


質草をもらひうけたる夏の月 卯平
シーシュポスの末裔われら夏旺ん メイ
○(敏)カミュには『シーシュポスの神話』という著作があるようですが、一句は「われら」をシーシュポスになぞらえての自戒なのかも知れません。
◎(卯平)労働者ならんとする自負。季語に詠み手の思い全てが詰まっている。斬新な句。佳吟。
雲の峰湿り気のある本捲る まきえっと
○(仙翁)いつの間にか、本が湿ってきますね。
〇(ちせい)季語は「雲の峰」。かすかな湿り気を察知したのかもしれません。
まくなぎの群れてソーシャルディスタンス ルカ
○(敏)まくなぎは3密状態のようですが、人間どもはしっかり距離を置いていますよ、といったところでしょうか。
○(餡子)ソーシャルディスタンスなどと言っていられませんね。まくなぎに襲われては・・・。
〇(藤三彩)目の前を飛ぶ虫々は鬱陶しい、社会的距離が1.8mなのだとか、離れていたい間隔
〇(めたもん)まくなぎのように群れることさえ、人間には許されなくなってしまったのか・・・。
〇(道人)まくなぎの群れのお陰でソーシャルディスタンスを確保できたとは、俳味あり。
灰色に臭ふ生コン遠き雷 めたもん
○(仙翁)生コンの臭い、確かにありますね。
◯ (アゼリア) 灰色に臭ふー本当にそんな臭いですね。
◯(アネモネ)「灰色に臭ふ」がいかにも生コン。
○(まきえっと)「灰色に臭ふ」が今の世の中っぽいですね。「遠き雷」と合いますね。園
炎昼を掘ればガス管水道管 珠子
○(ルカ)リアリティと白日夢。
〇(春生)工事現場の暑気が具象化されました。
○(餡子)突然、道路が陥没したり、水道水が噴き出したり・・・。炎昼を掘るが面白い。暑さにぼーっと手元が狂うのかも。
○(泉)本当に道路の下には、いろいろな管が走っています。
〇(メイ)言われればあたりまえだけれど、地下に支えられての生活。季語の力を感じます。
〇(宙虫)地下にみんな埋設されてますね。いまや電線も。
滅びゆくものの哀しみ冷奴 春生
◎(敏)どの写真からのインスピレーションか見当がつかないのですが、「冷奴」は万太郎の湯豆腐とは真逆の世界を表わしているようで、感心しました。
◯(アネモネ)冷奴がいい味出してます。
◎(藤三彩)コンクリートの瓦礫、何が以前にはあったのだろう、硬質なものと柔らかいものとの対比
肩組んだだけの友情誘蛾灯 宙虫
〇(珠子)こんな感じの昭和をこんな感じで生きてきたのかもしれません。
○(あちゃこ)寂しさと懐かしさが入り混じり切ない。誘蛾灯が効いています。
〇(メイ) 表面的な友情でも、一瞬のよろこびはある。青春。
○(まきえっと)最近は肩すら組むことがないですね。
塩噴いて工事現場の日焼け顔 アゼリア
○(ルカ)上五がいいですね。
〇(春生)「塩噴いて」が炎昼の仕事の厳しさを表現しました。
○(餡子)夏の工事現場はまさに、灼熱の地獄。お疲れ様です。涼しい作業服もあるようですね。
○(泉)「塩噴いて」本当に真夏の工事現場は大変です。
○(仙翁)一所懸命働いている様子が分かります。
半夏雨早やも灯の消ゆ歯科医院 アネモネ
〇(藤三彩)緊急事態宣言が解けても外出自粛の余波で歯医者も休業、虫歯にならないよう気が気ではない
つづく
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