザー・ナウアート報道官は“わが国の同盟国との連帯を示し、その国際規範と協定の明らかな違反の責任をロシアに取らせるため”、トランプ政権はスクリパリ事件を巡って、モスクワに対する様々な選択肢を検討していると述べた。

何の違反も起きていないのに。アメリカ外交政策を運営しているネオコンは、連中の帝国主義の目標が、事実や法の支配という原則で、危うくなるようなことにはさせないのだ。

テリーザ・メイは、アンゲラ・メルケルとエマニュエル・マクロンに、スクリパリ事件のこれまでのイギリス捜査のでっちあげ結果を提供した - イギリスの主張が、がらくたに過ぎないことを知りながら、彼らにぬれぎぬに“十分根拠がある”と“説得するため”に。

マクロンは、スクリパリに起きたことに対し、クレムリンの有責性以外“納得できる説明はあり得ない”という嘆かわしい声明を出した。

世界という舞台で、トランプは彼を支配している闇の勢力ネオコンの人質だ。ロシアや中国や他の主権ある独立国家との関係は改善するのではなく、悪化する可能性が高い。

思いも寄らない核戦争が不気味な可能性として残っている。ロシアの唯一の選択肢は、中国や他の同盟国との同盟を足場にし、ロシア主権に対する、アメリカ率いる欧米のとげとげしさに対し、断固対応するよう専心していることだ。

ロシアがワシントンやイギリスとの関係を改善する可能性は事実上存在しない。それを追求してもむなしい。

ドイツや他のヨーロッパ諸国がロシア・エネルギー、主にガスに依存していることが、これらの国々と事態を改善するためのかすかな望みだ。

先を見ると、世界の平和と安定の見込みは暗い。アメリカが主導するロシアに対する欧米の敵意は、偶然、あるいは故意で、あからさまな衝突を招きかねない。

思いも寄らないことが現実になりかねないのだ。モスクワが直面している本当の危険を考えれば、準備こそ、モスクワの最優先事項であるべきだ。

私の新しいウェブ・サイトをご覧願いたい。stephenlendman.org (Home - スティーブン・レンドマン)。 lendmanstephen@sbcglobal.netで連絡できる。

私が編集者、寄稿者となっている新刊書名は“Flashpoint in Ukraina: How America Drive for hegemony Risks WW III”。

http://www.claritypress.com/LendmanIII.html

Paul Craig Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼 の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/



記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/03/24/washington-declared-hegemony-war/

_________

与党議員と佐川氏の茶番質疑。まるで何度も稽古したような円滑な流れ。

証人喚問で補佐人を務めた弁護士は元検事。小渕優子元経済産業相事務所の政治資金規正法違反事件や、甘利明元経済再生担当相らがあっせん利得処罰法違反の疑いで刑事告発され不起訴となった事件の弁護を担当。しっかり与党とつながっている。

改竄文書を基にした質疑・報道の上で行なわれた昨年総選挙は改竄選挙。正当性皆無。

数日前の国会中継で、舟山康江議員が、TPPと、経済連携協定の問題点を提起していた。
EUとの経済連携協定について、日本政府は、48ページしか情報公開していないという。
一方、EUは1000ページを超える情報を公開している。由らしむべし知らしむべからず。

TPPと森友文書》舟山康江・民進党【国会中継 参議院 予算委員会】平成30年3月26日
https://www.youtube.com/watch?v=mEc004ymDt4

大本営広報部は、TPPや経済連携協定について提灯持ち呆導のみ。有害無益。
2018年3月28日 (水) NATO, Stephen Lendman, アメリカ, トランプ大統領, ポール・クレイグ・ロバーツ, ロシア | 固定リンク
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プエルト・リコ(海坊主さんのコメント)

2018-03-14 17:50:32 | アメリカ情勢


プエルト・リコ(海坊主さんのコメント)
2018-03-12 22:04:32 | 日記・エッセイ・コラム
 プエルト・リコの復興の現状に関連して、海坊主さんから重要なコメントを戴きました。ただ投稿の場所が2012年4月11日付のブログ『神妙な顔で謝る男(3)』ですので、皆さんに読んでいただく為に、ここに転載します:
**********
プエルト・リコに見るニューオーリンズとハイチへの道 (海坊主)
2018-03-11 16:33:23
 2017年9月にハリケーン「マリア」の直撃を受けたプエルト・リコの復興は依然として進んでいません。住民が米国民であるのに関わらず、その米国の健康基準を満たし得ない不衛生な水での生活を強いさせられています。これは、あたかも大地震を被災したハイチの姿と重なります。被災後のハイチがどう扱われてきたのか、この『私の闇の奥』の過去の記事群から私たちは知り得ます。

 被災後のハイチは国際的な援助を受けるもそのほとんどが現地住民の手に渡る事はなく、現地の復興もなおざりに、長きに渡り粗末なキャンプで不衛生な生活を強いられました(性暴力、人身売買なども発生)。そしてコレラの蔓延を許し、多く人々が病に倒れ亡くなりました。今でも復興の兆しが見えていません。圧政を敷いたかつての独裁者はしれっと帰国し、米国の息のかかった支配者がハイチの将来を握るという有様です。米国の強い干渉下にあるとはいえ、仮にも主権を持った独立国家ハイチに起きていることであり、ハイチの人々がハイチの為に立ち上がるのを私は強く願うのみです。

 しかし、プエルト・リコは米国自治領で米国政府が責任を持って事態収拾に努めなければなりません。しかし、このプエルト・リコといい、ハリケーン「カトリーナ」で被災したニューオーリンズといい、災害発生当初の事態収拾へのアクションは緩慢で決して満足いくものではないと思われます。この二つの地域に共通するのは、被災前の経済活動は停滞期に入っていた、という点でしょう。するとこう考えることができます。機会便乗型、惨事便乗型の復興の場にしよう、と。被災した住民は潜在的な扇動者・暴動者なのでとっとと退場してもらい、空いた土地をグランドゼロにして一から新たな都市計画に基づいて復興してしまおう、と。

 レベッカ・ソルニット氏の「災害ユートピア」を読まれた方は、被災直後のニューオーリンズで住民達がどう扱われたかを知っています。ハリケーンから10年後、ニューオーリンズは「起業のまち」として復興を果たしたと言います。かつてのニューオーリンズといえば黒人の多い南部の町、ジャズの聖地として名高いものでしたが、多くの住民が黒人であることが指し示すように経済的には貧しい地域だったでしょう。その貧しき被災者たちは復興したニューオーリンズに以前と同じレベルの暮らしを得ることが出来たのでしょうか。
 現在、プエルト・リコが置かれて居る状況はかつてのニューオーリンズでありハイチであると私は思います。数年後にプエルト・リコが見違えるように復興したとしても、おそらく被災住民でその恩恵に預かるのは一部で、多くの貧しき人々には悲惨な未来が待っていると思います。その上、ハリケーンの被災以前から問題視されていた石炭火力発電所の廃棄物問題はそのまま現存し、プエルト・リコの人々が安全な飲料水にアクセス出来ずにいます。未来に渡っての健康被害は深刻なものだと思います。

Democracy Now!
"Five Months After Maria, San Juan Mayor Decries “Disaster Capitalism” & Privatization in Puerto Rico"
https://www.democracynow.org/2018/2/19/five_months_after_maria_san_juan

"Toxic Coal Ash Being Dumped in Puerto Rico, Which Already Suffers Worst Drinking Water in the Nation"
https://www.democracynow.org/2018/3/9/toxic_coal_ash_being_dumped_in

 これは米国に限ったことではなく世界中で、日本で起きていることです。福島や熊本に代表される数々の被災地が、今どういう状況下に置かれているでしょうか。つまり、中東、アフリカや中南米などで起きていることを知ることは、日本で起きていることを知ることなのです。
**********
 海坊主さんの結びの言葉:「中東、アフリカや中南米などで起きていることを知ることは、日本で起きていることを知ることなのです。」は至言です。


藤永茂(2018年3月12日)

https://blog.goo.ne.jp/goo1818sigeru/e/2d06fc32fb89e55eb1e5cd6fe93842f9?fm=entry_awp

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産経の「歴史戦」に新たな好敵手現る

2017-10-27 15:31:25 | アメリカ情勢
産経の「歴史戦」に新たな好敵手現る

産経の「歴史戦」に新たな敵国が表れた模様だが、産経はこの「反日本」にどう反応するか

『米国でバカ売れしている「日本叩き本」の正体』トンデモ本が3カ月で50万部も売れた!2016年12月11日ピーター・エニス : 東洋経済 特約記者(在ニューヨーク)

米国で2017年1月にドナルド・トランプ大統領が誕生することを受けて、日米関係の先行きに気を揉む人も少なくないだろう。そんな中、米国では『Killing the Rising Sun: How America Vanquished World War II Japan(日出る国をやっつけろ:米国はどうやって第2次世界大戦で日本を屈服させたか)』というショッキングなタイトルの本が売れ続けている。

保守系政治コメンテーターのビル・オライリー氏らが書いた同書は、今年9月13日に発売された。1945年8月に広島と長崎で行われた原爆投下の正当性を検証するという「歴史書」にもかかわらず、発売初日に10万部を販売。その後も売り上げを伸ばしており、ニールセン・ブックスキャンによると、11月末時点で約49万部も売れている。

10月2日以降、米ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーリストのノンフィクション部門で10週連続で上位をキープしているほか、アマゾンでも12月9日時点で、ベストセラー(総合)の6位にランクインしており、レビューの数は3500件以上に上っている。ちなみに、2014年に発売され経済書としては空前の大ヒットとなった、経済学者トマ・ピケティ氏の「21世紀の資本」は発売から半年で50万部を売ったので、それより早いペースで売れていることになる。

しかし、『Killing the Rising Sun』について、タイムズ紙はおろか、ほとんどどこのメディアも取り上げていない。また、歴史や日本を専門とする学者やジャーナリストでも、読んだという人はほぼ皆無。50万部近くも売れているというのに、メディアでまったく話題にされていないこの本には、いったい何が書かれているのだろうか。

歴史書なのにドラマチック

物語はまず、1939年10月12日、午前10時の米大統領執務室で、時の大統領、フランクリン・ルーズベルトと、ニューディール政策のアドバイザーのひとりであるウォール街の金融マン、アレキサンダー・ザクスが話しているところから始まる。ナチス・ドイツがポーランドへ侵攻し、第二次世界大戦が幕を開けてから6週間。ナチスによる原爆開発が懸念される中、米国も開発を進めるべきだとするアルベルト・アインシュタイン博士による手紙をザクスが読み上げる場面が描かれている。この瞬間、「まさに大量破壊兵器の時代が幕を開けようとしていた」。

ここから舞台は一気に1944年のペリリュー島へと移る。ここでは、ルイス・ケネス・バウセル伍長の目を通して、米海軍によるペリリュー島侵攻の様子が語られている。物語の舞台はその後、米軍と日本軍による戦闘現場や大統領執務室、ときには皇居に移り、旧日本軍による残虐行為や熾烈な戦い、そして原爆投下の決断に至るまでの経緯が描かれていく。登場人物も、米国大統領や多くの米兵、さらには昭和天皇や「原爆の父」と言われるロバート・オッペンハイマーと幅広く、それぞれの思惑が克明に記されている。

同書の特徴は、重苦しい話題をドラマチックに仕立て、読みやすくしている点にある。著者であるオライリー氏とマーティン・デュガード氏は、多くの場面で実際の関係者の言葉を自由に「引用」し、歴史が動いた戦場や執務室、会議室などの様子を描写。これによって、読者は重大な出来事や決断に関与したかのような感覚に陥る。関係者などの言葉は、過去に公表されたものを使っているほか、最近、保守系ラジオ番組に出演した際には、「多くの米兵たちの手紙を参考にしたり、こうした文献を研究している人など、多くの米軍関係者の話を聞いた」とオライリー氏は話している。同書の最後には、5ページにもわたる参考文献が掲載されている。

正しい「史実」が語られているのか

同書はノンフィクションに分類されており、オライリー氏自身も初めに「この本に書かれていることはありのままの事実」と書いているが、これをノンフィクションとして扱うのは違和感がある。同書の中には、多数の歴史的認識の誤りや、歪曲表現が散見される。前述のラジオ番組でも、旧日本軍が第2次世界大戦中に2000万人もの中国人を殺害したという記述の情報源を聞かれ、「1930年代に行われた残虐行為については、米国の新聞もレポートしており、記録として残っている。ただ、米国人の記者がたくさんいた欧州と違って、太平洋諸国にはほとんど記者がいなかったうえ、マッカーサーによる言論統制が厳しくほとんど事実が伝えられていない」と答えている。

さらに、オライリー氏は最終的に米国が原爆投下を決めた背景には、日本古来の「武士道」を重んじる文化が大きく関係していると指摘。日本を降伏させるには核兵器の使用以外に手段はなく、日本侵攻を未然に防ぐことによって多くの命を救うことができたと結論づけている。前述のラジオ番組では、「日本人は極端に熱狂的で狂信的であり、武士道にのっとって天皇のために死ぬような人たちだった。小さな子どもも、女性も含めてみんなそう生きていた」と語っている。つまり、「そういう国民と戦うのは、ドイツ人と戦うのとは話が違う」というわけだ。

もちろん、「原爆投下は正しかった」とする結論はオライリー氏らの主観であり、間違いだとは言えない(実際、2015年の米ピュー・リサーチ・センターの調査では、半数以上の米国人が「正しかった」と答えている)。しかし、たとえばオライリー氏は過去の対談で、日本軍の731部隊などの存在については詳しくないと明かしており、この結論を導き出すまでの歴史的事実にどこまで詳しかったのか疑いが持たれる。

ちなみに、オライリー氏はこの本を書くにあたって、オバマ大統領を含む5人の大統領経験者に、当時の大統領ハリー・トルーマン氏による原爆投下の決断が正しかったかどうか聞いている。これに対して、ジミー・カーター氏とブッシュ親子からは「正しかった」とする手紙が届き、それがそのまま掲載されている(ビル・クリントン氏、オバマ大統領からは返事が来なかった)。

この本の目的はいったい何なのか

この極端な見解が詰まった歴史書を上梓した背景には、今年5月のオバマ大統領による歴史的な広島訪問がある。オライリー氏らの訴えは非常に明確で、ひとつは、原爆投下について謝罪すべきではないということ、もうひとつは、オバマ大統領が考えている「核先制不使用」という新たな政策は断固として拒絶されるべきだということだ。

実はこの本がバカ売れしているのは、それほど不思議ではない。そもそも、オライリー氏は米国人なら誰でも知っている政治コメンテーターで、20年間続いている自らの名前を冠した報道番組「ザ・オライリー・ファクター」は、保守系テレビ局フォックス・ニュースの中で高い視聴率をたたきだしている。同氏による「Killing」シリーズは『Killing the Rising Sun』で6作目で、これまでの作品同様、「この番組を使って本を売り込んでいるのも事実」と、フォックス・ニュースで以前上司だったロジャー・エイルズ氏は言う。

日本人もビックリの当初のタイトル案とは

2011年に1作目が発売された「Killing」シリーズだが、1作目のリンカーン以降、これまでケネディやキリスト、レーガンなが“殺されて”きた。2015年9月に、1981年のロナルド・レーガン元大統領暗殺未遂事件を扱った『Killing Regan』を出版したときには、この事件ではレーガン元大統領は殺されていない、との批判も出た。

AP通信によると、「Killing」シリーズを出版するヘンリー・ホルト社の話では、これまでの発行部数は世界で累計1400万部に上る。「Killing」シリーズは、その正確さについてたびたび疑問が持たれているものの(この点についてオライリー氏は、「歴史的事実が間違っている本が初日で10万部も売れるはずない」と言い切っている)、オライリー氏らは米国で最も読まれている歴史書作家となっているという。

国そのものが「Killing(殺害)」の対象になるのは今回が初めてで、元のタイトルは「Killing Japan」だったと、オライリー氏も認めている。今回、同書が発売された際には、保守系メディアにでさえ「ついに殺す対象がなくなったのか」と揶揄されている。

ここまで売れていると、日米関係への影響も気になるところだが、前述のとおり、少なくとも歴史家や日本専門家などのエリート層はこの本を読んでいないため、米国の戦略担当者における歴史的認識や、今後の対日政策への影響は皆無といっていい。また、共和党寄りとされるフォックス・ニュースには、トランプ氏に近しい人物も少なからずいるが、今のところオライリー氏はトランプ氏と一定の距離を保っており、その影響力は限られていると見られる。

なぜ大手メディアは取り上げないのか

さて、こんなにもヒットになっている本をなぜメディアが取り上げないのか。

歴史的事実の信憑性に疑いがあること、オライリー氏自身が過剰に保守的な側面があり「危険」であることから、取り上げたくないというのは頷ける話ではある(取り上げることで余計に売れる可能性もある)。実際に過去の著作も大した話題になっていない。

が、こうした間違っているかもしれない情報が多くの米国人の手に渡り、読まれているというのは紛れもない事実であり、彼らがこの本を読んでどのような感想や感情を持つのかは日本人ならずとも気になるところだ。

オライリー氏の本を読んだという歴史家や日本専門家を見つけることはできなかったが、こうしたエリート層が無視しているオピニオンリーダーやポピュリストが米国でひそかに支持を広げていることは、トランプ氏が次期大統領に選ばれたことで証明された。エリート層からすれば、オライリー氏や同氏の「Killing」シリーズは、しょせんタブロイドであり、米国の「恥」なのかもしれない。しかし、こうした現象から目を背けることは、今の米国の真の姿から目を背けていることになるのかもしれない。

★注、
オライリー氏はハーバード大学で行政学の修士号を取得。ローカルニュースのニュースキャスターを経た後、ABCやCBSのキャスターとして活躍した経歴を持つ。
日本に当てはめれば小林ヨシノリと百田尚樹と橋下徹と産経新聞を足したような人物なのですから、アメリカでオライリーの「Killing」(殺害)シリーズの6作目「Killing Japan」がベルトセラーになるのは当然だったのである。



『Killing ケネディの情報公開は半年間先送り』6カ月後には有耶無耶にされるのか?


「逝きし世の面影」さまのサイトより
http://blog.goo.ne.jp/syokunin-2008/e/19974ac594758e90fe8d22d7d8d52052
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