いつかのキャバリーマン

だらだら生きていたぐーたら大学生がキャバ○ラ経営者にのし上がる。~人生は20代をどう生きるかで決まる!~

「事件は現場で起こっている!」いつかのキャバリーマン Vol.27

2006年05月18日 | 日記
以前に、キャバクラは日本経済の縮図でその中では数々のドラマが存在するご紹介させていただいた。

今回は、このドラマの一ページである過激な事件をご紹介したい。
そう、僕の心に染み付いている事件。

キャバクラではほぼ毎日事件が起こる。何も無い日はほとんど無い。
だから、長くやってると相当な出来事が起こっても冷静に対処できるようになる。

しかし、この事件だけは冷静になれなかった・・・・


何の変化も無い一日だった。どちらかといえばお客様の入りは好調。
このまま行けば売上はかなり伸びるなーなんて考えていた。

そんな順調な一日も営業が中盤に差し掛かったところある変化が生じた。
3人組みのお客様が理由も無く怒り出した。

店に対して、いろんないわれも無いクレームをつけて来る。
こういうときは、誠意を持ってお客様の言うことを聞き、とにかく平謝りすることが解決に
つながる。平時であればそんな矛盾した対応すべきではないが、相手は大量に酒を飲んでいる。
まともな議論など通用しない相手だ。

何かおかしい・・・・いつものトラブルと違う・・・・と感じた。


こういうときは店長はすぐには出ない。
冷静に対処し、店全体を指揮するために一旦、課長もしくは主任クラスの者が対応し策を練る。
トラブルの責任を負うもしくは、収拾がつかなくなった場合に出て行く。
(これはつらい立場だ、ブログに書けないことが多すぎる・・・)

しかし、このときに限ってそういった事前に準備したトラブル対応策は役に立たなかった。
事態は急変した。対応している従業員はいきなり殴られた。
僕は、警察への通報を指示し、とっさに走って詰め寄り割って入った。

トラブルの対応には自信があった。当時僕は20歳の若僧で怖いものを知らなかった。
今までどんなものも誠意を持って対応すれば何とかなった。
こういうときはいつも心に思うことがある。

「ここで、死ぬことは無いだろう・・・」

大袈裟と思うかもしれないが、キャバクラでのトラブルはそれだけ切迫しており、命懸けだ。
実際、刺される者もいた。そして、「死ぬことは無い・・・」こう考えるとなんだか
吹っ切れて覚悟ができた。


さらに事態は悪化する。
3人組のお客様はボトルを大理石のテーブルに叩きつけ破壊し、振り回し僕に殴りかかる!
逃げられない!やばい!

この時点で店中大パニック! 泣き出すもの続出!
とにかく、僕は泣いてられない。他のお客様とコンパニオン、従業員を安全な場所へ移動させ
3人組みを店の外に出すことに成功した。

そして、店の鍵を閉めた。お客様もコンパニオンも従業員も店の中だ。
僕は、結構殴られたが、幸いボトルで刺されずに済んだ。

他のお客様に謝り、急遽すべてのお客様を30分無料にすることにした。
コンパニオンの中には、腰が抜けて立てないものもいた。
ブルブル震えている。

「もう大丈夫だから、もう大丈夫だから・・・」

普段は元気のいい女の子なのだが・・・声をかけてもどうにもならない。
人は極度の恐怖を感じるとこんなに震えるものなのか。

まだ終わったわけではない。
店の外にまだ暴れた3人組がいる可能性がある。
雑居ビルのテナントで、店の出口は1つしかない。

少し経って、恐る恐る店の鍵を開けて、外の様子を見てみた。

まだ3人組はいる!
向かいの店(競合店にあたる)の入り口でなにやらもめている様子だった。
詳しくはわからない。鍵を閉めて再度110番通報。

「早く来てよ!!」

これほど、時間を長く感じたことはない。たった10分程度なのだが永遠に感じた。
すると、外でドタドタという大きな音が聞こえた。人の叫ぶ声も混じってたと思う。
ドス、ドス、ドスっていう鈍い音が聞こえる。

外はどうなってるんだ??
この状態で店を開けるわけにはいかない。

少しすると、外の騒ぎは収まった。不気味な静けさが残った。
勇気を出して、もう一度鍵を開けて外を覗いた。

その瞬間!!
半径1メートルほど床がドロドロの血まみれになって、ひとりの男が倒れていた。
競合店の店長らしき人だ。

「救急車を呼べ!!」

頭から大量の血を流していた。
僕は蒼ざめた。ひとつ間違えば僕がこうなってたのか!?


もう、3人組はそこにはいなかった。僕は店の安全を確保するため、ビルの屋上から
外のを観察した。どうやら3人組は外に出たらしい。
外でも一般人が何人か殴られて倒れていた。

救急車と警察はやっと到着した。 長かった。
その後、少しして常連さんが来店した。このお客様も突然殴られたらしい。
鼻血を出しながら、明るく

「最近は、飲みに来るのも命懸けやのー」

常連さんには悪いが、僕の極度の緊張は解け、大笑いしてしまった。


警察にはいろいろ事情は聞かれたが、どうせうやむやになってるのだろう。
幸い、競合店の店長は死には至らなかった。が、全部で70針縫ったらしい。

この事件で僕は反省した。
「何かおかしい」と思ったときに110番通報すべきだったのか?
しかし、110番通報をむやみにすると店の営業権にかかわる。
ひとつだけ改善することにした。110番通報は全ての従業員が、危険と判断したときに指示
されなくとも110番通報するようにした。

その事件以来、僕に変化が起こった。
乱闘のトラブルで矢面に立つ必要があるとき、足がすくむのだ。
自分の意思は前に行かねば!と強く思ってるのだが、体が全く言うこと聞かない。
このとき初めて、足がすくむという体験をした。

経験は人を成長させるというが、この事件でいろんなことを学んだと思う。

つづく。
つづく。