おはようございます。
良明さん、ようこそ。
どうぞ小麦句会で楽しんでください。
今月は28日。
オリンピックもあってあっという間に過ぎてしまいした。
兼題:春
川渡る素舟に降るや春の雪 泉
○(幹夫)「素舟」とは造語・・・何も飾っていない小舟みたいな意味なのでしょうか。美しい景が詠まれていると思いました。
〇(春生)水墨画の世界ですね。
歯の抜けて舌の置き場に困る春 良明
〇 (多実生) 歯の抜けた位置にもよりますが、こんな事も有りそうです。
○(餡子)抜けた歯のあとについつい舌が探りに行ってしまいます。季語の春、動くようで動かないかな。
選外(吾郎)実感が身に染みる昨今。で、もう少しなんというかダイレクトじゃない方が好み。
等分に分けて春日のソーセージ アネモネ
○(幹夫)季語の「春日」が佳く詠まれていると思いました。
◎(ちせい)季語は「春日」。等分に分けられたソーセージに詩情を感じました。春の気も感じられました。
〇(宙虫)暖かくなって、外で弁当を広げて、なんでも等分に分ける。春の気分満載。
〇(まきえっと)日差しも等分。幸せな気分です。
春よ来い新監督は三年目 瞳人
○(泉)三年目を迎えた新監督。やる気満々ですね。
(選外)(ちせい)季語は「春」あるいは「春隣」?新監督の存在感。
もう既に出会い数々春探し 多実生
〇(アネモネ)数々あってもその時はそれと気がつかなくて・・・。
ボサノバの尽きぬ夕べや春暖炉 道人
○(瑠璃)暖炉がある部屋でボサノバを聞きながら寛いでいる風景。お洒落な句です。
○(あちゃこ)ほっこり感がいいですね。
○(ちせい)季語は「春暖炉」。ボサノバの異国情緒。それが尽きぬ春の夕べ。
一年生ふくらむスカート春の風 瑠璃
〇(瞳人)高校生くらいで
春の夜の地震を感ずる尾てい骨 敏
〇(アネモネ)尾てい骨でものを感じるってありますよね。
春浅し訃受けし夜半の不整脈 アゼリア
〇(良明)訃報 不整脈、つきすぎ かとも思いましたが・・・
○(吾郎)これはもうシンクロニシティ
春立ちて百才の伯母旅立ちぬ 仙翁
◯(道人)立春と百寿の伯母様の見送りとの取合せが、そこはかとなくいいですね。
◎(春生)百歳とはすごいですね。
早春の風につかまり立つ嬰児 幹夫
◎(瑠璃)「早春の風につかまり立つ」という表現が秀逸。
◎(珠子)立ちはじめの子どもの不安定さとかわいらしさはまさに「風につかまり立つ」感じです。
〇(良明)風につかまりがいいですね。
○(敏)嬰子俳句は、仲々上手くまとまらないものですが、この句は「風につかまり立つ」の措辞を得て、成功しました。早春の感じが良く表わされています。
〇(ルカ)初めて大地に立つ赤子のたくましさが伝わってきました。
○(餡子)柔らかい春の風の中、初めてのつかまり立ちができたのでしょう。周りの家族に笑顔がこぼれます。
◯(道人)風につかまり立つ、が秀逸。
○(あちゃこ)類句がみられますが、中七が効いています。元気貰えた。
〇(仙翁)風につかまる、面白い表現ですね。
○(ちせい)季語は「早春」。風につかまりとは詩風が感じられます。
〇(まきえっと)風につかまるが良いですね。
早春のスカートをはく九十歳 ルカ
〇(良明)九十歳女性のはく「早春のスカート」!
子等の弾く三味より溢る春の色 あちゃこ
〇(アネモネ)いいですね。溢れる感に春の色横溢です。
(選外)(ちせい)季語は「春」。三味線を弾く子等が際立っていました。
春暁の朝ドラ半分眠い青 藤三彩
春浅しクラムチャウダーに舌を焼く 餡子
◯ (アゼリア)まだ寒い日が続き熱々のものが暖まっていいですね。
春泥に鳩の足跡江戸城址 春生
〇 (多実生) 餌のために鳩も春泥に入るのでしょうが、足の汚れは直ぐ解消する様です。
○(良明)江戸城址 という把握はいいと思います。そして春泥に鳩の足跡。観察が細かい。
○(ちせい)季語は「春泥」。鳩の足跡とは清新な感じがします。「江戸城址」で決まった様な。
〇(まきえっと)江戸城址と鳩の足跡が面白いです。
見慣れない車が停まる春大根 宙虫
◯ (アゼリア)鄙ではめったに見慣れない車が来ることがないのでついじろじろ見てしまいます。
(選外)(道人)昔も今も田舎町では、見慣れない車は好奇心と不安の塊で注目を集めることでしょう。
そうします春詠む夜は澄まし嘘 吾郎
◯(アゼリア)私達の先生はお母様がご存命のうちから、亡くなったお母様の句をよく詠まれていました。中島先生の御本にも俳句の「虚と実」について書かれてありー読んでもよく解らなかったー鋭いところをついている名句と思います。
〇(珠子)俳句は、作られた嘘のほんとらしさで成り立っていますから。
〇(瞳人)句のじゃま、しないでください
◎(餡子)何だかよくわかりませんが、どんな嘘をつくのか面白い展開が期待されます。
◯(道人)自問自答の名吟。「春」の気分と澄まし顔の「嘘」が見事に適っています。
〇(仙翁)なかなか、したたかに生きていますね。
〇(まきえっと)このさらっとした感じがよいですね。
立春やビビンバチャーハンで夜済ます ちせい
散骨論春の夢とも現とも 珠子
〇(藤三彩)お墓参りに行ったら遺族からお墓はありません。海に散骨しましたとさ。お墓はWEBの中ということも。寂しい時代ね。
○(敏)散骨の場所は「水に帰る」を象徴して、海や川、湖など水に関する所が多いようですね。掲句は、自分自身の骨の行方を思い浮かべているのかも知れません。
(選外)(道人)散骨派ですが、言われてみると、確かに根底には曖昧な心が残っています。
紅茶葉の開く三分春浅し まきえっと
〇(珠子)無駄がなくてさわやか。
○(吾郎)この緩やかな午後のティータイムは何物にも代え難い
〇(ルカ)季節によって待ち時間のあじわいがありますね。
テーマ:頑張れ
“頑張って”豪雪の地と冬五輪 多実生
「頑張れ」と見上ぐる夜空子白鳥引く アゼリア
料峭の握り拳の筋張って まきえっと
○(あちゃこ)リアル感がすごい。
下萌の風が近づくリハビリテーション 宙虫
〇(藤三彩)2月は東京マラソンのような大会があるが、リハビリ派(病後も含め)は春めく気候を活かして体調を回復しなければ。
(選外)(ちせい)季語は「下萌」。座5がちょっと字余りかと思いましたが、必然性も感じられました。
加油台湾地震への気遣い余寒なほ 藤三彩
◎ (多実生) 加油の発音は忘れましたが、現地の人に声をかけてあげたい。
頑張るぞふと独り言大試験 仙翁
○(泉)作者の緊張感が、良く伝わって来ます。
〇(瞳人)あれこれと、いくつ、乗り越え、きたらやら、うち失敗も多々
頑張れと己が身を打つ春の風邪 幹夫
○(ちせい)季語は「春の風邪」。災い転じて福となすとはちょっとニュアンスが違いますが、己を叱咤して居る。
駅伝の応援懐炉貼り付けて 泉
〇(藤三彩)完全暖房の姿でゆかないと風邪でもひいたら大変
頑張れと鍋焼きうどん玉子二個 瑠璃
○(吾郎)リアル。頑張れ…って好きではないのだが、この気遣いはうれしい。
咲きついで新芽ゆたかにシクラメン アネモネ
〇(ルカ)冬を越えた新芽。
自転車の鍵と鍵穴卒業す 珠子
〇(ルカ)鍵穴がいいですね。
○(餡子)もう自転車通学も終わり!よく自転車も頑張ってくれたという気持ちでしょう。
○(あちゃこ)実は既視感がある句なのですが⁈渇いた感覚が好きです。
○(ちせい)季語は「卒業」。鍵があれば鍵穴がある。その調和感に卒業と言うエンディング、さらに調和が感じられました。
◎(宙虫)卒業もいろいろありそう(もちろん高校くらいだろうが。)。自転車のことを考えるといろいろ句の世界が広がる。鍵穴の鍵を抜いて、自転車ともこれで終わりと感傷的になる。
◎(まきえっと)自転車はずっと見ていたんでしょうね。
選外 (多実生) 自転車通学も同時に卒業のようです。
春の雪頑張る塾の存在感 ちせい
春めきて速度はやまる砂時計 良明
○(幹夫)春ってそんな気分・・・視点が面白いと思いました。
○(吾郎)うきうき早まる砂時計
春近しあと一息でゴールイン 敏
○(餡子)良いお話ですね。頑張れ、頑張れ!
〇(春生)どこにゴールインでしょうか、いずれにしろ、めでたいです。
春日の肩擦り落ちる速さかな あちゃこ
尻つ尾ふりZ旗恋の猫かへる 瞳人
〇(アネモネ)降参の白旗でしょうか?
寝る番が抱く落第頑張るね 吾郎
青空を蹴る赤ん坊風ぐるま ルカ
◎(幹夫)おんぶされた赤ん坊の負ぶう母が持つ風ぐるまに喜ぶ様子が適確に詠まれていると思いました。
○(敏)「青空を蹴る」がいいですね。乳母車に寝そべった赤ちゃんの姿を思い浮かべました。
◯(道人)乳母車に風車とは、少なくとも昭和の高度成長期以前の景、懐かしい。
◎(仙翁)楽しく、嬉しい景色ですね。青空を蹴る、面白いです。
(選外)(ちせい)季語は「風ぐるま」。赤ん坊の大志が感じられました。
斑雪嶺や登校の子の走りゆく 春生
壁に貼る将来の夢春北斗 道人
〇 (多実生) 人生この頃が“花”です。
◎(瞳人)フランク永井の、有楽町で逢いましょう、を張っていました
○(敏)「将来の夢」を色々と考えさせて、さわやかです。
○(餡子)どんな夢でしょうか。いいですね。私も今からまた夢を書いて貼ろうかな。
保育器の嬰のあくびや春の雪 餡子
◯(アゼリア)私の姪の子も保育器の中にいましたが、今は元気に幼稚園に行っています。頑張れと思わず声を掛けたくなります。
○(瑠璃)すくすく育ってほしいですね。春の雪が効いています。
〇(珠子)本当の春が来る頃には保育器から出てパパとママのもとへ。日本は新生児の死亡率が一番低いそうです。
○(泉)未熟児でしょうか。幼い命に応援ですね。
〇(仙翁)ほのぼのとして、のどかでいいですね。
〇(春生)可愛いですね。目に見えるようです。
雑詠
いぬふぐり救急隊は他市から来 ちせい
梅真白大道芸の旅鞄 まきえっと
◯(アゼリア)ふと寅さんを思い出しました。哀愁が漂っています。
〇(珠子)重い鞄を提げて明日はどこで芸をみせるのでしょうか。もうすぐ桜、桜の季節は稼ぎ時です。
◎(泉)大道芸もこれからが本番ですね。しっかりとした俳句だと思います。
◎(あちゃこ)麗らかな外へ誘う一句。鞄の中身に興味津々⁈
(選外)(ちせい)季語は「梅」。白梅に旅鞄。大道芸人の真骨頂すら想像できます。
どちらかと言えば悪妻花大根 アゼリア
〇(珠子)わたくしもそうです。悪夫とつり合いがとれるくらいの~。
◎(良明)上5中7 と 花大根 の取り合わせが絶妙。
〇(宙虫)世の中、二択の多いこと。良妻か悪妻かと問われたら、中間の答えがない。花大根が効果的。
バレンタインの日の男子らのそわそわと 良明
バレンタイン戸惑う父や母横目 瑠璃
○(泉)「母横目」という表現が、面白いと思います。
ひらがなの母の手紙や水温む ルカ
○(瑠璃)水温むにお母さんの暖かさがよく表現されていて見事。
○(良明)野口英世の母? とも思ったが、今でもそういう人もいるかな と。
◎(吾郎)ほっとするひととき。ひらがながあたたかい。
◎(敏)一読、野口英世のお母さんの願いの文面「はやくきてくたされ」を思い出しました。「水温む」が手紙の主の暖かさを象徴しているようです。
◯(道人)母心はひらがながよく似合う。季語の斡旋も巧い。類想句はありそうですが…
〇(仙翁)いろいろ、想像を働かせる句です。
(選外)(ちせい)季語は「水温む」。母の手紙にも軟らかさが。
縁側の猫大欠伸梅一輪 仙翁
○(瑠璃)ぽかぽかの縁側をのんびりと見ている作者の至福感が伝わってきます。
〇 (多実生) 寒がりの猫も欠伸が出る程、縁側の陽射しは強くなりました。
〇(春生)この句に触れて、のんびりしてしまいました。
皆既蝕あっあアトム行く治虫の忌 瞳人
〇(藤三彩)本人は胃癌であることを知らされず手塚治虫 1989年(平成元年)2月9日、逝去60歳。高田馬場駅の発着メロディはアトム。何故でしょう
〇(ルカ)私が面識がないのに、亡くなった日に号泣したのは手塚が初めてでした。ほぼ全作品読んでます。気持ちに共感。
単調なラジオの声や開戦日 泉
外国船入港春のサラダフェア 珠子
〇(アネモネ)そのサラダフェア覗いてみたい気がします。
軽はずみもがき引き鴨水遥か 吾郎
○(敏)面白いの一言。鴨にも「軽はずみ」な奴がいたようですね。
〇(宙虫)なんかどんくさい鴨。水辺にうまくたどり着いただろうか?
春が来たと言えない村を揺らす風 宙虫
〇(仙翁)いつまでも寒さが続きます。
春泥の長靴洗ふ魚市場 春生
◎(アゼリア)働いてる姿を詠んだ俳句に惹かれます。暖かくなってこれから楽になりますね。
○(幹夫)魚市場の様子が佳く写生されていると思いました。
○(吾郎)こういうシンプルなの好きかも
◎(ルカ)市場の声も風も感じます。
〇(宙虫)春らしい景色。水を扱えるのも春になったから。
〇(まきえっと)生き生きしています。
(選外)(藤三彩)長靴を洗って市場に入る。って衛生管理への礼儀みたいなものかな。なんか実態にそぐわない感じがしておかしい。
(選外)(ちせい)季語は「春泥」。春泥の長靴とは繋げ方が上手いと思いました。
新雪のその眩しさに多喜二の忌 アネモネ
〇(藤三彩)忌日でも獄中死。しかも29歳の若さでとなるとなんという時代の苛斂誅求。
雪国の駅の足湯で列車待つ 多実生
○(幹夫)雪国の人たちのゆったりとした人柄と同化して佳く詠まれていると思いました。
○(泉)この様な駅があるんですね。一度、経験してみたいものです。
〇(春生)こんないいところがあるんですね。最高です。
冬薔薇骨の髄までリアリスト 道人
○(あちゃこ)眼前の薔薇からリアリストへの展開が面白いですね。
◎(アネモネ)骨の髄までリアリストの措辞はなかなかです!
二駅で化粧仕上げる暖房車 餡子
○(瑠璃)時々電車でお化粧をしている女子を見かけます。電車の揺れもものとせず綺麗にお化粧を仕上げる技術にいつも見惚れます。
〇(瞳人)冷房車では……、いや、ぬくぬくで
氷上の悲恋貫くジュリエット 藤三彩
木蓮にふくらむ莟爪化粧 敏
〇 (多実生) 白小鳩が止まったような木蓮の開花も間近です。
憂き人の拾う言の葉黄水仙 あちゃこ
◎(藤三彩)気力、体力、やる気の減退する寒さの中、春告げ花の水仙の黄色が目に写る。『言の葉の庭』のような出会いの万葉言葉に出会いそう。
(選外)(道人)言葉の紡ぎ方が素敵です。
恋猫の修羅や火宅を嘲笑ふ 幹夫
◯(道人)恋猫にはお手上げです。「火宅の人」には憧れますが…
ここ数日、広島は急に暖かくなって来ました。やっと春が来た、という感じです。このまま春になる気がします。今年は寒い日が多かったけれども、当然のことながら、季節は巡り、また春が来ますね。