小麦句会 on blog

俳句「麦の会」の句会のひとつです。 ネット句会を月二回行っています。 この句会は誰でも参加できます。

第331回小麦句会結果発表

2016年04月09日 07時54分00秒 | 1日句会

 

句会結果発表!!

 

花束から懺悔がにおう春夕焼け  宙虫

〇(道人)色合いからして、還暦祝いであろう花束を敢えて優先席に置く作者の思いは、来し方への後悔なのかも知れない。この後悔はあくまで朧で、春夕焼けと共に消えて行くことであろう。 

 

(選外)(瓦すずめ)一体どんな物語が秘められているのでしょうか?

 

連れ合ひを侍らせ午睡残り鴨   瞳人

 

(選外)(瓦すずめ)午睡は夏の季語で、残り鴨は春の季語なので、ちょっと季節感がわかりづらくなっているかな、と思いました。ただ、残り鴨の描写には好感が持てました

 

永日のいつもの電車退職す  珠子

〇(まきえっと)確かにいつもの電車ですね。ほとんど同じ時間の電車に朝は乗っています。

〇(春生)全体に寂しい雰囲気が流れている。

〇(瓦すずめ)退職の手続きのために、以前は通勤に使っていた電車に乗っているのでしょう。そんな時は窓を見がち、空を見がちですので、永日という言葉もあっていると思います。

〇(餡子)感慨深いものがあるでしょうね。ご苦労様でした。  

〇(瞳人)光陰矢のごとし、です

 

夢のせて出会いと別れ春の駅  多実生

 

春愁を電車に揺らす少女かな   春生

◯ (アゼリア』春愁の少女ー絵になりますね。

〇(敏)春愁を「揺らす」の措辞と、揺らしていたのが「少女」という斡旋に感心しました。

〇(宙虫)「赤いスイートピー」が流れていそうな。アンニュイな感じ。

 

一駅を乗り越し終の桜道     あちゃこ

〇(ルカ)一駅に、哀愁があります。

〇(春生)得したような損したような雰囲気。    

〇(敏)退職に目を付けた作は多くありましたが、「終の桜道」と婉曲に表現したところ、見事と存じました。

〇(仙翁)行き着く先は、山か崖か。乗り越さなければ・・・。

◯(吾郎)そうそう夜桜が沁みるのよ

〇(宙虫)やっぱり帰らなくてはいけないんでしょうね・・・。この場合。

 

花束の緋色三月過ぎ行けり     道人

〇(まきえっと)最近は花束って見かけなくなりましたね。「緋色」が良いと思います。

◯ (アゼリア) 別れの三月が過ぎて、出会いの四月に期待したいと思います。

〇(瓦すずめ)花束と新年度の始まりである四月は似合います。新年度を歓迎する一方で、過ぎ去った時間を想う気持ちが伝わってくるように思います

〇(珠子)お祝いとか感謝の花束なのでしょう。新しい出会いの4月がきます。これからの日々が楽しみですね。

〇(泉)花束の包み紙に着目したのは、驚きました。

〇(アネモネ)物と季語に語らせる俳句の骨法に則った過不足のなさに脱帽です。

〇(宙虫)三月が過ぎるのに緋色がいい感じです。

 

傷心の旅へ出ますと恋の猫   とっきー

〇(呆夢)恋多き猫でも、傷心することってあるのかな。旅に出ても、新しい恋を拾ってきそうですね。

〇(仙翁)失恋したら、次の恋。旅先の恋。

〇(瓦すずめ)必死で声を上げる恋猫が、傷心の旅? どんな様子なんだろうと想像が膨らみます

〇(幹夫)創造的な恋の猫の捉え方だと思いました。

◎(餡子)嗚呼、失恋!青春ですねえ。私にもありました。Sentimental journey。

〇(藤三彩)ネズミ捕りを仕掛けたら、呑気な外猫が黄泉の旅路に逝ってしまった。(○!my GOD_Cat)

 

春夕暮れ喜怒哀楽を託す花  まきえっと

 

朝ぼらけ春の宴の夢の跡   仙翁

〇(呆夢)よっぽど楽しかったのでしょうね。しっかりと目をさまして、今日も頑張ってください。

〇(アネモネ)措辞の下五への落し込みがなかなか。

〇(珠子)夕べは夕べ、今朝は今朝。新しい朝がきましたよ。

 

野遊びの家族乗り込む山手線   春生

◎(アネモネ)上手い。この明るさ好きだなあ。

 

春愁と花束抱え赴任の地  餡子

〇(まきえっと)そういえばもらった花束を持って次の赴任地に来た人もいました。

〇(ルカ)赴任の地、遠くのような気がします。

〇(春生)3月と4月はこんな心持。  

◎(仙翁)どこへ行くのか、宮仕え。うれしくもあり、寂しくもあり。

〇 (多実生) こんな光景を見かけた事は有りましたが、私は出張のみで地方転勤の経験は有りませんでした。

〇(泉)新しい赴任先が、自分の意に反していたのでしょうか。

〇(あちゃこ)写真の情景をストレートに上手く表現されていると思います。赴任の地にドラマ性が感じられます。

〇(藤三彩)単身赴任するに、花束なんぞ頂ける良き時代があったのでしょう。

〇(とっきー)新しい地へ向かう気分は最低。組織に身を置く者の哀愁が漂う。父さん頑張れ❗

〇(瞳人)そういうことって、ありました

 

テロ起きて駅の封鎖や花曇  泉

〇(幹夫)世知辛い世の中になったものです。

〇(餡子)ここのところ、続きますね。日本でも、いつかは、起こるのではないかと危惧しています。

 

(選外)(藤三彩)パリに続きベルギーのテロ、NYの3・11も春間近な頃、句にするに苦や、怒り、そして敵味方を人として愛と楽をどう表現したものやら 

 

春休み光る線路と家族連れ  多実生 

〇(瓦すずめ)「光る線路」がとても良いと思いました。

 

仲春の駅のホームの別れかな   幹夫

 

終電車座席に残る春の花   仙翁

 

リュックには着替えと希望風光る  瓦すずめ

◎(呆夢)希望が目に見えるようで、すっきりした佳句だと思います。

◎(幹夫)風光るの季語が存分に詠まれていると思いました。

〇 (多実生) 希望と解放感が見えます。昔合格を確認した息子が友達と旅に出てしまい、私が仕事帰りに入学手続きに行ったのも思い出です。

◎(藤三彩)何処へ、何で、どうしてとか言わず、それは妻子を振り切るオヤジの単独登行。山ギャルに会いにゆくゾ!ナンテ。

⭕(とっきー)希望が入っていたのでほっとしました。着替えだけではマンガ喫茶で夜をあかすしかない。

 

来し方は乗り継ぎの旅春深む     道人

◎(まきえっと)急停車、急発進もあります。

〇(ルカ)春深むが、実感があっていいですね。

◎ (アゼリア) 乗り継ぎの旅が人間性を深くしてくれそうです。春深むの季語が効いていると思いました。

〇(敏)人生を「乗り継ぎの旅」とした作者の哲学が鮮明です。

〇(仙翁)人生、旅の途上なり。あちらこちらに乗り継ぎて。

〇(餡子)乗り継ぎは、転勤、結婚、巣立ち、などでしょうか。春はこういう別れと出会いの季節 ですね。  

◯(吾郎)乗り継ぎの旅がいいですね

〇(宙虫)旅・・・本当に季節が進む中、ゆったりと・・・旅したい。

 

しらみゆく駅の木椅子に渡り漁夫   アネモネ

〇(呆夢)仕事をひとつなし終えた朝でしょうか。小さな駅のように感じました。

◎(敏)今回の写真から季語「渡り漁夫」を導き出した作者の豊かな想像力に驚きました。

〇(瓦すずめ)朝早くに木の椅子に座っている漁夫。来たに行く列車を待っているのでしょう。その場に近づきたいと思わせる句でした

 

春休み銀河鉄道出た寸前  藤三彩

 

おれおれを待つ老ィ楽や四月馬鹿   瞳人

 

(選外)(瓦すずめ)ご老人がオレオレ詐欺(いまは振り込め詐欺というのでしたか)を楽しそうに待っているというシュチュえーションは面白いです。四月馬鹿にも合っていると思います。ただ「老ィ楽や」の読み方がわかりませんでした。

 

職退けば妻が上司や山笑ふ         アゼリア

〇(まきえっと)笑えます。

〇(春生)これもやむを得ないか。季語が良い。       

〇(道人)定年退職の特別な一日をいつもの電車で帰宅する作者の感慨がよく伝わって来る。下五がすっきりして佳い。

〇(幹夫)退官⇒体感⇒実感ですね。

〇(珠子)まずは、対等であることを心の底から思うべし!

〇(餡子)これからは、、奥様の生活のペースを乱すことの無いように。やや川柳っぽいのですが、「季語」で、決まりましたね。    

◎ (多実生) その通りです。家事に無力な私はただ従うのみです。

〇(泉)私は現役ですが、家庭では家内が上司です(笑)。

〇(あちゃこ)やや川柳的ですが、明るいのがいいな。どんな上司⁉️

〇(藤三彩)都々逸に「惚れた証拠はお前の癖がいつか私の癖になる」年下女房も上司になる連れ合い。

〇(アネモネ)ほんとほんと。妻が上司に納得です。

 

春の風物詩花束とふ忘れ物          アゼリア

〇(珠子)時々、コンサートの手伝いをしていますが、衣装を持ち帰るだけでも大変な女性には、頂いた花束を「よかったらどうぞ」とスタッフに下さる方もいますし、男性には忘れて(落として?)行く方も。送別会などの酒宴で頂いたものは尚更のこと、無事に家までたどりつかない花束は結構ありそうです。風物詩とはちょっと大袈裟ではありますが。

〇 (多実生) 春になり気が緩み勝ちです。忘れ物にはご注意です。

◯(吾郎)モチーフは好き

 

退職の辞令一行夕桜  珠子

〇(ルカ)すっきりしているのに余韻があります。

◎(春生)うれしいような、寂しいような、複雑な気持ち。季語が効いている。

◯ (アゼリア) 語り尽くせない何十年が一行の辞令で終わるのですね。

〇(呆夢)私はまだ退職していませんが、辞令をもらうのはどんな気持ちなのでしょう。夕桜に気持ちが表われているようです。

〇(幹夫)儚さが詠まれています。

〇(餡子)「○○の職を解く(辞す)」だったかな。本当に一行でしたね。でも、これからが第二の人生。やれなかったことに挑戦!してください。まずは、ぶらりと旅にでも!  

◎(泉)長い間、勤務しても退職の辞令は一行です。人生はこの様なものでしょう。

(あちゃこ)確かにそうでした。素っ気なさに哀愁がありますね。

〇(藤三彩)その昔は、紙の辞令をくれたものだが、いつの間にか社内ネットに我が名が載っているかと後輩に聞く仕末。

◎(吾郎)鮮烈なリズムはいいっすね。実感こもってる

◎(宙虫)一行がぴっと走って、けれどぼんやりとした夕桜との対比が不思議な感覚。

 

列車来ず子を宿す夢万愚節     敏

〇(瞳人)どういうことをお詠みになったのか、とおもいつつ、引かれまして

 

置き去りにされし花束春深し  ルカ

〇(仙翁)次の人の手に、渡るのでしょう。

〇(アネモネ)なんのてらいもないストレートな表現。「春深し」がいいですね。

⭕(とっきー)花束捨てたのかしら。彼女に受け取ってもらえなかったのかしら。そんな所に捨てないでもう一人の彼女の所へ持って行けば良いのに。

 

通勤の春は来はるは呑気欝   吾郎

〇(道人)「呑気欝」という造語(?)が眼目。春のひとときの気だるさを大阪弁を交えて俳諧味溢れる回文句に仕上げる力量がすごい。

〇(敏)「春は来はるは」の関西弁? と「呑気鬱」が見合っていて、いかにも俳諧的回文句と思いました。

 

同じ駅同じ時刻を卒業し   呆夢

◎(ルカ)視点が新鮮。

〇(泉)学校を卒業したのでしょう。表現方法が見事だと思います。

〇(あちゃこ)やや散文的ですが、共感の一句。同じ時を過ごす事の幸福感が伝わります。この後別々の道を歩むのでしょう。

〇(珠子)3年間かもしれませんし30数年間かもしれません。決まった時刻に決まった場所で電車を待っていた日々を無事卒業できて本当によかったですね。お疲れさまでした。

〇 (多実生) 何十年も同じ事の繰り返しでしたが、ネクタイも電車に乗る事も少ないこの頃です。

◯(吾郎)そうやって人生は過ぎて行くのかも

〇(宙虫)同じ駅。同じ時刻で一生を送れるひとは数少ないですね・・・。きっと。

 

花冷えや線路微妙に右曲り     敏

〇(呆夢)クスッと笑える句ですね。

〇(仙翁)曲がりに曲がり過ぎ、かも。

 

花冷えの一番線の発車ベル   ルカ

◯(吾郎)これも結構ココロに響くのよ、この時期  

 

春宵やバンザイの声残る駅  餡子

〇(まきえっと)今はないに等しい気がします。でも復活しないかな?

〇(敏)「バンザイ」と「駅」で、思わず第二次世界大戦中の「出征兵士を送る」モノクロ動画を想い起こしてしまいました。

◎(瓦すずめ)出征の時の記憶でしょうか。暖かな夜だからこそ、そうしたことを思い出すのでしょうか

〇(幹夫)春宵の駅のホームに残る余韻が感じられました。

⭕(とっきー)駅でのバンザイには、苦い思い出がある。新婚旅行へ出掛けるとき、見送りに来た親戚、友人、同僚達が発車と同時にバンザイの合唱。車中にいる者はたまらない。新婚旅行バレバレ、身の置き所が無い感じ。今でも日本人のバンザイ好きには拒否反応がある。

◎(瞳人)そういう光景も、最近、つい、見なくなりましたが、左遷という言葉も懐かしく……

 

黄昏に一朶忘れし春の雲   幹夫

◯ (アゼリア)空に視点を向けたところが新鮮でした。

〇(道人)優先席の花束を忘れ物と捉えるかどうかは微妙なるも、花束と春の雲が共鳴して一行詩のよう。

◎(珠子)転勤・退職・卒業・・・諸々、三月の終わりは別れのときでもあります。雲さえも忘れられたように見えてしまったのでしょう。新しい出会いが待っています。

 

職を辞す線路はゆくよ春の野へ    あちゃこ

〇 (多実生) 休日はよく出掛けた山登り、最近は春の野原さえ足が遠のいています。

 

どこまでも続くか線路蛙鳴く   呆夢

 

高齢者席にぽつんとフリージア   アネモネ

 

父と飲む酒や車窓に夕桜  瓦すずめ

〇(あちゃこ)実家に向かう電車の中でしょうか。私の父は下戸でした。

〇(藤三彩)そうゆう酒を交わせる親父がいる幸せは、そうは無い。

 

忘れ得ぬ花束そっと春愁い   藤三彩

◎(道人)還暦祝いの赤い花束を自ら優先席に置いて感慨に耽る作者、時期的に定年退職日と重なったのかも知れない。「そっと」が繊細で詩情豊か。

 

春暁や老婆線路を徘徊す  泉

◎(とっきー)もしかして、そう遠くない将来私にもそんな事が起きるかも知れない。我が家は割と線路に近いので、引っ越さなければと思う。

 

春の夜や人恋う旅の掌を膝に    とっきー

◎(あちゃこ)掌はてと読みました。あえて掌を使ったのは?などと考えつつも、情景と心情をうまく表現され、素晴らしい句だと思います。人恋う旅とは?旅を色々想像して改めて句にチャレンジしてみます。

 

退職の夜の電車がゆく朧   宙虫

〇(ルカ)季語が響いてきました。

〇(春生)すべてが変わる、なんとなくうつろ

◯ (アゼリア) 朧が効いていると思いました。

〇(道人)写真の景は夜ではないが、定年退職日の夜は、行先不明の電車のようになべて朧の世界かも知れない。

〇(泉)人生そのものが、朧だと思います。

〇(アネモネ)遠ざかる電車の灯り。切ないなあ。

 

★★★

たくさんの参加ありがとうございました。

新年度です。

いろいろ周辺も大きく変わる時期ですね。

皆さん、ご自身の周辺も様変わりしていることも多々あると思います。

それにしても、花束と線路(駅)の写真で職に関する句がこれほど出てくるとは。

びっくりしました。

それでは皆さんの感想はコメント欄へ・・・・お待ちしています。

 

宙虫



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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ご苦労様でした ()
2016-04-09 19:31:46
宙虫さん、句会当番のお役目ご苦労様でした。今後とも、よろしくお願いいたします。

広島は桜が満開になった、と思ったら春の嵐でほとんど散ってしまいました。退職や転勤の俳句が多かったですね。行楽とか旅行の俳句は、意外と少なかったと思います。

やはりメンバーの年齢が、定年に絡んで来るのだろうと、納得しました。定年は重いけれど、一つの通過点に過ぎないと思います。
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ありがとうございました (道人)
2016-04-10 09:07:17
宙虫さん 取りまとめお疲れ様でした。それこそ定年の節目のお忙しい時期と重なったのでは?
皆さん 3月は別れの季節ですね。今年の桜は天候にも恵まれ長く楽しめました。まだ前線は北上中、みちのくに行きたいなぁ~
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ありがとうございました (まきえっと)
2016-04-10 17:32:15
宙虫さん、取りまとめありがとうございました。
この季節は複雑な気持ちになります。

今日は箱根の早川の桜を堪能してきました。
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