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中央大学 VS 東京大学(その76-2:ユニークな民法学者対決 その2)

2015年12月20日 | 中央大学

中央大学 VS 東京大学

その76-2 は、

ユニークな民法学者対決

その2

 

白羽祐三 VS 石田穣

 

白羽先生(1925年生まれ)

は、中央大学法学部卒。

大学3年時に司法試験に

現役合格している。

 

白羽先生は、

ごく普通の民法学者としての

講義案や論文も出している。

 

「民法総則講義」

「物権法講義」

「債権総論講義」

 白羽祐三山田創一

 (駿河台出版社)

     ↑

これらは大学での講義用の

講義案。

元々は白羽先生の単独著書

だったが、

白羽先生の晩年に弟子の

山田先生による改訂がなされた。

 

 

「現代契約法の理論」

「安全配慮義務法理と

 その背景」

 白羽祐三

(中央大学出版部)

     ↑

白羽先生の代表的論文集。

白羽先生の左翼的立場も

垣間見える。

 

また、白羽先生は、

普通の法学者(?)である

山田卓生先生との共著もある。

 

「民法講義ノート(3)

 担保物権」

 白羽祐三山田卓生

(有斐閣新書)

 

だが、何と言っても

白羽先生の特色を示すのは、

その変わった論文群だ。

何が変わっているかというと、

まずもって民法学者としての

研究対象が変わっている。

 

   

“「日本法理研究会」の分析 ”

“ 日清・日露戦争と法律学 ”

“ 刑法学者 牧野英一の民法論 ”

以上、白羽祐三

(中央大学出版部)

 

これらの研究対象が

変わっている論文群は、

白羽先生の左翼的立場が

炸裂している部分もあるが、

研究対象自体はユニークで

非常に面白い。

 

石田穣先生(1940年生まれ)

は、東京大学法学部卒。

やはり司法試験に現役合格し、

司法修習も経験している。

 

石田先生は、まず、

民法の基礎理論において、

利益衡量論を否定し、

立法者意思説を唱えた。

利益衡量論については、

加藤晋介弁護士も批判しており、

実務家的観点が入ると

どうしても批判したくなる考え方

といえる。

ただし、

損害賠償の範囲については

保護範囲説を支持し、

立証責任については

法律要件分類説を批判している

ので、この辺は、

実務ベッタリということではない。

 

  

「民法学の基礎」

 (有斐閣)

「民法と民事訴訟法の交錯」

 (東京大学出版会)

「証拠法の再構成」

 (東京大学出版会)

以上、石田穣

 

また、石田先生は、

自らの民法理論を体系化した

膨大な体系書である

民法大系シリーズを刊行中

である。

 

  

「民法大系(1)民法総則」

「民法大系(2)物権法」

「民法大系(3)担保物件法」

以上、石田穣 著(信山社)

 

民法大系シリーズでは、

各巻の冒頭に掲げられた

参考文献のうち、

重要なものについては、

著者名が太字になっている

のだが、

中大教授の船越隆司先生も

太字になっており、

さすが、

「ユニークはユニークを知る」

といったところか。


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