「貧困世代~社会の監獄に閉じ込められた若者たち~」(藤田孝典著:講談社現代新書)
「下流老人」という言葉を生み出し、世の中に投げかけた筆者が、次に書いたのがこの本。若者世代を「貧困世代」として、置かれている現状・日常の相談活動で接した若者の姿から、今後の支援活動にとって何が必要かを投げかけた一冊です。先日、直接話を聞く機会もありましたが、やわらかい口調も含めてとてもわかりやすい話でした。生活保護に関わる運動に参加する者であり、若者世代の子を持つ親であり、さらに親の介護に直面している者であるという、すべてがつながってきている状況にたって、とても身につまされる思いを持ちました。ぜひたくさんの人に読んでもらい、自分が何が出来るかを一緒に考え合いたいと思いました。
印象に残ったフレーズ(今後、自分の中で変化していくかも)
・「現代の若者たちは一過性の困難に直面しているばかりでなく、その後も続く生活の様々な困難さや貧困を抱え続けてしまっている世代である」
・若者対する社会一般的な眼差しが高度経済成長期のまま、まるで変わっていないのではないだろうか。
・ソーシャルワーカーはあらゆる生活のしにくさを抱えている人の相談を受け、その問題に対処するだけでなく、それを生み出す社会構造に働きかけていく職業人
・多くの相談者に向き合っていると、本人がどれだけ努力しても、自分の力だけでは生活再建が困難な状況にあると実感する
・努力至上主義を信奉することこそ、若者たちを追い詰めていく
・若者支援において決定的に言えるのは社会資源の不足である
・いつの時代も政府や世論の意向によって福祉対象者はあらかじめ定められているし、つくられている
・日本では若者は育てられない。年功賃金、終身雇用のないところで、私費負担で学費をまかなうことはもはや無理だ
・住宅は最大の福祉制度である
・社会構造を変えなければ貧困世代は決して救われない
提言1・新しい労働組合への参加と労働組合活動の復権
提言2・スカラシップの導入と富裕層への課税
提言3・子どもの貧困対策とも連携を
提言4・家賃補助制度の導入と住宅政策の充実が貧困を止める
提言5・貧困世代は闘技的民主主義を参考に声を上げよう
結論:貧困世代をなくすために求められること
http://booklog.jp/users/na1129jr/archives/1/4062883589
最新の画像もっと見る
最近の「読み終えた本」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事