12月とは思えない暖かい一日でした。
寒波が来る前に大掃除を済ませるのもいいですね。
兼題:落
頬落ちて語る給食狸汁
冬雀ハンカチ落としの輪が乱れ
年末やついにドジャースへ落ち着いて
極楽と黴餅も美化説く落語
義士の日の椿ごろんと落ちる音
椿落つ正義に飽きた音たてて
いくたびも落ちて聖樹の綿の雪
銀漢や最終便の都落ち
映画あり生ききり逝ける冬落暉
落魄の元市長さん大根引
落日の峰雁が音の遠き影
落ち八つ目活力は之と道修町
落丁の少女期ポインセチア真っ赤
極月やゴシゴシ落とす胸のしみ
星落ちぬ寒きベランダに寝転びて
笹の葉を滑り落ちたる雪の音
着ぶくれて延々落ちのない話
吹き溜まる過去の軽さよ落葉掃く
落暉後の意外に長き冬夕焼
ふるさとの話をしよう虎落笛
平野姓は落人の証榾の宿
落葉道なるべく足を浮かせ行く
ずり落ちる分厚き眼鏡大嚔
テーマ:飼うなら
河豚とキスいいわ可愛い好きと愚夫
寒き夜に生れし仔犬目をひらく
顔出すな鋭き牙の山鯨
犬猫を同時に飼いたい年詰まる
語り部の体(てい)の虎猫冬日向
最果てに熊飼い慣らす老漁師
飼うなら兎可愛いし非常食にも
小春日の椽側遊ぶハムスター
少年時蜜柑の好きな目白飼う
上目遣ひ一言ありそな河豚の面
身辺に死語はべらせて竈猫
数え日や恋の蛹を飼いもして
川三つ越えて白鳥来るを見に
着ぶくれて引かれて行くよブルドッグ
小春日や哲学をする半野良の猫
冬青空少年の日の伝書鳩
馴鹿の幸せを呼ぶ鈴の音
猫とする夕日の話漱石忌
白息や象鳴き坂を登りくる
膝寒しニコボの笑みに寄り添われ
夢を喰う獏との暮し山眠る
葉牡丹や僕の出もどる飼育かご
凩のなか我を待つ秋田犬
雑詠
はとバスのガイドの訛り冬うらら
仮の世の借りものポインセチア燃ゆ
飢える子のニュース聞こえる鍋突く
客引きのリップピアスの寒き首
苦い煩い推しオイラずわい蟹
靴箱の鍵のイの壱年忘
血縁を解く文書く霜夜かな
雑記帳おおかた白紙年果てる
十二月が降る街食器乾燥機
薪積んで陶工房の去年今年
数え日のパソコン急に黙りこみ
青蔦の紅くなれない寂しさよ
摺り下ろす大根居場所確かめる
大嚔してすこしだけ海動く
諾々と生きて柚子湯を溢れしむ
都鳥白い眉毛の池波が
冬薔薇の下向く土はぬかるんで
日記買う右半分は俳句帳
白クマの檻は北向き冬ぬくし
文明の微かな誇り紙懐炉
明太子その親はだれ鯳
妖艶な女形に見惚れる師走
落書きの革命の詩月冴ゆる
★選句要領
選句数6句(うち特選1句)
締切 12月22日(金)24時
選句コメントをつけて送ってください。
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